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経団連定時総会での安倍首相(C)日刊ゲンダイ
またゼロ成長 リオの喧騒にカキ消された「悲惨なGDP」 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/187994
2016年8月19日 日刊ゲンダイ
新聞もテレビも報道はリオ五輪一色で「ときどきSMAP解散」といった具合だ。安倍首相も長期休暇をたっぷり取って、山梨の別荘でゴルフ三昧である。平和なお盆休みムードの中、4〜6月期のGDP速報値がさりげなく発表された。
メダルラッシュの喧噪に埋もれ、どのメディアとも検証や議論を行う気すらないようだが、今回のGDPは3年半続くアベノミクスの効果はなにも発揮されていないことを改めて裏付けている。
実質GDPの伸び率は前期比0.048%。100分の1秒を争うオリンピック選手ではあるまいし、0.0%未満のプラスは「ゼロ成長」に等しい。
個人消費も0.2%増と振るわない。設備投資にいたっては0.4%減と2期連続のマイナスだ。良かったのは住宅投資の5%増くらいなもの。異次元緩和の円安効果も消え失せ、輸出も1.5%減だ。
安倍首相が放った新旧合わせて6本の矢は、どこへ飛んでいったのか。経済の好循環はもはや画餅に帰し、物価上昇2%の目標達成は夢のまた夢。四半期ごとのGDPもマイナス成長に沈んだかと思うと、ちょっとプラスの繰り返し。よくもまあ、安倍政権は「2020年までにGDP600兆円」という無謀な目標を掲げられたものだ。首相もゴルフに興じている場合ではない。
「事業規模28兆円超」と豪語する経済対策も根本から間違っている。お年寄りを中心に1人3万円を配ることを決めたのに続き、今度は若者を含めた低所得者に一律1万5000円の現金バラマキ策ときた。消費が振るわないのは国民の手元にカネがないためで、現金をバラまけば消費は喚起されるという安易な考えだ。
むしろ家計の預貯金総額は増えている。家計が保有する金融資産残高は15年度末時点で1706兆円と過去最高水準にある。00年度末の残高1386兆円と比べると、かなり伸びた。つまり国民がカネを持っていないから消費が低迷しているわけではないのだ。現金をやみくもに配れば消費が拡大するなんて発想はとんでもない見当はずれだ。無軌道なバラマキ策は、安倍政権が消費低迷の根本要因を把握していないことを物語っている。
日銀のマイナス金利政策で日本経済の何をどう動かそうとしているのかも、さっぱり分からない。おかげで市中の金融機関は四苦八苦で、大手銀行だって減益ラッシュだ。盲目的で見識のない指導者に日本経済を操られているうちに、国債発行残高だけがうず高く積み上がっていく。国民1人当たり約829万円に達した「国の借金」は今後も増えるばかりだ。
はたしてこの国は2020年に東京五輪を無事、開催できるのか。デフォルト状態に陥れば、大会返上を覚悟せざるを得ない。4年後に思いを馳せると、リオの狂騒に浮かれてはいられない。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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