http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/376.html
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コラム:
円安にも求められる総括検証
唐鎌大輔みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
[東京 25日] - 年初来、円相場は一方的に騰勢を強めている。輸出企業や関連株価にとっては想定外の逆風と感じる向きも多そうである。だが、アベノミクス以前とは異なり、現状の日本経済が供給制約に陥っていることなどを踏まえれば、円高を条件反射的に「全面的な悪」として切って捨てることが本当に正しいのか、冷静な議論が必要だろう。
こうした主張をすると「円高など正気の沙汰ではない」と直情的な反応を示す向きもあるが、実際に過去3年間、必需品の価格上昇などを介し、家計部門は「円安コスト」を肌で感じたはずだ。もちろん、ファンダメンタルズから外れた急激な円高が日本経済に悪影響を与えることは論をまたない。筆者は為替に関して議論する機会を企業や投資家の方々からいただくことが多いが、その経験に照らしても行き過ぎた円高が一部輸出企業にとってショックとなることは重々承知している。
だが、行き過ぎた円安もまた、一部輸入企業にとってショックであったことも承知している。むしろ、今の日本経済の構造に照らせば、そちらの経路も看過できない。安倍晋三首相は2014年9月、「(円安には)プラスもマイナスもある。燃料代などが高騰しており、地方経済や中小企業に与える影響をしっかり注視していきたい」と述べ、円安の副作用に配慮を示したことがあったが、これは非常にまっとうな認識である。
購買力平価(PPP)に近い1ドル100円をフェアバリューとした場合、80円も120円もファンダメンタルズから2割外れた水準だ。今次局面では125円まで上昇したが、例えば2013年以降の実質国内総生産(GDP)の前期比を見れば、14四半期中、5期がマイナス成長、1期がゼロ成長である。この間、最大約50%も円安となったことを思えば、処方箋としての円安に対し、真摯な議論が行われるのは自然だろう。
目下、金融政策に関しては、日銀によって量的・質的緩和とマイナス金利付き量的・質的緩和の総括的な検証が進められているが、円安相場がもたらした影響についても同様の検証が必要に思われる。
<80年代後半に匹敵する交易条件改善>
マクロ経済的に見れば、円高と原油価格の低位安定は日本経済における交易条件(輸出物価/輸入物価)の改善を促すものだ。ある基準年からの交易条件の変化に関し、改善すれば交易利得が、悪化すれば交易損失が生じ、それぞれ国内居住者の実質所得が海外から流入ないし海外へ流出したことを意味する。
2016年4―6月期時点で、実質GDPと実質国内総所得(GDI)の差である交易損失は2009年10―12月期以来の水準まで縮小しており、実質的な購買力の改善が見て取れる。なお、1985年9月のプラザ合意後にも円相場の急騰と原油価格の下落(いわゆる逆石油ショック)が併存し、交易条件が急改善したことがあったが、2014年以降の交易条件の改善は当時に匹敵する震度と見受けられる。
当時の日銀はプラザ合意に起因する「円高不況」からの回復を企図して金融緩和に踏み切り、1985年末から1987年初頭にかけて連続的に利下げ(公定歩合引き下げ)を行った。交易条件の改善を背景に実質所得環境が上向いたこと、そして国内経済も(今とは違って)通貨安で輸出を加速させるだけの供給能力があった中で金融緩和に踏み切ったことが、その後のバブル膨張そして破裂へとつながったとの言説は多い。
<輸出数量を増やせない円安の意義>
一方、現状に目を向ければ、従前から進められていた海外への生産移管に加え、人手不足も重なり、思うように生産能力が確保できないという供給制約に直面している。本来、通貨安は輸出増加を起点として「生産増」「所得増」「消費増」といった好循環を期待するのが王道だが、国内の生産能力が制約となって、まず輸出増加につながる最初の経路が断たれている。
実際、2012年後半以降の円安局面で輸出数量は全く増えていない(むしろ減った)。輸出数量の増加に寄与できない円安が実体経済に対して、どのような恩恵をもたらすのかは直感的に理解が難しい。この際、決まって「株高経由の資産効果」といった理屈が持ち出されるが、家計部門の金融資産に占める株の割合は1割未満だ。
