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「老後への不安」の答え…結局、何歳分までをいくら蓄えておけばよいのか
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16658.html
2016.09.16 文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表 Business Journal
■“わからないこと”に対する不安
老後が不安だという人は多い。というよりも、「老後は不安じゃない」などという人は、恐らくほとんどいないでしょう。その不安の多くはお金に関することです。
私は、経済的な理由で老後が不安だという人のほとんどは、“わからないこと”に対する不安ではないかと思っています。
何がわからないのか?
要するにどれくらいお金を用意していればよいかがわからない、ということです。確かに「これだけ用意していれば安心」という金額がわかっていれば、それほど不安になることはありません。
ではなぜ、“どれくらいお金を用意すればわからない”のでしょうか。それは「年金がいくらもらえるかわからない」、そして「いつまで自分が生きるかわからない」という2つの理由からくるものです。
最初の「年金がいくらもらえるかわからない」ということですが、これは「ねんきん定期便」を見ればわかります。年金の加入記録問題が明らかになってから、すべての年金加入者にこの「ねんきん定期便」が毎年送られることになりました。以前から考えれば、これは画期的なことなのです。にもかかわらず、多くの人はこれを見ていません。自分の年金がいくらもらえるのかちゃんと書いてあるのに、それすら見ないで「年金は不安だ」といってもしょうがありません。まずは「ねんきん定期便」を見て確認するところから始めるべきです。
人によっても違いますが、サラリーマンの場合でいえば、ざっくり平均寿命まで生きた場合にもらえる金額は今の貨幣価値で大体5000〜6000万円くらいです。公的年金は物価連動ですから、将来少しぐらいインフレになっても金額は増えていきます。もちろん今は完全な連動ではありませんが、それでもある程度は連動していきますので、年金というのは基本的にはそれほどインフレに弱いわけではありません。
■何歳まで用意すればよいか?
では2つ目の不安です。「いつまで自分が生きるかわからない」から必要とする費用もわからない、だから不安だ、ということですね。これは本当にわかりません。いつまで生きるかは神のみぞ知るです。
「100歳まで生きても大丈夫なようにお金を用意しておいても、70歳で死んでしまったら?」「100歳以上生きたらどうなるの?」
考え出すとますます答えはわからなくなります。
しかし、この答えは実をいうと、とても簡単なのです。なぜなら公的年金は死ぬまでもらえるからです。もちろん公的年金だけでは生活を楽しむのに不十分というのはわかります。公的年金だけで旅行に行ったり外食したり、好きなことをするというのは難しいでしょう。ですから、企業年金や退職金、あるいは自分の蓄えで老後に備える必要が出てくるわけです。
私は自分でもそう思っていますし、人にアドバイスする時もそういってますが、老後資金を自分で準備する金額は、平均寿命よりも少し余分に長生きするくらいの期間で考えておけば十分だと考えています。今、日本の60歳時点での平均余命を見ると、男性が83.55歳、女性が88.83歳です。だとすれば、90歳くらいまで生きると考えればいいでしょう。もしそれよりも長生きした場合は、公的年金が死ぬまで支給されますからその範囲内で生活すればいいのです。
人間というものは齢をとるとともに体力も衰えますから、60代や70代の頃のように活発に活動するのは難しいでしょう。だとすれば公的年金だけでも十分生活していくことは可能です。つまり持っているお金は90歳までに全部使い切ってしまいましょうということです。要は割り切ってしまえばよいのです。それ以降長生きできれば、あとは本でも読みながらのんびりと暮らせばよいと私は考えています。
■死ぬことはリスクではない
私は「死ぬことはリスクではない」と思っています。なぜなら人間は死ぬことが確実だからです。リスクというのは、「不確実なこと」という意味ですから、人間は誰でも100%死ぬのであれば、死ぬこと自体はリスクではありません。いつ死ぬかわからないことがリスクなのです。だから公的年金は“長生きする”というリスクに対応するために死ぬまで支給されるのです。
現在、男性の平均寿命は80歳を超えていますが、健康寿命は71歳ぐらいです。前述したように遊びに行ったり、旅行したりと活発に動けるのは70代前半ぐらいまでと考えておいたほうがよいでしょう。それ以降はおそらくそれほど活発に動くことはできない可能性が高いからです。もちろん、なかには三浦雄一郎さんみたいに80歳でエベレストに登頂するという人もいるでしょう。それはそれで結構なことで、おそらくそういう元気な人は70歳を過ぎても働き続ける気力と体力があるでしょうから、あまり生活不安もないと思います。
私自身もいつまで生きられるかわかりませんが、90歳までは元気で活動していて生活が楽しめるぐらいの経済的ゆとりを持てるようにというつもりで、64歳になる今も元気で働き続け、貯蓄や投資を心がけるようにしています。
(文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表)
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