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焦点:
LIBOR上昇、主因は欧州銀不信と日欧のドル資産投資
[東京 31日 ロイター] - LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が、7年3カ月ぶりの水準まで上昇している。米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)に対する規制強化も背景にあるが、欧州銀行に対する不信や、日本や欧州からの過剰なドル資産投資が足元の上昇要因だ。
米利上げの織り込みは進展しておらず、この情勢下で9月利上げが実施されれば、金融セクターだけにとどまらず世界経済にも大きな負担となりかねない。
<欧州銀の信用リスク>
世界で300兆ドル以上の金融商品の指標である3カ月物ドルLIBORは、30日に0.84211%と2009年5月14日以来の高水準に達した。上昇ペースも速く過去2カ月間で20ベーシスポイント(bp)、水準を切り上げている。
その1つの要因とみられているのが、欧州銀行の信用不安。複数の市場関係者によると、英国の欧州連合(EU)離脱決定等を背景に、欧州銀の信用リスクがあらためて意識され、欧州勢のドル調達に上乗せ金利が発生した可能性があるという。LIBORは無担保取引であるため取引相手の信用リスクに敏感に反応する。
外資系金融機関の財務担当者は、一部の欧州銀はリーマンショックで抱えた不良資産の処理を先送りにしたままだと指摘する。そこへマイナス金利や金融規制など新たな収益圧迫要因が新たに発生し、この数年間で収益挽回を狙ったハイリスク運用に傾斜したという。
しかし、「それらが損失を生み、一段と健全性を損なうという悪循環に陥っている金融機関も少なくない」と話す。
実際、欧州銀のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数は、足元で254付近。米銀の60、邦銀の58に比べ、欧州銀が大きな信用リスクを背負っていると市場で認識されている。欧州銀行の株価は総じてブレグジット後の急落から戻しているが、不安が払しょくされたわけではない。
ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)は8月9日、欧州51銀行にFRB方式のストレステストを適用した場合、ドイツ銀行の資本不足が190億ユーロと最大になる可能性があるとの調査結果を公表した。
<日欧からの過剰なドル資産投資>
もう1つの要因は、日本や欧州からの過剰なドル資産投資だ。
欧州銀の運用残高を通貨別にみると、最近は貸出・債券ともにユーロ建てシェアが低下し、ドル建てシェアが上昇している。
ユーロ圏外への貸出は、14年末でユーロ建てシェアが39.1%、ドル建てが40.4%だったが、16年6月末にはそれぞれ34.6%、43.1%となっている。
この背景には、欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利導入(2014年6月)でユーロ建て市場の運用利回りが低下したことが影響している。欧州銀は、米連邦準備理事会(FRB)の引き締め(量的緩和の縮小、利上げ)やドル高に伴い、ドル建て運用を増加させている。
さらにECBが2015年1月に量的緩和を決定し、欧州銀が買い取り対象であるユーロ建て債券をECBに売却したことも影響している。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部、主席研究員の廉了氏は「特に7月以降、欧州債のイールドカーブがフラットニングしてきたため、スペインやイタリア債で信用リスクを取るつもりがなければ、『質への逃避』でドル債に向かうしかなかったのではないか」と分析する。
欧州銀のドル運用が増加する中、ドル調達にもストレスがかかり始めている。ユーロ投/ドル転スワップでは、2015年半ばまで20bp程度に収まっていた3カ月物ベーシス(欧州銀のドル調達に課される上乗せ金利)が、足元で40―50bpに拡大している。
日本でも、7月の対外中長期債投資が5兆4494億円と大幅に増加し、現行統計が開始された2005年1月以来最大となった。円投/ドル転スワップのベーシスは既に155bpに達している。
<9月米利上げに警戒>
前回、LIBORが上昇したのは昨年10月から。FRBがFF金利の誘導目標を9年半ぶりに引き上げるとの思惑を映し、12月半ばの利上げを挟んで累計で30bp上昇した。その後、LIBORは今年6月まで0.6%台で安定的に推移していた。
しかし、今回の上昇の起点は7月初旬。当時は米利上げ観測が後退していた時期であり、足元のLIBOR上昇が、米利上げを織り込んだものとは考えにくい。
実際、26日のジャクソンホールでのイエレン議長講演後のLIBOR上昇幅は0.8bp程度にとどまっている。