「株が上がって困る人はいない」のはその通りだが、家計部門は「困りもしないが喜びもしなかった」というのが統計から推測される事実と見受けられる。輸出数量を増やせない通貨安は、残念ながら、輸入物価経由で国内物価を押し上げ、家計部門の実質所得を押し下げるという結果になってしまう。
<円安がもたらした所得移転>
確かに、過去3年間の円安で輸出企業は潤い、税収も伸びたので政府部門にも恩恵はあった。だが、これは、円安発・輸入物価経由の物価高によって家計部門から企業部門への所得移転が進み、その企業部門から政府部門への納税額が増えたという構図にも見える。
もちろん、名目ベースで賃金は上がっており、「儲かっている企業は賃金を上げるべき」という社会規範をアベノミクスが作りつつあるのは良いことだ。そうでなければ賃金の上方硬直性は容易に打破できないだろう。だが、過去3年間で目の当たりにしたのは、その原動力として円安を用いると、実質ベースで海外へ所得が流出してしまうという現実だ。
この点は、一国経済の資源配分を考える上での要である貯蓄・投資(IS)バランスでも確認できる。ISバランスの近況を見ると、企業部門の貯蓄過剰が増加する一方で、家計部門の貯蓄過剰は減少しており、過去3年間における日本の民間部門の蓄えが、企業の増収増益から得られるイメージほど拡大しているわけではないことが分かる。やはり過去3年間の円安が日本のマクロ経済にもたらした現象は、家計から企業へ、そして政府へと国内3部門にまたがる所得移転だったという見方は一考に値する。
<インフレ増税からインフレ減税へ>
公的債務を削減するには財政再建か高成長、それ以外ではインフレによる目減り(いわゆるインフレ課税)しかない。上述の分析を踏まえれば、金融緩和による円安がもたらした成果は「軽度のインフレ課税による財政の改善」という整理も可能かもしれない。
そもそも供給制約の下で財政・金融面から需要刺激を図ろうとすれば、物価上昇によって実質所得が押し下げられ、当初よりもGDPが下振れるというのはマクロ経済学の基本に沿った展開でもあり、想定され得るものだった。
巷では人手不足の長期化を背景として派遣社員の時給上昇が止まらない状況が伝えられている。現状、一般物価が抑制されているのは原油価格が低位安定していることに加え、こうした人件費上昇がまだ企業努力によって吸収されているからだろうか。だが、この状況が続けば、どこかで価格転嫁が起こり、物価は上昇し、実質所得の劣化が想定される。
いずれにせよ、近年の円安がインフレ増税という形で家計部門の実質所得を圧迫したのだとすれば、少なくとも円高はインフレ減税という形で実質所得の押し上げにつながる可能性はあるはずだ。供給制約の下で家計部門の実質所得を防衛するには、理論的には円安よりも円高が望ましい。
むろん、円高を全面肯定するつもりは毛頭ないが、1ドル100円前後のPPPに沿った水準を悲劇のように囃(はや)し立てることが日本経済の実情に即しているとも思えないのである。
*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のチーフマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位、13年は2位。著書に「欧州リスク:日本化・円化・日銀化」(東洋経済新報社、2014年7月)
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-daisuke-karakama-idJPKCN1100FD
各国中銀が検討する「新常態」への対応とは
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元米財務長官のローレンス・サマーズ氏(現ハーバード大学教授) PHOTO: DAVID PAUL MORRIS/BLOOMBERG NEWS
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GREG IP
2016 年 8 月 25 日 11:36 JST
米ワイオミング州ジャクソンホールで今週開かれる年次経済シンポジウムに出席する各国の中央銀行関係者は、世界経済における差し迫った危機だけでなく、中銀の妥当性を脅かす脅威に議論を費やすことになるだろう。
そうした脅威は、2009年以降続いている経済成長の低迷が定着するかもしれないという実感から生じている。そうであれば足元の低金利もまたしかりだ。
