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60すぎたら「安く楽しく暮らせる町」へ引っ越しませんか? 東京の周辺にだって、選択肢はある
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49649
2016.9.11 週刊現代 :現代ビジネス
「老後は、どこか暖かい南の島で気楽に暮らしたい」。そんな願望はあっても、実際、遠方に移住をするのは、なかなか難しい。だが老後の生活は、近場に引っ越すだけでも楽しくなるかもしれない。
■固定資産税が15万円減った!
かつてなら、私たちはこう考えただろう。
60歳は人生の節目。マイホームを手に入れ、子育ても終えた。仕事からもリタイアするいま、余生はあわてず、縁先で茶でも飲んで静かに暮らそう—。
だが、いまや日本人が80歳、90歳まで生きるのはごく普通のこと。100歳を目指すこととて夢ではない。
まだ20年、30年と続いていく人生。それなのに、定年を迎えて収入は大きく目減りする。
「年金をあてにしていたが、思っていたより生活は苦しいですね。現役時代は気にならなかった固定資産税、車検代、健康保険料から水道代、光熱費まで……これが本当にキツくなってくる。
年金をもらってみるまで、年金にさえ所得として税金がかかるなんて、想像もしませんでしたよ。厚生年金ももらっている私が死んで妻が残された場合はもちろん、基礎年金だけの妻に先立たれただけでも、収入が減ってあっという間に家計が崩壊、ということになりかねない。ゾッとします」(都内在住・64歳男性)
そんな不安もある中、少しでも生活のコストを下げられないかと、大都会を離れ地方都市に移住する人も増えている。
フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史氏は、こう話す。
「たとえば、私がお勧めしたいのは愛媛県松山市です。住宅費は東京の3分の1程度で、食料品などの物価は約10%も安い。気候が温暖で光熱費もおさえられます。しかも、路面電車が走っていて市内の交通の便がいい。路面電車ですから、階段の上り下りもなくて楽ですよ。全国を巡るコンサートツアーが来るようなホールもあり、路面電車に揺られれば、すぐに道後温泉につきます」
田舎過ぎず、病院や娯楽施設へも公共交通機関で行ける、コンパクトな地方都市。親類縁者がいるなど地縁があれば、思い切った移住も、なおしやすいだろう。
だが一方では、そこまで大胆な地方移住には踏み出しにくい、という人も多いのは事実。年齢を重ねて、住み慣れた地域から遠く離れるのは、何かと気が重いものだ。
また、定年後も再雇用などで働き続ける人が増える中、地方移住は「まだ難しい」ということも多いだろう。
そこで今回、考えるのは、生活圏を大きく変えることなく、先ほど挙げたような様々な生活コストを節約できる「プチ移住」だ。まずはこんな声を聞いてほしい。3年前に千葉県船橋市の総武線下総中山駅近くに転居した高橋利伸さん(65歳・仮名)は、こう話す。
「節約になったのは偶然で、気がついたのは引っ越した後なんです。以前は川(江戸川)の向こうの東京都江戸川区民でした。親の代からやってきた小さな工場兼住宅でね。あちこちガタが来て、建て替えも考えたんだが、息子はサラリーマンで、跡を継ぐわけじゃなし。娘が結婚して千葉の西船橋に住んでいたので、その近くの手ごろな中古住宅を探したんです。いまさら新築でローンを組むのはイヤだったからね」
元の住居はおよそ土地160m2、家屋の床面積は140m2。これを手取り約3500万円で売却し、千葉県船橋市の築5年、売値約2200万円の中古住宅を購入した。
その移動距離はというと、元の最寄り駅だったJR総武線新小岩駅からたったの4駅。乗車時間は10分に過ぎない。
新居の床面積は85m2程度だが、「もともと工場は居住空間じゃなかったから、広さが変わった印象はない」(高橋さん)。
