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雑感。海外企業の対日投資と訪日外国人客
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52839571.html
2016年08月17日 在野のアナリスト
政府が海外企業による対日投資を促すため、規制や手続きを見直す方針を示し、有識者会合が立ち上がりました。また有識者会合を一つ増やす、と安倍政権では有識者会合が花盛りです。しかし規制や手続きが猥雑だろうと、儲かるところには企業は進出するものであり、今の日本では収益が見込めないから進出してこないのです。最近、Appleが日本の雇用に貢献した、などと盛んに喧伝するのも、日本社会における企業活動の難しさを示します。嫌われたら客が離れていく…特に今、Appleは魅力的な商品をうちだせなくなっており、情に訴える戦略をとり始めた、ということになるでしょう。
そんな中、7月の訪日外国人客が前年同月比19.7%と、大幅な伸びをみせます。大型クルーズ船の寄港などもありますが、一つには欧州で頻発するテロへの不安が、テロの不安のない国へと夏休みに旅行する理由となっている。ただし、日本でも自暴自棄になったテロが散見されるのであって、相模原の障害者施設の襲撃犯や、新幹線での焼身自殺などもありました。日本は安全、その前提は大きく崩れてきており、そのイメージが通用するのも残り僅か、かもしれません。しかも、今は爆買いといった形より、今後も円高が懸念される日本に今のうちに行っておこう、という記念旅行のような形なので、数が増えても寄与度は昨年にとどかないでしょう。中国、韓国の伸びが大きいですが、欧米に行くほどの余裕もなくなった、その結果としてなら、これも節約旅行の一つの形なのかもしれません。
円安と円高の関係について、一つ注目するのが前年同期比で、今年上半期の輸出額が8.7%減、輸入額は17.2%減、という数字です。しかも対ドルレートの平均が113円強といった形での結果ですから、余計に深刻といえます。さらに原油価格の低下が輸入額を大きく押し下げた、などと言っても昨年上半期はすでにWTIは50$台、実はこの輸入額の減少は、円高と内需の低迷のダブルパンチ、という点も大きい。政府は「海外経済の変調」「海外経済の不安」という文言を用いて、景気低迷を説明するケースもありますが、輸入額の減少の説明にはなっていません。すでに原油価格の動向は、寄与率への影響が大きく低下しており、前年同期比でみると為替は7〜8%の下落なので、輸出は大体それに沿った動きであり、逆に輸入の方はそれ以上に悪化している。そこには内需の問題が大きいのです。
かつては、水は低きに流れる、として経済におけるマネーの流れも説明されましたが、今では米国という高いところに集まっている。しかし米株市場など、すでにPERではかなり割高、将来の企業業績の伸びは相当に織りこんでしまっています。さらに米企業の自社株買いは年初から7月までで、前年同期比21%減となっている。株高により自社株買いをする必要性がない、という面と、将来にむけた成長が読めない。自社株買いとて投資ではありますから、高値掴みをするわけにはいかないのです。米株にも限界が意識されますが、かといって他に投資先もないから、米株は最高値を更新しつづける。連銀総裁の9月利上げ発言などもあり、ドル円も落ち着きましたが、米FRBの利上げは決して経済が好調だからではない、バブル潰しの色彩が強いことだけは、間違いないことなのでしょう。
17世紀のフランスで、ルイ14世の頃に活躍したコルベールは、財務総監として重商主義を掲げました。商業とは「貨幣戦争」であり、海外のものを買わず、逆に国内産のものを諸外国に多く売りつけ、外貨を稼ぐ。「金のなる木を育てよう」という言葉は有名で、産業を盛んにし、ルイ14世の時代の仏国は大きく繁栄しました。
翻って日本、日立のかつてのCM曲「この木何の木」では、「見たことのない木」は「見たことのない実をつける」と歌われていました。見たことのない日銀の緩和は、見たことのない結果を招く、ということの示唆なのかもしれません。「金のなる木」は全く育っておらず、むしろここ掘れワンワン、とばかりに埋蔵金探しに勤しむ。その結果、日本はどんどん富が枯渇し始めており、これまでは個人の貯蓄が潤沢だから、という安心感があったものの、今ではそれすら語られなくなってきました。「この木何の木」なぜかこの曲名が「この危難の期」に読めてしまう。こんな国では投資したいと思う企業も現れませんし、そのうち訪日客の足も遠のいてしまうことになりかねないのでしょうね。
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