中央銀行は投資と貯蓄の均衡を図り、ひいては完全雇用や物価の安定を維持すべく金利を設定する。この均衡が取れる金利が自然利子率と呼ばれる。米連邦準備制度理事会(FRB)の最近の調査によると、超緩和的な金融政策をよそにインフレと経済成長がこれほど低迷しているという事実は、07年以降に米国とカナダ、英国、ユーロ圏で自然利子率が1〜2.5%低下したことを示唆している。FRB当局者らは、米国の自然利子率がリセッション(景気後退)前の4.5%から3%へ低下したと考えている。つまり、次の経済ショックに対処する上で政策の余地は1.5%少ないということだ。
各国中銀は当初、家計や企業、政府が債務返済や借り入れの縮小に努める中、自然利子率の低下は一時的なものと考えていた。だが時がたつにつれ、もっと根深い要因が影響していることがはっきりしてきた。生産性の伸びの減速により、新規設備の投資利益率や需要が抑えられている。高齢化によってショッピングモールやオフィスビル、住宅の需要は減少している。格差拡大を背景に、高所得層がさらに所得を伸ばしている。世界的なリスク回避で安全な国債の需要が高まっている。
この「ニューノーマル(新常態)」に対処する上で、政策当局は以下3通りの選択肢を検討しているが、いずれにも欠点がある。
国ごとに予想される自然利子率(インフレ調整後)
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CL336_CAPACC_16U_20160824115706.jpg
1. 現状を受け入れる
成長の減速は長続きしないかもしれず、経済はむしろ今後のリセッションが深刻化しにくい方向へ変わった可能性がある。例えば、住宅の重要性は薄れ、インフレはしっかりと抑えられている。
また、FRBの政策手段は短期金利のみにとどまらなくなっている。FRBのエコノミスト、デービッド・ライフシュナイダー氏は最近の論文で、金利をゼロ以下へ大幅に引き下げられなくても、国債の買い入れや低金利の確約などFRBが近年採用した非従来型の政策手段によって埋め合わせが可能との考えを示している。
ただ、これは理想的とは言い難い。再び債券購入に踏み切れば、FRBが公に保有する政府債務の割合(現在18%)はさらに拡大するだろう。批評家らは、そうなれば金融政策において財政への配慮が過度に幅を利かせるようになりかねないと考えている。さらに懸念されるのは、そうした非従来型の政策措置が行き過ぎた投機を促しかねないことだ。同政策を支持する向きでさえそれを認めている。タルーロFRB理事は先月、「長きにわたる低金利環境で金融安定へのリスクとなるような状況は生まれているだろうか。答えは恐らくイエスだと思う」と述べた。
2. 潜在的な成長を立て直す
元財務長官のローレンス・サマーズ氏(現ハーバード大学教授)は、政府の赤字財政で成長を直ちに回復させることを声高に支持してきた。これで公共投資と(ボトルネックが解消されることにより)民間投資がいずれも上向くだろう。
ここにはFRBが直接果たす役割はない。ただ、インフラ整備資金を賄う債券の購入を約束することにより、財務省と協力することは可能だ。これはほぼ試されたことのない「ヘリコプターマネー」の一種と言える。
だが、中銀当局は政治家と連携することに神経質になっている。通常の赤字財政でさえ、債務を警戒する政府には敬遠されている。いずれの国も最大限の効果を得るためには赤字を拡大せざるを得ないだろう。米国だけがそうした場合、金利とドルが押し上げられ、輸入が拡大し、恩恵は薄れることとなる。
成長減速の原因が人口動態や技術革新の不足にある場合、解決策ははるかに限られる。フィッシャーFRB副議長は今週、「金融政策には生産性の伸び減速といった長期的な問題に対処する力が十分にない」との見解を示した。
3. 目標を変更する
中央銀行は1966年〜82年のインフレ的な好不況のサイクルや、頻繁な物価変動がもたらす非効率性を最小限に抑えるため、インフレ目標を2%に設定した。だが、3%ないし4%のインフレが2%より悪影響をもたらす証拠はほとんどない。平均インフレが高ければ自然利子率も上がるため、目標を引き上げれば量的緩和などの手段に頼らず緩和する余地が広がる。
エコノミストらはかつて異なる目標を主張したが、FRBはこれまで異議を唱えてきた。有力な金融学者であるサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は先週、議論の材料となる考えを打ち出した。
中央銀行が2%のインフレ目標でさえ達成に必死であることを考えると、ただ目標の引き上げを発表することに意味はあるのだろうか。日本はインフレをプラスに戻すため大量の債券を買い入れたが、目標の2%にはまだ届かない。インフレ上昇を促せるほど長期的に景気を過熱させておくことは可能かもしれないが、ゴールドマン・サックスのエコノミストらが指摘しているように、リセッションでインフレは抑えられる可能性もある。
