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ドーナツ戦争、コンビニの攻勢受けるミスドの運命は
http://diamond.jp/articles/-/99855
2016年8月25日 森山真二 ダイヤモンド・オンライン
昨年、コンビニエンスストアがそろって参入しドーナツ専門店との競争が激しくなったドーナツ市場。セブン-イレブン・ジャパンが2015年の8月にドーナツの全店販売を開始して以来約1年。ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手も追随したが、その後の動向が気になるところだ。コンビニ大手の参入でドーナツ専門店の「ミスタードーナツ」は業績に打撃を受けているのは間違いない。しかし、新規に参入したセブン-イレブンを始め「コンビニが完全勝利しているとまで言い切れない状態」と関係者は語る。いわばミスドが押されているのは事実だが、今のところ勝ち負けの判断はできない状態だ。果たして、「ドーナツ戦争」の行方は、どうなるのだろうか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
■コンビニのドーナツ市場参入以降
ミスドは赤字続きで歯止めかからず
「当面の売り上げ目標600億円」――。
セブン-イレブンが15年、ドーナツ市場参入にあたって掲げた目標だ。セブンの店舗数は1万8000店だから、セブンのドーナツ「セブンカフェドーナツ」は1日1店あたり90個を販売しないと目標に届かない計算。だが、関係者によるとスタート当初は「1日1店あたり100個程度を販売していたようだが、その後は落ち着き15年度(2016年2月期)は400億円程度で着地したようだ」といい「まだ目標の600億円までは達していないのではないか」とみる。
セブンは当然ながら、今期の17年2月期末までには600億円を目指す計画のようだが、セブンでさえもこのようなスローな状況だから、大手コンビニチェーンも推して知るべしだ。「ドーナツ戦争」と騒がれたコンビニ各社のドーナツ参入も当初の熱狂はない。
これに対し、コンビニ大手の一斉参入という荒波に襲われたダスキンが運営するドーナツ専門店大手「ミスタードーナツ」の状況はどうか。
運営会社のダスキンの決算によると、「ミスド」のチェーン全店売上高の推移は14年3月期が1030億円、15年3月期が1020億円、16年3月期は前期比10.3%減の915億円となった。ミスドを中心としたフードグループの営業損益は15年3月期に約2億円の赤字だったが、16年3月期は約14億円に拡大、また17年3月期第1四半期(16年4〜6月期)も赤字が続いており歯止めがかかっていない。
決算数字を見ると、明らかにコンビニがドーナツ市場に参入した15年から業績が悪化していることが分かる。損益もドーナツの値下げなどで収益を圧迫している様子がうかがえる。
■すでに「おでん」の売り上げを抜いた
セブンのドーナツ
しかし、よくよく考えてみれば、ミスドは拡販費が増加しているとみられるし、急速な売上高の減少で利益も減少しているようだが、セブンがドーナツで400億円を達成しているならばミスドの売上高はもっと食われていてもいいはず。
ところが、ミスドの16年3月期の売上高自体は15年3月期に比べ100億円程度の落ち込みで、前期比で200億円も、300億円も減っている訳ではない。つまり市場自体が縮小したのではなく、セブンが400億円以上の売り上げを獲得、それに他コンビニの売り上げを加えればドーナツ市場はむしろ拡大している格好だ。
このような状況について、ある流通コンサルタントは「住み分けができてきたのではないか」と見る。少子高齢化の進行で、遠くのミスドまでドーナツを買いに行かない、行けないシニアや小さい子どもがいる世帯はコンビニで済ませる。逆に若年層や店舗で作りたての商品購入したい向きなどはミスドで買うというのだ。
それにしても、大手コンビニチェーンでもドーナツ販売に力を入れているセブンの売上高400億円、さらに当面目指す600億円という数字は侮れない数字だ。
セブン-イレブンのレジ横にある「おでん」。年間の売上高は三百数十億円程度とされており、すでにドーナツの売上高は、何十年と販売してきたおでんの売り上げも上回っている。おでんは什器の定期的な洗浄や、商品やつゆの補充など、メンテナンスが必要で維持コストがかかる。
しかし、ドーナツはベンダーから納入され、専用のケースに収納してから12時間以内に売る体制を敷いている。一旦、ドーナツ用のケースに入れてしまえば、それほどメンテナンスはいらない。なによりコンビニにとっては利益率が高く本部、加盟店にとってウィンウィンの商材だ。
■「セブンは徹底的にやってくるだろう」と語る
ライバルチェーン幹部
そのため「セブンは設定した売上高目標に届くまで徹底的にやってくるでしょうね」と見るのはライバルチェーン幹部だ。
今や、年間約900億円の売上高を獲得したセブンの入れたてコーヒー、「セブンカフェ」。しかし、これも「失敗が続き試行錯誤の連続だった」とセブン関係者は明かす。当初のコーヒーマシン導入から、数回にわたりマシンを改良、今の形にたどりついたといわれる。
セブンでは現在、この入れたてコーヒーがドル箱商品になっており、1日1店あたりの売上高である平均日販が他チェーンよりも10万円以上多い65万円を達成する牽引役となっている。セブンではコーヒーと相性の良い商品との合わせ買いを狙っており、「ドーナツは是が非でも軌道に乗せろ」と厳命が下っているのは容易に想像がつく。諦めないで成功するまでやり続けるのがセブンの戦法だ。
そして、今後のドーナツ戦争の行方だが、焦点となるのは、セブンを始めとしたコンビニの次の一手。またミスドの巻き返し策があるかないか、となりそうだ。
実際、セブンは今年1月には早々にドーナツのリニューアルを行った。製法を全面的に見直したほか、使用している小麦粉も、大ヒット商品となったセブン&アイのプライベートブランドの食パン「金の食パン」と同じものとするなど、質の向上を図った。このドーナツのリニューアル以降、前年同期比30%増で推移していると同社幹部は話す。
さらに、同社は当初アメリカンスタイルのドーナツにこだわったが、今は和のテイスト、例えば、きなこや黒糖も採用する。定番の商品は変えないで2〜3品ずつ新規に商品を導入し、メニューに新鮮さをもたせている。
■攻め込まれたミスドは
今後どう対応していくのか
これに対し、攻め込まれたミスドは今後どう対応していくのか。8月からはドーナツの店内食べ放題の展開を始めた。食べ放題といっても、「ドーナツはそれほど食べられない」(29歳会社員)という声もあるが、顧客のつなぎとめに新たなチャレンジを行う必要に迫られているのは事実だ。
ミスドでは逆に海外のコンビニ店舗で「ミスド」の専用ケースを設置し、ドーナツの販売に乗り出すなど、国内のコンビニの逆手をとった戦略も始めている。国内がコンビニの参入で押されているのならば、海外ではむしろコンビニを活用して巻き返しを図るというところか。
今ではコンビニの入れたてコーヒーはすっかり定着した。全日本コーヒー協会の調べではコンビニコーヒーの効果があってか、国内消費は一転増加傾向。ドーナツもコンビニの参入で市場を一段と膨らませることができるか。それが専門店対コンビニの勝敗の行方を左右しそうだ。
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