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パナソニックはリオ五輪の35会場に過去最大72台の大型映像装置を設置。メイン会場では110台のプロジェクターを用いて開閉会式を演出した(写真:フォートキシモト提供)
巨大チャンスをつかめ!東京五輪に向けスポンサー企業は着々準備中〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160824-00000253-sasahi-bus_all
AERA 2016年8月29日号
大航海時代の大海原に、アマゾンのジャングル。リオ五輪開会式では、投影した映像を立体的に見せる「プロジェクションマッピング」による演出が、会場を沸かせた。
プロジェクターを納入したのはパナソニック。1業種1社制のワールドワイドオリンピックパートナー(TOP)で、AVカテゴリーを担当している。TOPは世界で12社のみだ。
リオ五輪からは機器の納入だけでなく、“ソリューション”も提供するようになった。開会式の映像演出は、大会組織委員会と協力してつくったものだ。
パナソニックは、制度開始の1988年のカルガリー五輪から、TOPになった。
「放送機器に参入するタイミングだったため、プロモーションを兼ねての参入でした」
ブランドコミュニケーション本部スポンサーシップイベント推進室の園田俊介室長は言う。以来、映像機器と技術を提供し続け、92年にはデジタル映像、2008年にはフルHD映像、12年には3D放送など、技術革新も行ってきた。
●金額換算は難しい
苦労もある。高額な契約金に対して、経済効果を明確に示すことができないからだ。
「スポンサーになれば、ライバル社に勝てるのか」と、社内で厳しい指摘を受けたこともある。
「効果を金額に換算するのが難しいのは広告と同じ。AV機器のパンフレットやCMなどに五輪ロゴを使えますし、会社や製品に対しての信頼度や好感度が上がることが期待でき、社員のモチベーションや誇りになります。新しいビジネスチャンスもあり、ロンドン五輪でお披露目した超高輝度プロジェクターは、世界でトップシェアを獲得しました」(園田さん)
14年2月、国際オリンピック委員会(IOC)と24年まで契約を更新した。17年からは担当カテゴリーに、エリア限定で電動自転車と白物家電も加わることが決まった。同年10月には、国際パラリンピック委員会(IPC)と公式パートナー契約も結んだ。
同社東京オリンピック・パラリンピック推進本部の北尾一朗副本部長は、「東京開催の可能性は計り知れない。これまで以上のことができる」と言う。
●五輪後も持続発展へ
東京大会のスポンサーには、オリンピック40社、パラリンピック43社が決定している。パナソニックは早くも14年2月から推進本部を立ち上げ、各事業部に働きかけて準備を進めてきた。目標は、直接需要、関連需要、新規事業を含めた1500億円超の売り上げだ。
参考にしたのは、ロンドン五輪。貧困地区だったイーストエンド地区に、長期的かつ大規模な再開発計画を立てた。
「7年かけて準備したと聞いています。アテネ五輪後のギリシャの財政危機とは対照的に、五輪後も持続的に発展している。その成果は『レガシー』と呼ばれています。東京の発展もある意味五輪にかかっているのではないか」(北尾さん)
ビジョンは大きい。映像技術やスタジアムソリューションに加え、空港や街、選手村に、警備システムやサイクルシェアなどを提供し、新しい東京のカギになろうとしている。他社と連携して開発を進めているプロジェクトも多い。20年の巨大なビジネスチャンスを確実につかもうとしている。(編集部・熊澤志保、深澤友紀=リオデジャネイロ)
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