中央銀行にとっていずれの選択肢もまだ固まってはいない。だがウィリアムズ総裁によれば、少なくとも手詰まり状態であることは分かっている。総裁は「次の嵐が来るまで待ってましな結果を願うのか、それとも今から心構えをし準備を整えておくのかということだ」と指摘している。
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企業は年次昇給を見直すべきか
高額のボーナスを頻繁に与える方が業績向上につながるとの声も
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管理ソフトウエア企業ベターワークスのダガン最高経営責任者(CEO)。同社は従業員100人の年次昇給を保証しておらず、従業員給与を毎月見直して必要に応じて調整しているという PHOTO: JASON HENRY FOR THE WALL STREET JOURNAL
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RACHEL EMMA SILVERMAN
2016 年 8 月 25 日 07:15 JST
われわれの大半にとって年次昇給というものは、おしゃべりな同僚や香りの抜けたコーヒーと並んで会社員人生の一部となっている。
多くの企業が従業員の勤務評定方法の改革を進めるなか、一部の企業や給与専門家はほぼすべての従業員に年次昇給を与えるという慣行を疑問視し始めている。経営者たちによると、年次昇給は少額の場合が多いため、やる気を出させたり従業員に優劣をつけたりする上ではほとんど役に立っていない。より高額なボーナスを頻繁に与える方が業績の向上につながるかもしれないと主張する専門家もいる。
「よくやった人に3%の昇給、普通だった人に2%の昇給を与えても、それは象徴的な差でしかない」。4000人を雇用する国際開発の非営利団体PACTでグローバル人的資源部門の責任者を務めるシャリ・スティアー氏はこう指摘する。「人事における大きな課題だ」
労働市場の改善にもかかわらず、雇用主たちが昇給予算を比較的低く抑えてきたこともあり、米国労働者の過去5年間の平均査定昇給は3%前後で推移してきた。給与調査によると、低インフレが続けば、企業は来年もほとんど変化なしと見込んでいるという。
つまり、企業には昇給を与えるための余裕があまりないということだ。しかもコンサルタント会社コーン・フェリー・ヘイグループの報酬部門のシニアパートナー、トム・マクミュレン氏によると、人件費の上昇は顧客が支払う価格の上昇につながりかねないので、経営者たちは基本給の引き上げに乗り気ではないという。
米国労働者の平均昇給率の推移
https://si.wsj.net/public/resources/images/BT-AK631_RAISE_16U_20160823125704.jpg
コンサルティング会社ウイリス・タワーズワトソンで人材・報酬部門のマネージングディレクターを務めるローラ・セジェン氏は「従来型の査定昇給をなくすこと」、そしてパフォーマンスが良い従業員に向けた意味のあるボーナスに焦点を当てることを雇用主たちに強く進言している。
「それが企業に検討してもらおうとしているアイデアだ」と同氏は言う。「とはいえ、まだ大きな波は起きていない」
コンサルティング会社マッキンゼーが5月に発表したリポートは、経営者がパフォーマンスのわずかな差を給与の少額の差に反映させることに時間を費やすことには、ほとんど意味がないと主張した。一部の経営者たちもこうした考えを共有している。
創業3年の管理ソフトウエア企業ベターワークス(カリフォルニア州)のクリス・ダガン最高経営責任者(CEO)は「年次昇給は全員のパンに1ミリの厚さでピーナツバターを塗るようなものだ。ピーナツバターは本当に大きな貢献があった人のパンにだけ塗る方がいい」と話す。
同社は全従業員100人の年次昇給を保証していない。ダガンCEOは従業員給与を毎月見直しており、必要に応じて調整している。
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管理ソフトウエア企業ベターワークスの従業員たち。同社は年次昇給を保証していないPHOTO: JASON HENRY FOR THE WALL STREET JOURNAL
