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米国サプライズ利上げでドル高・株安の可能性も(会社四季報オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/311.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 16 日 16:51:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              米国ワシントンDCにある連邦準備制度理事会ビル(写真:Tanarch/PIXTA〈ピクスタ〉)


米国サプライズ利上げでドル高・株安の可能性も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160916-00136101-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 9月16日(金)15時16分配信


 9月20〜21日に開かれる日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)、翌週の石油輸出国機構(OPEC)非公式会合に注目が集まる。日銀会合では、これまでの異次元緩和の総括検証がなされることになった。国債市場の流動性枯渇懸念から量的緩和の継続は難しくなっているが、黒田総裁はマイナス金利の深掘りなどで、今後も金融緩和を進める方針を打ち出すだろう。

 ただ、日銀が追加緩和を実施したとしても小幅なマイナス金利幅の拡大はすでに織り込み済みで、サプライズ的な「バズーカ」は期待しにくい。直後にFOMCが控えていることもあってよほどのことがないかぎり、日銀の緩和はマーケットの材料になりにくい。日銀会合の結果がわかるのは21日昼ごろだが、その約15時間後(日本時間の22日午前3時)にはFOMCの結果が判明する。

 米国の追加利上げについて市場では、「今回でなく大統領選挙後の12月」と予想する向きが多いものの、FOMC内で早期利上げを支持する声が強まっているのも事実。それだけに、予想外の9月利上げがありうる。そうなれば、日銀会合よりもむしろこちらのほうがサプライズになる可能性があるため、要注意だ。

 一方、OPECの非公式協議は翌週の26〜28日にアルジェリアで開催される国際エネルギーフォーラムに合わせて開かれる見通し。6月の総会では期待された生産調整・減産の合意が見送られたが、今回はイランが合意に前向きなだけに成り行きが注目される。

■ 日銀の量的緩和は事実上の縮小へ

 それぞれ詳しく見ることにしよう。まず、日銀の総括検証については日銀内でも企画局が取りまとめるとされている。企画局は政策の企画立案を行う部署だ。このため、客観的な検証にはなりにくく、これまでの緩和スタンスが基本的に踏襲されよう。

 企画局は昨年5月、「2013年4月から2年間の量的・質的金融緩和は実質金利を0.8%ポイント程度低下、経済の需給ギャップを1.1〜3.0%ポイント縮小、消費者物価前年比を0.6〜1.0%ポイント上昇させる効果があった」という自画自賛のレポートを出した。日銀内では、金融市場局が2カ月前の3月に量的金融緩和で国債市場の流動性が低下している点を指摘したレポートを発表していたが、それへの反論とも言えるものだった。

 黒田総裁はマイナス金利支持、岩田副総裁は量的緩和支持とされるが、その兼ね合いはどうなるのだろうか。

 黒田総裁は8月の米ジャクソンホール会合でマイナス金利政策のプラス面を強調する講演を行った。「マイナス金利が幅広い借り入れ主体に恩恵を与え、企業による満期の長い社債の発行が顕著に増加した」と述べた。「銀行がマイナス金利を嫌って現金保有に切り替えるおそれはあるが、まだその限界に達していない」とも説明している。

 確かに、マイナス金利は銀行収益を悪化させるという副作用があり、銀行貸出全体は減少している(図1参照)。だが、超長期の住宅ローン金利などが低下し、それに伴って貸家建設などにはずみがついている(図2参照)。

 これに対して、岩田副総裁の支持する量的金融緩和はどうなるか。もともと「マネタリーベースを2年で2倍にすれば物価上昇率は2%になる」という説の根拠は怪しい。国際通貨基金(IMF)も昨年、今の量的緩和は「17〜18年で限界」になる、と指摘するレポートを発表した。限界なのは明らかだ。

 そうした点を踏まえると、総括検証の結果として、政策変更があるとすれば以下のようなことになろう。まず、マイナス金利政策については日銀当座預金金利の0.1〜0.2%程度の引き下げが予想される。

 マイナス金利の小幅の深掘りについて、市場はほぼ織り込んでいるようす。実施されても影響は大きくないだろう。銀行収益悪化などの副作用が次第に大きくなると懸念されるため、日銀当座預金金利の引き下げではなく、金融機関向け貸出支援基金のマイナス化などの方策も考えられる。

 量的緩和は事実上の縮小となるだろう。岩田副総裁が反対するため「縮小」とは書けないが、需給を悪化させないためには、日銀の国債購入は国債新規発行量に相当する50兆円程度で十分であり、現在の「年80兆円」については、「50〜80兆円」程度への「弾力化」が予想される。

 もっとも、全体としての国債買い入れを減額するなかで、超長期債の買い入れを増額する可能性はあるだろう。財務省の40年国債増発でこのところ、超長期債利回りがハネ上がっており、それが金利全体を押し上げているためだ(図3参照)。

