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お得な電気を買い物客にPRする販売担当者 (c)朝日新聞社
電力自由化から半年 明暗別れた新電力会社1位は?〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160831-00000207-sasahi-ind
週刊朝日 2016年9月9日号より抜粋
4月に家庭向け電力販売が自由化されてから、まもなく半年になる。電力販売に参入した「新電力」会社は300社超あるが、実際に家庭に売っているのは数十社。主な会社に取材し、契約数を調べると価格差、信頼感、販売力などで明暗が分かれていた。
トップは東京ガスで、初年度目標の40万件をすでに突破し、53万件に引き上げた。大阪ガスが17万件と続き、上位は都市ガスやLPガスの会社が目立つ。ガス機器の販売やボンベ交換で家庭を訪問する営業力が強みになっている。天然ガスによる発電が多い。
東京急行電鉄系の東急パワーサプライも堅調で、5万7千件。電気代の節減に加え、東急の電車やバスの乗車でたまるポイントが2倍になる利点がある。
広報担当者は「電力は鉄道と並ぶ第2の公益事業。短期的利益でなく、沿線価値向上が目的です。今年度10万件、10年後に沿線約250万世帯のうち55万世帯の契約が目標です」と話す。
大手以外で健闘するのは、コープさっぽろなど生協系の電力会社。太陽光発電など自然エネルギーを中心にした電気を掲げる。東京電力の福島第一原発事故で高まった脱原発を望む声が、追い風になっている。
太陽光発電システムの販売で成長したベンチャー企業のLooop(ループ)も上位入り。東日本大震災後、被災地での太陽光パネル設置のボランティアを機に創業し、「電気も、自然派でいこう!」とPRする。
同社の特徴は基本料金ゼロと、通常は3段階に分かれる従量料金単価の統一。小嶋祐輔部長は「わかりやすい料金が好評です。ただ、大手も値下げ攻勢をかけており、対抗策を検討中。本格的な戦いはこれから」と話す。今は東京、中部、関西の3エリアで販売中で、東電の管内が約7割だ。9月から順次、北海道、東北、中国、九州にも広げる。
みんな電力も同じベンチャー系で、自然エネルギーを前面に出す。申し込みは約1500件とまだ少ないが、太陽光発電を中心に、小規模の市民発電所を関東圏に約40カ所確保した。
電力購入を考える家庭はまず無料で会員登録し、募集があった際に申し込める方式。契約すると、応援したい発電所をホームページで選ぶ。スーパーの野菜売り場に生産者の名前や写真が表示されているように、発電所にどんな人が関わっているかを紹介し、親しみを感じてもらう試みだ。
発電所は2020年までに2千カ所へ増やす構想。広報担当者は「自然エネを望む人の申し込みが多いと予想したが、想定より幅広い層の支持を得た」と話す。
こうしたベンチャー企業から電気を買っても、大手電力会社の送電網を使うため、安定性は支障ないのが電力自由化のポイントだ。
一方で、特徴や利点を十分にアピールできず、苦戦中とみられるのが携帯電話会社など通信系の新電力。切り替え時に必要な、電力の検針票を販売店に持参する人は想定ほど多くないようだ。販売関係者は「ショップの来店客はいったん自宅に帰って検針票を探し、再び手続きするのが手間なようです。使用量の少ないお客様はお得額が小さく、手間に合わないと感じるのかもしれません」と話す。
4月以降、どのくらいの契約が変わったのか。
自由化を進めるために国が設けた組織「電力広域的運営推進機関」によると、切り替えは7月末時点で全国148万件。過半数の87万件が東電エリアだ。震災後に2度値上げした、関西電力や北海道電力のエリアも多い。切り替えは、全国6250万件の家庭向け契約の2%ほどになる。
この数字をどうとらえるか。みずほ総合研究所主席コンサルタントの宮澤元氏は「想定どおりのペース。大手も顧客を囲い込む対抗策をとるなか、十分大きな数字です。海外でも、ドイツやフランスなど穏やかなペースで契約先が変わった国もあります」と話す。
顧客離れを防ぐため、大手もより魅力的な新メニューを出している。大手の動きに対し、電力比較サイト「エネチェンジ」の巻口守男副社長はこう指摘する。
「2%は、大手から新電力へ切り替えた数のみ。東電や関電などが自由化後に出した新料金プランへの切り替えは、入っていません。こうした変更も171万件あるため、自由化を機に何らかの切り替えをしたユーザーは、計300万件超で約5%。こちらの数字が、実態に近いのではないでしょうか」
エネチェンジでの直近3カ月(5〜7月)の切り替え先をみると、関電エリアの利用者の切り替え先は、1位ループ、2位東電、3位ミツウロコだった。
電力自由化の今後について、巻口氏はこう続ける。「どのくらい電気代が安くなるかを、ユーザーもまだ実感できないのかもしれません。自由化のメリットを実感すれば、SNS等で情報発信し、口コミが広がって効いてくるでしょう」
みずほ総研の宮澤氏は、新電力のなかでリーダー格になる会社が出てくるかどうかに注目している。
「どの産業もそうですが、市場が開放されたら、シェアを増やす競争のなかで、再編が進む。ただ、大手がすべて食ってしまうようになっては元も子もない」
今はまだ群雄割拠の時代だが、特長のない会社はいずれ淘汰(とうた)される恐れがある。原子力発電所の再稼働が進んだり、今は安値の原油が高騰したりすれば、水力、火力、原子力など、さまざまな発電所を持つ大手の総合力の強みが増してくる。
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