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傾斜マンション 住民を黙らせた三井不動産の400億円補償
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/190173
2016年9月21日 日刊ゲンダイ
パークシティLaLa横浜(C)日刊ゲンダイ
横浜市都筑区のマンション「パークシティLaLa横浜」の4棟のうち1棟で傾きが見つかった問題で、19日、マンションの管理組合が4棟全ての建て替えを正式決議した。2020年冬までの再入居を目指すという。
横浜市の「緑公会堂」で午前10時から始まった決議集会には424人の住民が参加。終始和やかな雰囲気のまま、総議決件数(711件)の99.7%にあたる709件の賛成で全棟の建て替えが決まった。住民が文句一つ口にせず、建て替えに賛成したのは、販売元の三井不動産レジデンシャルが提示した補償が破格だったからだ。全棟の建て替え費用300億円とは別に、住民に対し100億円の補償を用意したという。
ある住民に話を聞いた。
「まず、建て替えが終わるまで一時的に住む住居の家賃補償が手厚い。全額、肩代わりしてくれます。もちろん、上限はありますが、その上限基準が高い。これまで住んでいた“LaLa横浜”の部屋が基準となり、上限は1坪あたり1万2000円。26坪の部屋に住んでいた人なら31万円になる。多くの住民が月30万円前後の家賃補償を受けられることになります。また、引っ越し代の実費に加え、諸経費として40万円をもらえます。慰謝料は全戸一律300万円。全705戸中、これまでに70戸ほどが三井不動産に売却されていますが、彼らは補償を受けることができなかったはず。売らなくて正解でした」
また、慰謝料や家賃補償とは別に、建て替え後について、〈同棟、同号室に入居できる〉〈売却を希望する場合は(三井不動産側が)新築販売想定価格で買い取る〉という内容で住民と合意したという。3年半後に完成する新築マンションは、三井不動産がメンツをかけて仕上げるとみられている。購入時より高値で転売できる可能性もありそうだ。
しかし、今回、「LaLa横浜」の住民が受けた手厚い補償はレアケースと思った方がいい。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が言う。
「05年に起きた耐震強度偽装事件で、泣く泣くマンションから退去を迫られた住民の中には、いまだに二重ローンに苦しんでいる人がいると聞きます。無名業者より大手の方が補償が手厚いことが今回の一件で分かりましたが、それとて絶対ではありません。欠陥が見つかったブランドマンションで責任を認めず、住民が泣き寝入りしているケースを私はたくさん知っています」
もちろん「LaLa横浜」の住民も多大な苦痛を味わっただろうが、宝くじが当たったようなものかもしれない。
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