2013年に事務用機器・ソリューション提供のピツニーボウズから分離したノビテックス・エンタープライズ・ソリューションズ(コネティカット州)は、期待通りの成果を上げた従業員にのみ年次昇給を与えるという方針を示している。「現実には誰もが昇給を得ているわけではない」と最高人事責任者のテレサ・モハン氏は語る。過去2年間に査定昇給を獲得したのは、昇給資格がある従業員――全従業員8000人の42%――の約78%だけだった。
直属の部下が約100人いるノビテックスのサービスデリバリーマネジャー、イライジャ・カランジャ氏によると、高い業績を上げた一部の従業員は10%以上の昇給を獲得したという。パフォーマンスが良くなかった従業員たちについては「当然ながら、健全な入れ替わりを経験することになるだろう」と同氏は述べた。
雇用主たちは臨時ボーナスのような業績給にますます目を向けるようになっている。従業員の給与を半永久的に引き上げずに済み、業績低迷期に柔軟性が持てるからだ。
コンサルティング会社エーオンヒューイットの調査によると、2016年の企業給与に占める業績給の割合は12.8%だが、昇給の割合は2.8%でしかない。またボーナスの総額は同社が短期報酬の調査を始めた1988年以来で最高水準に近かった。
コーネル大学産業・労使関係学部(ILRスクール)の給与研究所でエグゼクティブディレクターを務めるリンダ・バーリントン氏によると、ボーナスは3%の昇給よりも従業員の給与総額を高める可能性があるが、定期的な昇進がないと所得を長期的に成長させるのは難しいかもしれないという。
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企業の従業員の大半を占める平均的なパフォーマンスの人たちの昇給廃止は、裏目に出る可能性がある。コンサルティング会社マーサーのシニアパートナー、スティーブ・グロス氏は、スター従業員だけに昇給を与えることで「毎日きちんと仕事をこなしている大半の従業員に反感を抱かせてしまう」可能性があると指摘する。
従業員の給与・手当に焦点を当てた職能団体ワールドアットワークのシニアリーダー、ケリー・チョウ氏によると、年次昇給の廃止はほとんどの企業で「なかなか受け入れ難いもの」なので、今のところは実行よりも議論の段階だという。
たいていの企業は給与関係のリスクを避けたがっており、解決を急いでいないようだ。「米国の従業員を年次昇給から引きはがすのにはかなり時間がかかるだろう」とチョウ氏は話す。
http://jp.wsj.com/articles/SB11227962842099473856204582270703131374354?mod=wsj_nview_latest
米1ドルショップ、低所得層の賃金上昇が予想外の追い風
好調なダラー・ゼネラルとダラー・ツリー(写真)は25日に第2四半期決算を発表する
STEVEN RUSSOLILLO
2016 年 8 月 25 日 14:34 JST
米1ドルショップ最大手ダラー・ゼネラルと同業のダラー・ツリーが米株式市場で勝ち組になっている。しっかりした売上高の伸びや客足増加を受けて、株価はともに過去1年間で20%超上げている。中核となる客層の賃金上昇により、こうした好調な時期が持続する可能性がうかがえる。両社はともに25日に5-7月期(第2四半期)決算を発表する。
両社ともにPER倍率がS&P500種と比較して高い
両社はリセッションの最中やその後に好調となり、それ以来、売り上げを伸ばしている。ダラー・ゼネラルが1?5ドルの商品の品ぞろえを増やしていることも利益率の押し上げにつながっている。一方、ダラー・ツリーは1年ほど前に同業のファミリー・ダラーの90億ドル(約9040億円)での買収を完了したが、引き続き経営統合を進めている状況だ。
両社はともにより小規模な店舗形式を取っており、そのほうが通常、他の小売店舗よりも速いペースでの良好なキャッシュフローにつながっている。また、ネット通販大手アマゾン・ドット・コムや小売り大手ウォルマート・ストアーズといった小売業者にもそれほど脅かされていないようだ。
ダラー・ゼネラルの今後1年間の予想PERはダラー・ツリーと比べて20%割安
THE WALL STREET JOURNAL
労働市場の逼迫がさらなる追い風になっている。所得額が下から4分の1に分類される米フルタイム労働者の週間賃金は第2四半期(4-6月)に前年同期比3.1%増加した。労働省によると、これは2009年以降で最大の増加率。ダラー・ゼネラルのトッド・バソス最高経営責任者(CEO)は5月の電話決算説明会でこの点に触れ、買い物客は「恐らく若干信頼感を強め、少し消費を増やしている」と述べた。
ただ、顧客がもっと主流の小売業者に流れるというリスクは存在する。しかし、1ドルショップは通常、住民が頻繁に少額の購入を行う低所得地域に位置することが多いため、こうした心配はあまりない。
