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収入は増えず、負担はどんどん重くなる……?
配偶者控除が廃止に? 介護保険料も徴収か? 消費税アップより影響が大きい、子育て世代直撃の制度改正について。(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160912-00010003-scafe-bus_all
シェアーズカフェ・オンライン 9月12日(月)6時11分配信
パンドラの箱がついに開きます。
見直し対象となっていながら見送られ続けた配偶者控除制度。そして、破たんが心配されている介護保険財政の立て直し。この問題解決には痛みを伴う不人気政策が必要なため、時の政権は本腰をいれず、いつも「おおかみ少年」呼ばわりされてきました。しかし、今回は本当に実現されるようです。
■配偶者控除のおさらい
専業主婦(専業主夫)のいる家族に恩恵のある配偶者控除。配偶者控除は高度経済成長時代の昭和36年に誕生し、今年で56年目です。当時は夫が働きに出て、妻は専業主婦というサザエさんのような家族構成がモデルでした。専業主婦は働きにこそ行かないですが、家庭内の秩序維持や夫の後方支援を担っています。配偶者控除とは、いわゆるこの内助の功を夫の税負担軽減に反映させたものです。
所得税の配偶者控除は、専業主婦(夫)の所得が38万円以下の場合、その夫(妻)の所得税の計算上、所得控除として38万円の控除が受けられます。例えば、妻が年間100万円の給料を稼いでいるとすれば、妻の給与所得は所得控除額65万円を差し引いた35万円となります。38万円以下となるので、夫の所得税の計算上、配偶者控除が受けられます。
上記のケースを使いさらに具体的な節税効果を確認してみます。夫の給与を500万円、給与所得控除額を154万円とすると給与所得は346万円となります。そして、社会保険料を68万円、配偶者控除38万円、基礎控除38万円とすると所得税は10万4,500円となります。仮に配偶者控除がないとすると所得税は14万2,500円です。配偶者控除は、年間3万8,000円の節税効果を生み出しています。
忘れがちですが、住民税にも配偶者控除があります。控除額は33万円です。住民税の税率は都道府県民税・市町村民税合わせて10%なので、年間3万3千円の節税効果です。夫の給与が500万円の場合、所得税・住民税の節税効果は合計7万1,000円です。これはかなりの節税効果です。
■配偶者控除と似ている配偶者特別控除とは?
配偶者の給与所得が38万円を超えるとこの世の終わりと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。配偶者特別控除があります。配偶者控除とよく似ている名前のため、こんがらがる方もいるかもしれません。実は、配偶者特別控除の最大控除額も38万円です。ただし、最大がある一方で最低もあり、最低控除額は3万円です。
配偶者控除は38万円の定額控除ですが、配偶者特別控除は、配偶者の所得が増えるにつれ控除額が逓減していく仕組みです。例えば、調整に失敗して妻の給与所得が39万円になったとしても、配偶者特別控除として38万円の控除が受けられます。一方で妻の給与所得が75万円だった場合の配偶者特別控除は最低の3万円となります。
■配偶者控除はこの先なくなるの?
政府が掲げる新3本の矢の1つである女性の社会進出を妨げているものの1つとして、103万円の壁が挙げられています。前項で触れたように配偶者控除を受けるために妻の働く時間を調整して103万円にしているケースが多々あります。税制が労働力供給の足かせとなっていると判断され、それだったら配偶者控除を廃止しようと議論されています。
この配偶者控除や配偶者特別控除は廃止となるのでしょうか。代わりに何か新しい控除は作られるのでしょうか。税制改正を議論しているのは自由民主党の税制調査会です。その会では、配偶者控除は廃止し、その代わりに夫婦控除を検討しているようです。夫婦控除の中身はまだわかりませんが、夫婦控除と名前が付くからといって期待すると裏切られそうです。国はお金がない中、消費税増税は見送られました。この流れでいくと、所得税は夫婦控除ができても、今までよりかは増税となってもおかしくはありません。
配偶者控除の廃止や夫婦控除の創設は、税制調査会で話し合われ、その後平成29年の1月ごろから始まる通常国会で議論される予定です。仮に可決された場合には、遡って平成29年1月から施行、遅くても平成30年1月から施行されることとなります。どれだけのダメージとなって私たちの生活に跳ね返ってくるかわかりませんが、さらなるダメージとして消費税10%への増税も平成31年10月に控えています。
■40歳未満も介護保険料を徴収されるの?
平成12年から始まった介護保険制度。いけいけどんどんで利用者は増え、いつからか財政の危機が囁かれています。介護事業者が受け取る介護報酬は削減され、介護保険を利用できる高齢者は軽度者から徐々に切り離されてきました。民間の任意保険だったら、サービス低下につれて加入者離れが起きてもおかしくない状況です。
さて、サラリーマンも個人事業主も40歳になると介護保険料を納めます。強制保険なので納付は原則免れません。介護保険料の平均納付額は第1号被保険者の65歳の場合で5,514円です。40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、加入している保険者や収入によって異なるため、平均の算出はできません。仮に協会けんぽ(東京)に加入している企業で働いているサラリーマンのケースで月給30万円とした場合、介護保険料は月々2,370円となります。年換算に直すと28,440円です。ボーナスからも徴収されますので、その負担額は無視できません。
高齢者優遇となっているわが国の社会保険制度。子育て世代や子供そのものにも恩恵がないと現役世代の労働意欲に水を差します。これだけの痛みを国民に要求するのであれば、与党も野党も日本の未来のために真剣に議論を尽くさなければ納得がいきません。
■私たちの生活はどうなるのか?
所得税、住民税は増税。消費税も増税。社会保険料負担も増加。給与やボーナスが多少増えても全て吸収されてしまいそうです。さらに、安倍政権や日本銀行総裁の黒田氏の目指す2%の物価高政策が続き、物価が上がった暁には、生活はいったいどうなってしまうのでしょうか。
子育て世代にとって、共働きは簡単ではありません。可愛いわが子を保育園に預けられなかったらダブルインカムの道は絶たれます。保育園に入園できたとしても、フルタイムでの労働は肉体的にも精神的にも相当な負担がかかります。傍から見る以上に本当にきついんです。
一億総活躍。言うが易しですが、やる側にとっては覚悟と備えが必要です。国や自治体からの支援もあるでしょうが、今までの政策から考えても期待できません。なんとも住みにくい世の中になりそうですが、不平不満を言い続けても誰も助けてくれません。だからこそ、今のうちから気づいて備えれば、将来の自分の役にきっとなるはずです。
藤尾智之 税理士・介護福祉経営士
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