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東京電力本社(左)、東京ガス本社(いずれも「Wikipedia」より)
東京ガスに大量顧客流出の東電、ガス参入で東京ガスへの逆襲始動…泥沼戦争突入へ
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16619.html
2016.09.12 文=編集部 Business Journal
家庭向け電力小売りの完全自由化は今年4月にスタートした。消費者が電力会社を替えるペースは自由化当初の4分の1に落ちたが、それでも優勝劣敗がはっきりと見えてきた。
経済産業省の認可法人、電力広域的運営推進機関によると、大手電力から新電力へと切り替えた件数は3月までの事前申し込み段階で51万件に達した。自由化実施後は伸び悩み、4月の申請は31万件、5月22万件、6月23万件、7月21万件とペースダウンした。7月末時点の累計は147万件で、総契約数(6260万件)の2.3%にとどまる。
地域別では、東京電力ホールディングス傘下の送電事業者である東京電力パワークリッド管内が最も多く87万件。関西電力管内の29万件がこれに続き、両管内だけで8割を占めた。
新電力のなかでは、東京ガスの圧勝である。同社は初年度の契約目標を40万件としていたが、7月末までにこの数字を達成し、目標を53万件に引き上げた。7月までに獲得した40万件は、東京電力管内で新電力に切り替えた87万件のうち46%を占めたことになる。
東京ガスは、参入初年度は広告や営業活動の費用がかさみ赤字になると見ていたが、契約件数が想定を上回ったことで初年度から事業の黒字化をもくろむ。2021年3月期には首都圏需要の10%のシェア、営業利益100億円が目標だ。
■東京ガス=エネット連合が新電力の勝ち組
各社とも、電力とほかのサービスのセット割引で浸透を図っている。KDDI(au)、ソフトバンクは携帯電話料金とセット、ENEOS(JXエネルギー)、昭和シェル石油などの石油会社はガソリン代とセット、私鉄の東京急行電鉄は定期代とのセット、東京ガスはガス代とセットの割引がセールスポイントだ。
東京ガスに圧倒され、通信・石油・私鉄の新電力は勢いが鈍った。JXエネルギーは、首都圏で初年度50万件の顧客獲得を目指して参入した。11万件の契約を得たが、3月までの事前申し込みがほとんどで4月以降はあまり増えていない。
当初から、東京ガスが勝者になると予想されていた。電力自由化は00年の大型工場や百貨店から始まり、04年に中型工場やスーパー、05年に小型工場が加わるといったように、段階的に進んできた。東京ガスは大口需要家向けに営業しており、実績があるうえに、同社が出資するENNET(エネット)が新電力の最大勢力となっていることが強みとなった。
エネットは00年7月、東京ガス、大阪ガス、NTTファシリティーズが共同出資して設立。新電力事業者としては15年連続でトップシェアである。家庭向け電力自由化前に、すでに新電力のシェアの41%を持っていた。
■大口需要家の動きが目立つ
マンション管理会社の東急コミュニティーはエネットと提携し、低圧電力契約のマンション共用部分を対象に、電気を安く提供する電力小売りサービスを8月15日から開始した。
東急コミュニティーグループが管理するマンションのうち3000組合を対象に、エネットが供給する電力を、東急コミュニティーが取次業者となって販売する。
コンビニエンスストアチェーン大手のローソンは、東京電力管内3000店の電力契約を新電力に切り替える。三菱商事と共同で設立したMCリテールエナジーが9月から順次電気を供給し、電気代は年間で数億円減るとしている。ローソン全店舗の電気使用量は年5億キロワット時で、これは一般家庭の約15万件分に相当する。
コンビニ業界では9月1日にファミリマートとユニーグループ・ホールディングスが経営統合し、ローソンは店舗数で業界2位から3位に転落した。そこで電気料金を見直し、加盟店の経営を支える方針だ。他地域でも大手電力から新電力への切り替えを進める。
10月25日に東京証券取引所に新規上場を予定している九州旅客鉄道(JR九州)は、在来線の駅舎や運転士が詰める小規模事務所など計3800カ所うち1000カ所の電力について、九州電力から新電力に切り替える。
契約を切り替えるのは、いずれも一般の家庭用と同じ契約電力50キロワット未満の低圧電力の施設だ。電力を供給するのは、福岡県みやま市が中心となり設立した、みやまスマートエネルギーと、ハウステンボス子会社のHTBエナジー、建設・不動産業者である南和の新電力部門が独立したナンワエナジーの3社だ。
JR九州の青柳俊彦社長は、電車を動かす電気や新幹線の駅など、契約電力が50万キロワット以上の高圧電力を使う施設について、「キャパシティー(容量)の大きな新電力があれば(変更を)考える」と述べ、九州電力からの切り替えを排除しない考えを示した。
JR九州の電気代は年間100億円程度。株式上場する同社にとって、コスト削減は重要な課題だ。低電圧の切り替えによる電気代の節約は年間数千万円程度だが、高圧電力を切り替えれば同数十億円のコスト削減になる。
JR九州の高圧電力の需要に応えられるほどのキャパシティーを持っているのは、東京ガスグループのエネットだけだから、すぐに実現する可能性は低いかもしれない。
JR6社のうち、大手電力会社から新電力への切り替えを導入するのはJR九州が初めてだ。高圧電力まで切り替えるようになれば、インパクトは大きなものになる。
■東京電力vs.東京ガスの第2ラウンド
17年4月には、都市ガスでも家庭向けが自由化される。東京ガスにとって、電力の契約を取ることは都市ガス自由化への備えでもある。電力自由化で東京ガスや大阪ガスに攻め込まれた東京電力や関西電力が逆襲に転じるのは間違いないからだ。
東京電力は、電力分野で協力関係にあるLPガスの日本瓦斯(ニチガス)に17年4月から都市ガスを供給する。供給量はLNG(液化天然ガス)換算で24万トンに上り、拡販目標の4分の1に達する。
東京電力とニチガスは、4月から関東で電気とLPガスのセット販売を始めた。ニチガスは原料のLNGを東京ガスから調達していたが、東京電力に切り替えた。17年4月から始まる都市ガスの自由化でも連携を強化し、東京電力がニチガスにガスを卸供給する。
東京電力傘下の電力小売会社、東京電力エナジーパトナーズの小早川智明社長が、7月15日付でニチガスの特別顧問になった。
電力に続く都市ガスの小売り自由化を機に、大口需要家の間でガスの購入先を見直す機運が高まっており、ニチガスは先鞭をつけた。
東京電力は24年3月期に都市ガス販売で関東圏の2割のシェアの獲得を目指すと宣言した。17年4月から東京電力と東京ガスによる電力・ガスのエネルギーの争奪戦が火ぶたを切る。両社とも一歩も引かない構えだ。
(文=編集部)
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