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[マイナス金利百景]やまぬ住宅ローン狂騒曲 借り換え審査、1カ月待ちも
日銀のマイナス金利導入から半年。空前の低金利を背景に、住宅ローンの借り換えブームが今も続く。銀行も借り換えを機に優良顧客を取り込もうと優遇策を競う。すでに低金利だった2年前のローンでもメリットはあるのか。記者も窓口に足を運んでみた。
「本日はご相談のお客様でいっぱいです」。8月上旬、住宅ローンの過熱も収まっただろうと三井住友信託銀行に予約なしで相談に行くと、いきなり出ばなをくじかれた。10年固定金利で年0.35%と群を抜く低金利だけに窓口の混雑ぶりは激しい。女性行員が追い打ちをかける。「融資の審査にも1カ月以上かかる場合がございます」
気を取り直し、三菱東京UFJ銀行に向かった。同行は21〜35年の超長期固定金利で1%未満だ。行員に試算してもらうと思わず目を見張った。総支払利息は諸費用を除いても200万円以上減っていた。
記者は2年半ほど前、2%程度の固定金利と変動金利のミックスローンを借り入れた。当時も超低金利といわれ、ずっとお得な金利で借りたと思っていた。それだけに総支払利息が4割減るという試算は衝撃的。ローンの半分を占める変動金利分を固定金利に換えることで金利上昇リスクから解放され、ボーナスまでもらった気分だ。「浮いたお金で新車が買える」。こんな思いも頭をよぎる。
住宅ローン特需は借り換え中心で、新規需要を引き出す効果は限られるとの声もある。だが実際に借り換えを経験すると「臨時ボーナス」が個人消費を喚起する波及経路は小さくないと実感できる。
(随時掲載)
[日経新聞8月23日朝刊P.5]
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