問題は、両社の株価が上昇し過ぎているかどうかだ。5月の2-4月期(第1四半期)決算発表を受けて、両社の株価は過去最高値に急伸し、それ以降、上値を伸ばしている。また、両社ともにPER(株価収益率)倍率がS&P500種と比較して高い。ダラー・ゼネラルの今後1年間の予想PERは約19倍で、ダラー・ツリーと比べて20%割安だ。
こうした高いバリュエーションでも投資家は逃げ出さないほうが賢明だ。両社の株価は今後も堅調に推移しそうだ。
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米労働市場、夏場に若年層の参入増える
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米国の有権者、不満の種は賃金以外に
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjLocLVydzOAhVImJQKHct9BhYQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11227962842099473856204582272643415985650&usg=AFQjCNF8B8e1Nn_SKzDAiZM0ryM0DR77tA
ウォール街の債券トレーダーは疲れて様子見、市場は嵐の前の静けさか
Liz Capo McCormick、Eliza Ronalds-Hannon
2016年8月25日 16:33 JST
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中国:上海市が不動産価格の値上がり抑制、規制強化を検討−関係者
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小説の中で「万物の支配者」と呼ばれたウォール街の債券トレーダーらさえ、疲れてきた。米金融当局者らの口から飛び出す発言や経済統計に一貫性がないからだ。
16日にはニューヨーク連銀のダドリー総裁が9月利上げの可能性を示唆したが、17日公表された7月連邦公開市場委員会(FOMC)議事録は当局者間の意見の相違を示した。イエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長も5月に数カ月I以内の利上げが適切な可能性があると示唆したものの、同月の雇用統計は弱く、6月には景気について慎重な見方を示した。
グッゲンハイム・パートナーズのマクロ経済および投資調査責任者のブライアン・スメドリー氏は「市場は明瞭な何かを求めている」とし、投資家は「少し疲れている。明らかにされる見解や公にされる議論の内容がまちまちなため、その解釈に悩んでいる」と話した。
イエレン議長
Photographer: Scott Eisen/Bloomberg
こうした中でトレーダーが様子見の姿勢を取り、米10年債利回りは10年ぶりの小幅なレンジ内にとどまっている。イエレン議長が26日のジャクソンホールでの講演でもしも、例えば9月利上げに「現実的な」可能性があるなどという発言をすれば、それはここ数週間で最大の相場変動を引き起こす引き金になるかもしれない。
政策金利の動きに敏感な2年債の利回りは現在0.76%前後。3カ月前は約0.9%。市場が織り込む9月利上げの確率は約30%となっている。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/i6rQAiA66dcw/v2/-1x-1.png
原題:Masters of the Universe Flummoxed by Fed as Yellen Takes Stage(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-25/OCGEG0SYF01S01
中国:上海市が不動産価格の値上がり抑制、規制強化を検討−関係者
Bloomberg News
2016年8月25日 15:12 JST
不動産開発会社と住宅購入者双方への融資に制約を課す可能性
上海の新築住宅価格は7月に前年同月比27%上昇
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中国の上海市当局が急上昇する不動産価格の抑制策を話し合うための会合を開く計画だと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。不動産開発会社向け銀行融資の制限や、住宅価格の半分以上の頭金支払い義務付けなどが検討されているという。