引っ越し代など諸費用を差し引いても、手元には約1000万円の資金が残ったが、「節約になった」と言うのは、この1000万円のことではない。家計から出ていく支出そのものが「減った」というのだ。いったい、どういうことなのか。
まず変わったのは固定資産税だ。引っ越し前の自宅は、固定資産税の評価額で3600万円程度。税額は年間約22万円だった。だが新しい家の固定資産税は約14万円。東京を離れ、評価額が2000万円弱に下がったからだ。ファイナンシャルプランナー(FP)の横川由理氏は、こう話す。
「少し郊外に移住して、若干、住まいを小さく、ダウンサイジングしてみる。お子さんも独立したということが多いでしょうから、夫婦二人でちょうどいい家に引っ越してみるというのも非常に有効な手です」
そして横川氏は、これまで見てきた実例などから考えた、驚きの試算結果を教えてくれた。
「元サラリーマンの夫と2歳年下の専業主婦の場合です。夫が定年後も再就職して5年間働き、妻が基礎年金をもらって……と60歳以降の家計の収支を計算すると、ごく平均的な支出の生活を続けても、夫90歳、妻88歳の時点で767万円の赤字になります」
つまり、60歳時点で700万円の蓄えがあっても、老後破産してしまうということだ。
「この夫婦が仮に、都内にある土地2000万円、建物2000万円の自宅から、千葉県内の土地1500万円、建物1000万円の物件に移ったとします。固定資産税は約32万円から17万5000円に下がった。これだけで、90歳時点の赤字が96万円と激減します。引っ越し後の食費や被服費などを5%削れば、収支が黒字になることも分かりました」(横川氏)
固定資産税を減らせば、わずかな生活の工夫で長い人生を乗り切れる。
一方、前出の高橋さんが家計簿を見て驚いたことが他にもある。国民健康保険料だ。引っ越し前は年間約20万円だったが、約16万円に下がった。All About医療保険ガイドでFPの松浦建二氏は、こう話す。
「あまり意識されていない方が多いと思いますが、国民健康保険料は市区町村によって異なります。
保険料には均等割部分と所得割部分があり、均等割は家族1人あたり一定の金額を取られる。所得割は前年の所得に対して料率を掛け算して計算されます。この均等割の額や所得割の率が、市区町村ごとに違うのです」
■葛飾と町田で20万円違う
少しややこしいが、これがどれくらいの差額を生むか見てみよう。
たとえば、東京都江戸川区の場合、国民健康保険料のうち、医療分の均等割は3万5400円。後期高齢者支援分の均等割が1万800円。40〜64歳の人が負担する介護分は1万4700円だ。
一方、千葉県船橋市の均等割は、医療分で2万4360円。支援分で7090円。介護分は9610円になる。
その差は、1人あたり1万9840円。夫婦2人なら年間3万9680円だ。
松浦氏は、こうした差はごく近い市区町村の間でも生じると指摘する。
「たとえば、同じ東京都内でも大きな差が生じることがあります。
一般的な40代の夫婦と子供2人の4人家族で試算してみると、都内でも国民健康保険料が高くなる葛飾区と、安くなる町田市との間で年間約20万円の差になることが分かりました」
ほんのわずかの移動でも、安く暮らせる可能性がある「プチ移住」。社会保険労務士でFPの井戸美枝氏が注目するのは、水道料金だ。
「メディアではほとんど注目されてこなかったと思うのですが、上下水道料金は郊外に出ると大きく変わることがあります。年によって多少変動はありますが、たとえば埼玉県三郷市は水道料金が安いことで知られています」
東京都水道局によれば、2人家庭の平均的な月の水道使用量は約16m2。三郷市の場合、下水道使用料を含めた料金を計算すると、消費税込みで月あたり2808円となる。
一方、東京23区では3432円。年間では7488円の差だ。
