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セブン-イレブンの店舗(撮影=編集部)
セブン、突然に新店舗売上激減で一斉大幅値上げ!ファミマ急伸で首位陥落?ローソン一人負け
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16417.html
2016.08.23 文=編集部 Business Journal
コンビニエンスストアの“勝利の方程式”が揺らいでいる。
勝ち組とされてきたコンビニの2016年3〜5月期決算が減速した。個人消費にデフレ色が強まったことが背景にある。
セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は、チェーン全店の総売上高では過去最高だったが、本業の儲けを示す営業利益はセブンがわずかに増益、ローソンとファミマは減益となった。
セブンは、淹れたてコーヒーの「セブンカフェ」や主力の弁当・おにぎりの販売が好調で、チェーン全店売上高は前年同期比5.4%増の1兆1003億円、営業利益も0.4%増の583億円で、いずれも3〜5月期で過去最高となった。しかし、営業利益は前年同期の5.1%増から伸び率は大きく鈍化した。
ローソンは、チェーン全店売上高が日販商品の拡充と出店効果によって3.2%増の4958億円と過去最高を更新した。だが、営業利益は8.8%減の174億円。店舗の改装費や加盟店支援の経費などが増加した。
ファミマは、チェーン全店売上高は5.9%増の5177億円と、これまた過去最高。しかし、営業利益は5.9%減の104億円。昨年12月に吸収合併したココストアのファミマへの看板の掛け換え費用など出店費用がかさみ営業減益となった。
コンビニ大手3社は、激しい出店競争を繰り広げた結果、チェーン全店売上高はいずれも過去最高を更新した。一方で出店増が営業利益の増加には結びつかなかった。新規出店=営業増益という勝利の方程式が揺らぎ始めたということだ。
■セブンとローソンは平均日販が前年割れ
コンビニの実力を示す指標に、「平均日販」と「既存店売り上げの伸び率」がある。平均日販とはコンビニの1日当たりの平均売上高のことだ。
一強といわれてきたセブンに異変が生じた。全店の平均日販は64万5000円で、前年同期より3000円減った。このうち新規出店した店舗のそれは52万7000円で、前年同期より1万8000円の大幅減となった。
既存店売上高は1.7%増とプラスだったが、前年同期の3.5%増から1.8ポイント下がった。客数の伸びはゼロだった。独走状態だったセブンの成長が明らかに鈍化してきた。
セブンは15年1月からドーナツの販売を始めた。「17年2月期に6億個(600億円)」という目標を掲げた。1店舗当たりに換算すると、1日100個の売り上げになる。ドーナツによって、日販で1万円上乗せできるとソロバンを弾いていたのだ。
ところが、セブンのドーナツの売り上げは伸び悩み、今年1月にはドーナツの全面刷新に踏み切った。コーヒーの大ヒットで平均日販を70万円台に乗せたこともあったが、淹れたてコーヒーに続くヒット作がなかったことが、平均日販の前年実績割れを引き起こした。
ローソンの全店の平均日販は52万8000円で、前年同期より4000円減った。新規出店した店は50万5000円で同7000円のマイナスだ。既存店売上高は1.0%のマイナス。前年同期の0.4%増から、前年割れに沈んだ。客数も0.8%減った。
これに対してファミマの平均日販はプラスに転じた。全店の平均日販は51万4000円で、前年同期より7000円の増収だ。新規出店した店は50万8000円で2000円増えた。
新規出店の平均日販ではファミマがローソンを上回り、セブンとの差も縮まった。製法や素材を見直して品質を高めた冷やし麺やサンドイッチが牽引し、既存店売上高は1.1%増えた。だが、ファミマも客数は1.6%減った。
3〜5月期決算で特徴的なことがある。3社の新規店舗の平均日販が急接近してきているのだ。ファミマの健闘が目立ち、セブンの優位性がなくなってきた。
■ローソンは値下げを断行
総務省の6月の家計調査によると、全世帯(2人以上の世帯)の消費支出は26万1452円となり、前年同月に比べて実質2.2%減少した。減少は4カ月連続。勤労者世帯の1世帯当たりの消費支出は実質で5.1%減少。2カ月連続で前年同月を下回った。 総務省は「消費の弱い動きがみられる」と基調判断を据え置いた。
消費者の節約志向が鮮明になり、デフレ脱却の道筋が見えなくなってきた。それどころか、一段とデフレ色が強まったといえるかもしれない。
それに合わせた当然の動きとして、価格の引き下げが起きている。長らく定価販売のビジネスモデルで成長してきたコンビニだが、デフレ時代に対応するため値下げを決断した。
先陣を切ったのはローソン。6月末に地域別価格を導入し、飲料や調味料、洗剤など90品目を対象に、全店舗の75%に当たる9000店舗で地域ごとに異なる価格を設定した。
コンビニは店舗ごとにオーナーがいるため価格に差をつけることは難しく、全国どこの店でも同じ値段が当たり前だった。ローソンはこの原則を崩したことになる。
店舗数が増え続けるドラッグストアでは、クスリのほかに加工食品や生鮮食品の安売りで客数を伸ばし、食品スーパーも利益度外視の目玉商品や特徴ある商品を用意している。「コンビニは食品スーパーより高い」というのが消費者の一般的な受け止め方だ。その固定観念を打ち破り客足を戻す試みが、ローソンの地域別での値下げ販売だ。
■セブンは逆に値上げで勝負
コンビニの王者セブンはどう出るのか。セブンは14年5月末までに弁当やおにぎり、総菜など主力の中食の600品すべてを刷新した。実質値上げした商品も多い。消費増税のタイミングで、値上げしやすかったことも要因だ。
いったん値上げしたものを一転して値下げすれば、加盟店の経営を圧迫する。そのため、セブンは値下げできないといわれてきた。
8月13日付日本経済新聞記事によると、セブンはプライベートブランド(PB=自主企画)の冷凍食品のハンバーグなど60品目を刷新するという。中心価格は、従来より100円高い200〜300円に引き上げる予定だ。
中心価格帯100〜200円の商品が100円値上がりするということは、1.5〜2倍になるわけだ。顧客は、この大幅値上げに納得するのか。また、ほかのコンビニにもシフトするのかに注目したい。
いずれにせよ、セブンは消費者が飛びつくような、淹れたてコーヒーを凌ぐ大型商品を出せるかどうかにかかっている。
(文=編集部)
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