計画が開示されていないことを理由に関係者が匿名で語ったところによれば、市当局は不動産価格抑制に向けて不動産開発会社と住宅購入者双方への融資に制約を課す可能性がある。頭金については一次取得者の場合は現在の30%から50%に引き上げ、以前に借り入れ記録のある買い手の場合は70%にすることなどが話し合われるという。関係者によると、計画は最終決定されていない。
中国・上海の再開発予定地域
中国・上海の再開発予定地域 Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
事情に詳しい関係者2人によると、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の上海支部は今月に入って銀行と会合を開き、予想される変更点などを話し合った。上海の新築住宅価格は7月に前年同月比27%上昇した。上海市政府と銀監会上海支部に計画へのコメントを求めたが、現時点で返答はない。
原題:Shanghai Said to Plan More Curbs to Cool Home, Land Prices (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-25/OCGAGB6JTSEB01
8月のドイツIfo景況感、予想に反して悪化−英EU離脱の影響警戒
Julia Hirsch
2016年8月25日 17:35 JST
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景況感指数は106.2、7月の108.3を下回る
現況指数と期待指数も前月から低下
ドイツのIfo経済研究所がまとめた8月の独企業景況感指数は予想に反して前月から低下した。英国の欧州連合(EU)離脱選択が将来の需要に及ぼす影響を独企業が懸念していることがうかがわれる。
Ifo経済研が25日発表した8月の独企業景況感指数は106.2と、7月の108.3を下回った。ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査の中央値では108.5への上昇が見込まれていた。
ドイツにとって3番目に大きな輸出市場である英国からの需要が後退すればドイツの生産に影響する公算だ。大企業の4−6月期利益は市場予想を10%余り上回り、ドイツ連邦銀行(中央銀行)も向こう数カ月は堅調で裾野の広い成長を見込んでいるものの、企業幹部らは過去数週間に慎重な姿勢を見せている。
Ifoによると、8月の期待指数は100.1と、前月の102.1(改定値)から低下。現況指数は112.8と、7月の114.8(同)を下回った。
原題:German Ifo Confidence Falls as Businesses Fear Fewer Orders (1)(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-25/OCGHWJ6K50Y701
新興市場株:MSCI指数、上昇−高利回り資産の需要高まる
Liau Y-Sing、Nguyen Kieu Giang
2016年8月25日 18:05 JST
25日の新興市場株は上昇。米利上げ見通しの手掛かりとなり得るイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を前に、投資家が高利回り資産を求めた。
MSCI新興市場指数はロンドン時間午前9時15分(日本時間午後5時15分)現在、前日比0.2%高。前日は7月6日以来の大幅安となっていた。生活必需品関連や金融銘柄が上げの中心。乳製品メーカーの中国蒙牛乳業は香港市場で12%高と、同指数構成銘柄の値上がり率トップ。1−6月(上期)の売上高がアナリスト予想を上回った。
台湾の加権指数は1.1%高。半導体メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)の上げが目立った。インドネシア株も高い。
原題:Emerging-Market Assets Rally on Yield Hunt Before Yellen Speech(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-25/OCGJD66JIJUV01
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