それだけに、FRBが利上げに踏み切ったときの影響は大きくなる。日欧が運用/調達両面でのドル依存を高める中、FRBが9月に利上げすれば、ドル建て債務が大きい新興国への影響だけでなく「(世界的に)金融市場と実物経済の両面で大きな負担となる」(グローバルエコノミスト、斎藤満氏)と警戒されている。
(森佳子 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/libor-bank-dollar-idJPKCN11611E
浜田内閣官房参与:リーガルには許されている−為替介入、外債購入
高橋舞子
2016年8月31日 17:27 JST
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• アベノミクスがうまくいかない可能性もあると思った−この半年ほど
• 物価目標はコアコア2%に−上田ハーローのセミナーで発言
浜田宏一内閣官房参与は31日午後、上田ハーローがウェブサイト上で開いた特別セミナーで、財務省の為替市場介入や日銀による外債購入は「リーガルには許されている」と述べながらも、「問題は相手がどれほど報復してくるか」だと述べ、政策の実現には米国との関係が重要になるとの見方を示した。
浜田氏は、アベノミクスについてこの半年ほど「うまくいかない可能性があるんじゃないか」と思い始めたと明かし、理由として日本の金利が下がっているにもかかわらず、円安・ドル高に動かなかったことを挙げた。その上で、各国中央銀行首脳が出席した先週末の米ジャクソンホールの会合で、「外為市場に関した雰囲気というのが変わるのではないかといういくばくかの期待は出てきた」と述べた。
浜田宏一氏
Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg *** Local Caption *** Koichi Hamada
日銀の外債購入に関しては「制限はない」と述べたが、米国の反発が避けられないため、「経済外交としての根回しが必要になる」と述べた。日本の通貨当局が介入すべき為替水準への言及は避けた上で、1ドル=100円は「1つのきっかけにはなる」と指摘。経済学的に意味のある数字ではないが、「行動経済学上は重要」と述べ心理的な節目にはなり得るとの見方を示した。
日銀の物価目標については、現在の生鮮食品を除いた消費者物価指数(CPI)よりも、変動の大きいエネルギーも除いた「コアコアCPI」で2%を目指すべきだとの考えを示した。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/icsWYUdrUf9c/v3/-1x-1.png
アベノミクスの下で為替相場は2015年6月に一時1ドル=125円台まで下落したあと反転。日銀が1月にマイナス金利導入を決定したあと円高が加速し、一時1ドル100円を割った。31日夕の
東京外国為替市場では1ドル=103円台で取引されている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-31/OCRKWY6TTDSB01
焦点:17年度予算要求額、3年連続で100兆円突破 遠のく財政改善目標
[東京 31日 ロイター] - アベノミクス5年目の成長と財政再建を目指す2017年度予算の概算要求額は、3年続きで100兆円を超す見通しとなり、財政健全化に一段の逆風が吹いている。
政府は18年度に基礎的財政赤字を国内総生産(GDP)の1%を目安に改善させる目標を掲げているが、実質2%、名目3%という期待通りの成長シナリオが実現できても、目標達成に5兆円不足する。安倍晋三政権下の財政再建は、一段ときしみを生じかねない情勢だ。
政府は8月2日に閣議了解した概算要求基準で、成長戦略などに予算を重点配分する4兆円の「特別枠」を設定し、国債の利払いや元本返済を除く歳出に上限を設けなかった。そのため17年度予算要求では、インフラ整備や「1億総活躍プラン」などの看板政策の経費が積み上がる結果となった。
さらに高齢化に伴う医療、介護費の膨張も止まらない。一般会計予算の3分の1を占める社会保障費は要求ベースで31兆円を超え、公共事業などへの支出を含めた政策経費は、77兆円程度に膨らむ見込みだ。
政府関係者のひとりは「アベノミクスの効果が着実に実現したケース(成長率実質2%、名目3%)でも、18年度の目標に5.1兆円足りない。17年度予算から歳出にメスを入れなければ目標の後ずれは不可避」と指摘する。
財務省は各省庁からの要求を踏まえ、年末に向けて予算要求の査定に着手する。政府は、社会保障費の伸びを「高齢化による増加分の範囲内」(5000億円程度)に抑える方針を掲げており、財政規律を維持できるかどうかは、要求額をどこまで削りこめるかにかかっている。
16年度と異なり、17年度予算編成では2年に1度の薬価改定といった大幅な抑制要因がないため、高額療養費制度の見直しなどの構造改革がカギとなる。大胆な削減に踏み切れなければ「政府の財政運営に市場の疑いの目が向けられかねない」(別の政府関係者)との懸念も漏れてくる。