 一方、日銀はサプライズよりも市場との対話を重視する方針に変えていくとみられる。黒田総裁は「ヘリコプターマネー」や「外債購入」などバズーカ政策を否定しており、バズーカを期待しにくくなるという点では市場の期待感を低下させるおそれがある。

 全体でも、超長期債の買い入れ増額などがあれば株式市場も好感するかもしれないが、たとえ、追加緩和があっても「小粒」との印象は拭えそうにない。

■ 米利上げムードは徐々に高まっている

 FOMCはどうか。「利上げの根拠はこの数カ月で強まった」という趣旨のイエレンFRB議長のジャクソンホール講演で一時、利上げに対する警戒感が高まった後、8月の雇用鈍化などから9月の早期利上げの可能性は消えたかにみえた。しかし、その後の地区連銀総裁やFRB理事などの発言をみると、FOMCメンバーの意見が大きく割れていることが想像できる。

 確かに景気指標は芳しくなく、賃金・物価関連指標は今年初めにかけて加速した後、足元は落ち着いている。ハト派は物価がインフレ目標の2%に持続的に接近しているわけでなく、今回は「様子見」で構わないとの見方だ(図4参照)。

 だが今回、「様子見」となれば、大統領選挙直前の11月会合での利上げは難しいため、12月の次々回会合まで3カ月待たなければならない。利上げが遅れるリスクを考慮すると、「9月に利上げしたほうがいい」という判断になる可能性も否定はできない。タカ派は、低金利の継続が投資家の利回り追求(Search for Yield)を強めさせてしまい、資本の不適切な配分や、投資家のリスクに対する過小評価をもたらしていると指摘する。

 利上げムードが徐々に高まっているのは、地区連銀からの公定歩合引き上げ要請にも表れている。7月には12地区連銀のうち、8地区連銀が現在1%の公定歩合の引き上げを要請し、6月時点の6連銀から引き上げ派が過半数を超えた。公定歩合の変更にはFRBの承認が必要。7月の段階では承認しなかったが、地区連銀の大勢が低すぎる金利に居心地の悪さを感じ、正常化を求めているようだ。

 ちなみに、今年のFOMCで投票権を持つ地区連銀総裁(5人)は、ニューヨークのほか、ボストン、カンザスシティ、クリーブランド、セントルイスで、ニューヨーク以外の4人が公定歩合引き上げを支持している。

 フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場の相場(12日時点)からみた9月FOMCでの利上げ確率は22%。実際には、利上げの可能性は半々程度とみたほうがいいだろう。予想外の利上げによってドル高・株安に振れることを警戒する必要がある。

■ OPEC会合はなんらかの合意成立の公算大

 翌週のOPEC非公式会合に関してはどうみるか。原油のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物価格は8月初めに一時、1バレル=40ドルを割り込む場面があったがすぐに反発。足元は底堅く推移している。これは、世界の原油需給が、今年初めまでの「生産過剰」から「均衡」へ近づいたためだ(図5参照)。

 15年中は日量約160万バレルの大幅生産過剰だったが、カナダの火災など一時的な生産減少要因もあって生産超過幅は16年4〜6月にかけてゼロ近くまで縮小した。一方、OPECの8月生産はイラク、イラン、サウジアラビアの増産で3347万バレルと8年ぶりの高水準に達したが、世界の原油需要予想、シェールオイルの生産予想などを前提にすれば、OPECが高水準の生産を維持したとしても16年後半から17年前半にかけての生産超過は比較的小幅にとどまり、17年後半以降は需要超に転ずることになる。

 こうしたなかで、OPEC加盟各国は生産調整・減産で合意できるのか。各国の反応をみると、イラクが「本来の生産量をまだ下回っている」ため消極的だが、イランは「生産量が制裁前の水準に達した」ことから凍結を支持する意向だ。

 サウジアラビアで実権を握るムハンマド副皇太子の意向が不透明だが、(1)6月のOPEC総会で合意ができなかったのはサウジと対立するイランが増産意向だったことが原因だが、今回はイランが凍結支持の意向、(2)サウジ自身も原油収入減少による財政赤字拡大と経済悪化が深刻になりつつある、などから、何らかの合意がなされる可能性は前回に比べて高まっている。

 需給は均衡に近づいても在庫が高水準であるため原油価格は当面、低位で推移せざるをえないが、1〜2月のような30ドル割れの場面はもうなさそうだ。OPECの動向次第では次第に下値を切り上げる展開になるだろう。

  新見未来(にいみ・みらい)/大手シンクタンクに在籍する気鋭のエコノミスト。マクロ経済のわかりやすい解説には定評がある。今後3週間の注目スケジュールと、重要な経済指標の活用法をお届けする。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

新見 未来

 

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