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創業家出身の黒田麻衣子社長。2012年の就任以来、業績は右肩上がりが続く。2人の子どもを持つ母でもある
利益率22%!東横インは"非常識の塊"だった 創業家社長が語る「脱・値上げ」の行方
http://toyokeizai.net/articles/-/131537
2016年08月13日 圓岡 志麻 :フリーライター 東洋経済
訪日外国人観光客(インバウンド)の増加を背景に、空前のバブルに沸くホテル業界。観光庁の統計によれば、2015年のビジネスホテルの稼働率は74%。80%台で実質満室と言われるなか、非常に高い水準に達している。
“濡れ手に粟”とばかりに、料金を値上げするホテルも多い。困るのはビジネスパーソンだ。予約が取りにくくなっているだけでなく、出張経費として認められる料金では泊まれなくなったという声もある。
そんな状況でも、インバウンド景気に左右されず、一定の料金設定を守り続けている“ビジネスパーソンの味方”とも言うべきホテルがある。東横インだ。
■コンセプトは「駅前旅館の鉄筋版」
同社のコンセプトは「駅前旅館の鉄筋版」。駅前などの利便性の高い立地での展開と、1泊1人で約6000円というリーズナブルな料金を最大の特徴とする。主要な駅には必ずおなじみの、箱型に青いロゴの建物がある。そんななじみやすさ、わかりやすさも、東横インを広く知らしめている理由となっている。
最近では女性の宿泊や利便性の高さにより、レジャーや観光用途の需要も増えている。とはいえ、宿泊客の約40〜50%は出張などのビジネスパーソンであることには変わりがない。
東横インも他社に比べて幅は少ないもの変動価格を導入している。だが、10月からは国内すべてのホテルで「原則ワンプライス」制を導入する予定だ。規定の料金が1泊シングル料金で6800円ならば、値下げも値上げもせずに、ほぼ一定の料金とする。
ただし、一部のホテルでは休前日(土曜日や祝日の前日)はプラス1000円上乗せする方向で検討している。
競合のビジネスホテルには1泊3万円超という破格の値段を付けるところがあるのに、東横インはなぜ低価格や一律料金にこだわるのか。
その理由を同社の黒田麻衣子社長は「東横インは『第2の家庭』や『生活必需品』と考えています。牛乳や卵の値段がいきなり倍になったら困りますよね。500円の値上げでも、お客様の期待を裏切ることになってしまいますから」と話す。
実は東横インの場合、女性の支配人が9割以上を占めている。女性を活用しているのも、「家庭のようなホテル」を理想型としているためだ。採用方法についても、フロントから順次キャリアアップするのではなく、いきなり支配人として採用を行っている。女性でやる気と適性さえあれば、業界未経験でも、専業主婦でも、支配人として採用するという。
■「駅前旅館の鉄筋版」が目指すもの
駅近くにある利便性が特徴の東横イン。最近は鉄道が間近に見られる部屋を「トレインビューホテル」としてアピールしている
「ホテルは家庭と同じように小さな世界です。家庭を気持ちよく整えるように、スタッフが働きやすい職場をつくるのが支配人の仕事。リピーターを増やすのも、水滴を1滴ずつためるような努力です。男性は飽きてしまうかもしれない。でも女性はそうした小さな努力を日々、積み重ねることに喜びを見いだします。だからこそ、東横インの支配人は女性なんです」(黒田社長)。
同社の業績は絶好調だ。前2016年3月期は売上高801億円(前期8.2%増)、経常利益は177億円(同11.1%増)と過去最高を記録。経常利益率はなんと22%に達した。
シングル料金が1泊約6000円(全国平均)という低価格ながら、高収益をあげられる理由は2つある。ひとつは高級ホテルのようなレストランや宴会場を持たず、採算の良い宿泊に特化することで、コストを削減していること。
もうひとつは自社で土地を持たないという経営スタイルだ。現地の不動産オーナーにホテルを建ててもらい、ホテルごと賃借する運営方式を取っている。賃料を定額払いにすることで、東横インにとっては資金調達や巨額の借入金を負わずに済むといったメリットがある。
こうしたホテルづくりは、電気設備工事業界から参入した創業者の西田憲正氏の手腕によるところが大きい。1986年、友人の土地の有効活用として蒲田でホテルの運営を始めたのが、そもそものきっかけだ。
ただ、東横インの歴史も順風満帆ではない。創業以来、右肩上がりで業績を伸ばしてきたが、2006年にはハートビル法違反で西田氏が社長を退任。そして2008年、今度は西田氏が廃棄物処理法違反で逮捕されてしまった。会社の不祥事にリーマンショックが重なり、一時期は業績がどん底まで落ち込んだ。
事件直後の2008年、経営の建て直しを期待されて、西田氏の長女である黒田氏が副社長に就任。2012年に社長業を引き継いだ。大学院修了後の2002年から2年ほど東横インで働いた時期があるとはいえ、まったくの専業主婦からトップへと転身。型破りさでは西田氏に負けず劣らずと言えるかもしれない。
■世界に1045万室(トーヨコ)を作りたい
かつてワンマン経営の象徴のようにとみられた東横イン。現在は「特徴と言えば井戸端会議が多いこと」(黒田社長)という社風だという
2012年に黒田氏が社長に就任してからは、震災後の復興景気も追い風となり、業績は好転。過去最高を更新する水準が続いている。
2015年の5月2日〜3日にかけての24時間では、日本と韓国を合わせた全店249店、4.8万室が満室となり、「稼働率100%を達成した最大のホテルチェーン」として、ギネス世界記録にも正式に認定されている。
現在、同社は256店舗、約5万室を抱え、国内のホテル運営会社としては屈指の規模だ。今後は「30年で世界に50万室、いずれは1045(トーヨコ)万室」を目標に掲げています」(黒田社長)。
その布石となるのが海外への進出だ。2008年に韓国に1号店をオープン。現在韓国に7店舗、カンボジアに1店舗展開しているほか、2014年からはドイツ(フランクフルト)、フランス(マルセイユ)などでも建設を進めている。モンゴルやフィリピンにも開業する予定だ。
「2020年の東京オリンピックの後も、日本は『行ってみたい国』のひとつであり続けます。日本のマーケットに限界が来る前に、少しでも多く、海外に展開したいと考えています」(同)
家庭のようにいつも変わらない場所であり続ける。それが利用客の心をがっちり掴む、東横インのブランド戦略であり、強さの理由といえそうだ。果たしてワンプライス戦略は顧客の支持を集めることができるのか。
(撮影:尾形文繁)
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