「他にも、千葉県松戸市など、都内から電車で数十分の街に移住するだけで、上下水道の料金が安くなる場所があります。電力は自由化されましたが、上下水道は住む場所によって決まるので変わることがない。プチ移住を考えるなら、見逃せないポイントだと思います」
たしかに、「老後」が30年もあると考えれば、けっしてあなどれない差が生まれる。
さらに、井戸氏は大都市の近郊でも、日々の生活に欠かせない食料品などの物価は、街によって大きく変わると指摘する。
「総務省が発表している小売物価統計の中で、地域間の格差が計算されています。全国の県庁所在地や政令指定都市での比較ですが、平均を100としたとき、東京23区が106・1と最も高く、佐賀市が96・7で一番安い(平成26年版)。
高いほうには首都圏の都市が並んでいて、2番目以降も川崎市105・0、横浜市104・8、さいたま市103・0となっていくのですが、実は千葉市は100・0。青森市や山形市、鳥取市などに近いんです」
■賃貸に住む選択肢も
同じ首都圏でも大きな差が出ている物価。単純化して考えれば、東京23区から千葉市に移るだけでも、6%も生活費が変わることになる。
ごく近い街に移るだけで得をする「プチ移住」。専門家らの話をもとに、どんな移住があり得るのか、具体的なシミュレーションを考えてみよう。
たとえば、東京都中野区在住の60代の夫婦。親の持っていた中野駅近くの土地に、30年ほど前、一戸建てのマイホームを建てて生活してきた。だが、子供たちも独立し、広い2階建ての家は掃除の手にも余るように。
この夫婦が、JR中央線で20分下った武蔵境駅近くの低層マンションに引っ越した場合が上の図だ。固定資産税12万円減は、マンションの管理費・修繕積立金とトントンだが、三鷹市に移住したことで国民健康保険料が年5万円下がった。
さらなる安心材料は、徒歩圏内に中核病院である武蔵野赤十字病院があることだ。多摩地域の医療拠点として定評ある総合病院で、救急外来も受け付けている。
前出のFP・横川氏は、こう指摘する。
「プチ移住では医療機関が近くにあるかも重要な要素です。郊外でも、あまり遠くに離れてしまうと車社会になり、公共交通機関で病院に行くことが難しくなってしまうので、要注意でしょう。
私は東京都内なら清瀬市はとてもいいと思っています。西武池袋線の始発駅で、都心に出るにも座っていけます。一方で、たとえば賃貸で考えれば家賃月8万円でも50m2の物件もある。60歳以降、30年間暮らすとして計算すると、2500万円の家を買って17万5000円の固定資産税を払うとした場合とイコールになります。賃貸で暮らすという選択肢もあるんです。
それに清瀬は、かつて結核療養所があったことで開けた街で、実は病院が比較的多いのです」
一方、前出の松浦氏は、プチ移住がお得になる、こんなシミュレーションもあり得ると話す。
「大田区の下丸子駅付近で、多摩川沿いのマンションに住んでいた方が、通勤時間20分程度の品川の会社に勤めていたとします。この方が定年退職後も再雇用で同じ会社で働いているが、プチ移住するとしましょう。勤務先の品川から遠くに離れるのは、通勤費や精神的な疲労のことを考えても得策ではない。そこで横浜市のマンションに移ることを考えます」
上の図が、このシミュレーションだ。都内とは物価などもほぼ変わらないが、固定資産税を減らした効果が大きい。さらに、横浜駅から品川駅までは電車で一本、通勤時間も引っ越し前とほぼ変わらないのがうれしい。
少しの距離の引っ越しで、生活が楽になるプチ移住。前出の横川氏は、これだけは注意してほしいと話す。
「大切なのは、退職など夫の仕事の区切りが来たときに突然言い出すのではなく、事前に妻と相談することです。夫の交友関係は仕事中心ですが、妻は地域にお友達がいるわけですから、いきなり移住と言われても『一人で行ってらっしゃい』となりかねませんよ」
事前の情報収集は、移住先についてだけでなく、家庭でも必要だ。
「週刊現代」2016年9月10日号より
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