日銀のマイナス金利政策に伴い、17年度予算要求では、国債利払い負担の計算根拠となる積算金利が引き下げられるという恩恵もあり、国債費の要求額は24兆6174億円(要求ベース)と5年ぶりの減額となる。
ただ、利払い費が軽くなっても国債残高そのものは増え続け、予算の4分の1を債務償還などに充てる厳しい財政構造は変わらない。
14年度以降、バブル期に迫る税収を確保する一方、歳入を補う国債発行を減らしてきた。
しかし、今年初めからの円高で企業収益が圧迫され、法人税収は伸び悩みの動きをみせている。15年度の税収は56兆2854億円と、年度途中の想定税収額(56兆4000億円)を割り込んでおり、市場では「成長率が伸びていなければ、20年度に基礎的財政収支を黒字化する目標は難しい」(大和総研・シニアエコノミストの神田慶司氏)との見方が強まっている。
(横田浩熙 編集:北松克朗)
http://jp.reuters.com/article/focus-mof-budget-idJPKCN1161C5?sp=true
債券は下落、あすの10年入札控えて売り優勢−超長期は不安定との声
池田祐美
2016年8月31日 08:04 JST 更新日時 2016年8月31日 15:40 JST
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先物は10銭安の151円41銭で安値引け、長期金利はマイナス0.065%
日銀の検証への不透明感から超長期ゾーン不安定−みずほ証の丹治氏
債券相場は下落。あすの10年物国債入札を控えて、上値が重い展開だった。日本銀行による9月会合での金融政策の「総括的な検証」に対する不透明感から、超長期ゾーンは不安定との声も聞かれた。
31日の長期国債先物市場では、中心限月9月物は前日比3銭高の151円54銭で始まった。いったんは7銭高の151円58銭まで上昇したものの、その後は徐々に売りが優勢となった。結局は10銭安の151円41銭で安値引けとなった。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iImayW48BF0c/v3/-1x-1.png
先物中心限月の推移
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは日本相互証券公表の前日午後3時時点の参照値を0.5ベーシスポイント(bp)下回るマイナス0.085%で始まった。その後は水準を切り上げ、マイナス0.065%まで上昇している。
超長期債は下落。新発20年物の157回債利回りは2.5bp高い0.335%、新発30年物の51回債利回りは2.5bp高い0.42%、新発40年物9回債利回りは3bp高い0.49%までそれぞれ上昇している。
みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「基本的に9月の日銀会合での『総括的な検証』結果を待っている状態。市場のコンセンサス予想は固まっていないが、マイナス金利の撤廃の可能性は低いと見込まれている。このため10年以下のゾーンは堅調に推移するだろう」と指摘。一方で、「不透明感が強い中で、国債買い入れを柔軟化すれば、将来的に減るとの観測になりやすく、超長期ゾーンには金利上昇圧力がかかりやすい。不透明感から超長期ゾーンは不安定」とも述べた。
財務省は9月1日、10年物利付国債の価格競争入札を実施する。償還日が3カ月延びるため、新しい回号となる。発行予定額は前回と同額の2兆4000億円程度。
バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、10年債入札について、「ややポジション調整的な圧力はあるだろうが、一方で2年入札が強かったように、マイナス金利の深掘りがやや意識されており、マイナス0.10%を上回る今の水準であれば一定の需要が見込めるのではないか」と述べた。
みずほ証の丹治氏は、10年債入札の見通しについて、9月の金融政策決定会合で「マイナス金利撤廃の可能性が低いのであれば、10年債利回りの上昇余地は限られる。無難以上の結果になると思う」と話した。
長期国債買い入れ
日銀はこの日午後5時、「当面の長期国債買い入れの運営について」を公表する。9月は8月のオペ金額がおおむね継続されるとの見方が出ている。
バークレイズ証の押久保氏は、「9月の日銀買いオペ金額については8月から据え置きを予想している。9月の日銀会合前に市場に変な憶測を生じさせたくないだろう」と見込んでいる。
みずほ証の丹治氏も、「今回は買い入れペース調整で減額する必要はないと思う。超長期ゾーンは、応札倍率も他のゾーンに比べて高い。超長期ゾーンを減らす理由はないだろう」と予想している。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-30/OCNQHD6K50XZ01
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