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中国各地で経済発展の原理を無視した無謀な開発が進んでいる
中国でゴーストタウン続出、無謀な開発が止まらない実態
http://diamond.jp/articles/-/99173
2016年8月18日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
いまから5年前のことになる。2011年夏、シルクロード沿線を訪問した私は、中国西部の甘粛省の首都蘭州市で、当時開発中だった「蘭州新城」といわれる大規模土地開発の現場を視察した。
そこで現場幹部が披露した開発プランを見て呆れてしまい、30分も経たずに現場を離れた。降水量が非常に少ない蘭州に、杭州の西湖のような湖を造成して世界中の企業を誘致したいという紹介を聞かされたからだ。
さらに2年が経った2013年、中国は水増しのGDPは要らないと公式に宣言した習近平時代になった。その蘭州新城の開発現場を暴露する報道がどっと溢れ出た。このコラムでは、その記事の一部を読者に紹介した。詳しくは「習政権の経済運営方針を反映する中国西部・蘭州新城開発のストップ」をご参照されたい。
経済が低迷しているいま、中国はゾンビ企業を問題にしている。この蘭州新城(現在は蘭州新区となっている)も、ある意味ではゾンビ企業のような存在となっている。最近の中国の報道をまとめてここでお伝えしたい。
■ゴーストタウン化する
高層ニュータウン
蘭州中川空港の西南方向にある中川大道は、蘭州新区で最もにぎやかなエリアである。2階建ての建物が連なる商店街は伝統的な地方の自由市場のような趣である。だが、この通りをはずれると、新区の夜は明かりのない真っ暗な高層住宅が立ち並び、ひっそりとしている。
4年前、秦王川に位置する蘭州新区が正式に承認され、中国で5番目の国家級新区となり、狭い蘭州が外側に拡大発展する使命を担った。
新区の概念、素晴らしい計画、安い土地がデベロッパーを引きつけ、緑地・碧桂園・龍林・亜太など多くの開発業者がもとは田畑だった秦王川の3つの鎮(町)を瞬く間に高層マンションが立ち並ぶニュータウンに変えた。
それから4年後、ここは相変わらず土地はあるが人影はまばらで、空き家のままの建物がブラックホールのように蘭州新区の未来を飲みこんでいるように見える。
蘭州新区のマンション価格は1平方メートルあたり4000元(約6万1000円)前後で、蘭州市内と比べると5割近く安いという。だがそれでも新区はやはりマンション購入者を引きつけることができない。
市街地から離れていて不便、というのが蘭州市民の新区に対する第一印象である。都市間鉄道が開通したがそれでも50分ほどかかり、計画中の地下鉄5号線が新区に通じる予定だが具体的な着工時期は未定だ。
蘭州新区の広々とした道路を車で走ると、通行人はほとんど見かけない。まるで巨大な工事現場のように、内部が空っぽのマンションやタワークレーンが到るところに見られ、削られた小山が岩肌をむき出しにし、路傍には建築ゴミが積まれている。夜になると、立退き者用住宅である彩虹城と蘭石集団の従業員用住宅以外、大部分のマンションは真っ暗である。
■工業生産額は
当初予想の10分の1
新区で指折りの有名デベロッパーである碧桂園は、城市花園という開発プロジェクトを手掛けたが、現在引くに引けない状況にある。城市花園は2014年に販売を開始し、全697戸のうち買い手がついたのは211戸とたったの3割である。
地元の開発業者はさらに厳しい状況で、新区で販売されている住宅の大部分で販売率が3割前後である。遠東錦繍華府のように、価格が1平方メートルあたり2400元(約3万6000円)で、全634戸のうち36戸しか売れていないところも現れた。価格が1平方メートルあたり8600元(約13万1000円)の朱雀湖別墅はなんと販売数ゼロである。
蘭州新区の今年3月末の統計によれば、新区ですでに完成している住宅面積は約730万平方メートルで、在庫化している分譲住宅は600万平方メートルだという。
低迷する住宅市場は不動産業者に多大な資金的圧力をもたらしている。工事の中止も珍しいことではない。すでに撤退した企業も出ている。
蘭州新区管理委員会関係者が語ったところによると、今後アウトレットなどの複合商業施設が続々と開業予定だが、こうしたプロジェクトもまた同じような運命をたどる可能性があるという。
「蘭州新区産業発展計画」によれば、2015年までの蘭州新区の工業固定資産投資の累計額は800億元(約1兆2200億円)、工業総生産額は2015年には1200億元(約1兆8200億円)に達するというものだった。だが、2014年に蘭州新区が実現した工業総生産額は105.94億元(約1600億円)で、計画の10分の1に満たない。
■ 2014年以降、乱立した
国家級経済開発新区
現在、蘭州新区にある企業のほとんどが従来型の製造業で、関係者は「蘭州新区の企業誘致のためのデータが素晴らしくても、実際に着工に到るものは少ない」と嘆く。新区への移転が決まった蘭州石化公司も足踏み状態にある。
計画によれば、2020年までに蘭州新区の都市人口は60万人、2030年までには100万人となる予定である。2014年10月31日の時点で、蘭州新区の総人口は15万人、流入人口は2万2000人台にとどまっている。蘭州新区は全国に17ある国家級新区のなかで最も人口の少ない新区となっている。
その局面を打破するために、2013年より蘭州市共産党委員会、市政府機関、一部の市直属部門など計16のセクションと700名近い職員が正式に蘭州新区に移った。だが莫大な行政コストがかかるため、いったんは新区に移転した機関がまた続々と蘭州市内に戻りつつある。
蘭州新区が直面している現状は、この地域に限ったことではない。
1992年から2013年までの22年間で承認された国家級経済開発新区は6つだが、2014年以降の2年間で11もの国家級経済開発新区が承認されている。2015年の全国17の国家級新区ランキングのうち、第1位の濱海新区(天津市)のGDPは最下位の貴安新区(貴州省貴陽市)の155倍であった。一部の新区、特に中西部では売れ残り物件の山を抱えてゴーストタウンと化している。蘭州新区はまさにその後者に属している。
経済発展の原理を無視した蘭州新区のような無謀な開発は、もはやこれ以上続けられなくなっている。その巨大な損失の穴埋めは誰が負担するのだろうか?
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