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中国・上海。中国経済の成長は都市の消費者にかかっている(資料写真)
中国の都市が世界の経済成長を牽引するわけ 改革後の中国で育った都市の新しい消費者たち
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47907
2016.9.17 チャン・カ・ムン JBpress
(上海より)
15年にわたって、中国は世界の成長エンジンの鍵としての役割を担っていた。しかし今、中国の投資主導の好景気は自然に消滅しつつある。そうである以上、今後の中国および世界における経済成長が持続できるかどうかは中国の都市の消費者頼みになるといえよう。
2030年までには、都市居住者が、消費面における世界の成長の91%を担うようになるだろう。中国では、都市化を重視すると同時に、消費者主導の成長モデルを重視するようになっている。
マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)の最新の調査は、中国の戦略は功を奏するだろうという楽観な見通しを持っている。
MGI(本稿の筆者の1人、ラメスはMGIのパートナーである)は、持続成長を都市の消費者の数とその収入で予測し、中国700都市が7兆米ドル、または現在から2030年までの世界の都市における消費成長の3割を生み出すと予測している。
今日、中国の都市における労働年齢の消費者は5億2100万人を数える。15年の間に、その数は6億2800万人のレベルに膨れ上がるだろう。 北京、広州、上海、深センの各都市はおのおの、年収7万ドルを超える世帯を100万世帯以上増やすだろう。それは現在の香港におけるこの所得階層の数と同程度の数だ。
また、1人あたりの消費は、2030年までに4800ドルから1万700ドルまで跳ね上がるとされている。するとこの各都市の世帯は、世界の都市消費のうち、12%を担うことになる。
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今や、中国の都市における収入のうち、プロダクト、サービスの双方で、消費に回す部分が急激に増えるという段階に達している。個人用品や外食に対する年間の世帯消費はそれぞれ770ドル、720ドルと倍以上になっている。また、中国の消費者はこれまで以上によく旅行するようになっている。中国海外旅行研究所の予測によると、2030年までに1億人以上の中国人が海外旅行に出るようになるとされている。
中国の新しい消費者群は、この高い収入を消費する手段と力を持つことになるだろう。また、より重要なことに、彼らは収入を消費する意思も持つことになるだろう。マッキンゼーの2016年世界景況感調査は26か国において2万2000人以上の消費者を対象に行われたが、その調査によると、中国の労働年齢人口は、追加所得を貯蓄したり借金返済に充てたりするのではなく、消費に充てる傾向が世界で最も強い。
中国の都市の消費者たちは、改革後の中国で育った世代であり、貯蓄/消費のあり方について両親とは違う考え方を持っている。彼らは、西欧のベビーブーマーたちと同じように、過去の世代との間に大きな世代間の断絶を作ることになるだろう。そして、こういった考え方の変化は、消費者主導経済への移行を後押しすることになる。
中国の労働年齢消費者たちは、デジタル世代の子供たちとして、会社に直接働きかけてプロダクトやサービスを作り変えることで、イノベーションを主導している。
マッキンゼーの調査では、彼らの55%がソーシャル・ネットワーク「WeChat」を通じて、プロダクトやサービス、会社を友人や家族に紹介することに前向きだ。中国のスマートフォン会社「小米科技(シャオミ)」は、インターネット上での投票を実施し、消費者がどのようなイノベーションを求めているかを調べている。同社は、ミニブログ投稿プラットフォーム「Weibo」で1000万以上の「ファン」を持っている。
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今や、西欧の会社は中国の真似をするようになっている。フォルクスワーゲンの中国事業は、従来型の販売代理店のみに頼るのではなく、潜在顧客と直接オンラインでつながろうとしている。Fungグループ(本稿の筆者の1人、チャンが取締役を務める)は、IBMやPicoとパートナーシップを結び、上海に「小売ラボ」を立ち上げて、どのように消費者が新しい技術やプロダクトに反応するかを、リアルタイムで観察するための管理環境を提供している。
さらに、イノベーションを進めるのに加えて、中国の消費者たちは、(比較的低収入の者も含めて)次世代への投資を盛んに行っている。
2015年から2030年にかけて、消費成長全体の12.5%は教育に向けられると予測されている。これは、MGIが調査した国の中で2番目に高い率で、1位のスウェーデン(12.6%)に後れを取るのみだ。今、次世代のスキルや能力に投資することで、中国の消費者たちは持続成長や将来のイノベーションのための強い土台を作っているのだ。中国は、こうした持続成長によって、経済モデルを生産から消費へと変えていかざるを得ないだろう。
この類の方向転換は容易ではない。たくさんの課題が待っている。しかし、中国において、豊かで教育を受けた消費者たちはますます増えていき、彼らは世界の消費のあり方を変革していく多大な影響力を持っている。ひょっとしたらその力は、最盛期の西欧のベビーブーマーたちよりも強いかもしれない。彼らはモバイル重視のショッピングスタイルや、旅行や新しい経験を積極的に受け入れる姿勢、購買能力の上昇を持っている。
これらの新しいあり方は、彼らの買うプロダクトやサービスが世界の消費者市場に影響を与え、世界の経済成長を後押ししていくことを示している。世界経済は彼らを必要としている。そして消費者に対面する会社には、彼らを無視する余裕はない。
【筆者】
チャン・カ・ムン(Chang Ka Mun):利豐グループ、フォン・ビジネス情報センター、マネージング・ディレクター
ヤーナ・レメス(Jaana Remes):マッキンゼー・グローバル・インスティテュート、パートナー
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