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「老親に貯蓄・年金なし」介護の呪縛家計を改善
http://president.jp/articles/-/18596
2016.8.10 PRESIDENT 2015年11月2日号 小澤啓司=構成
収入が低いわけじゃないのに、気付いたら毎月赤字家計。ボーナスを頼りにカード払いをしていたら、まさかのボーナスカット。老後に備えた貯蓄どころじゃない──。そんな家計を改善します。
岩木家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:690万円]
家族構成●夫(46歳・電機メーカー勤務)、妻(46歳・専業主婦)、長男(17歳)、次男(15歳)、夫の父(75歳)
年収●額面=692万円/手取り=554万円
ボーナス●夏=55万円/冬=55万円 相談時の貯蓄額●240万円
突然他界した母。子供たちは、遺された75歳の父の様子が気になり、忙しい合間をぬってはその元へと足を運んでいた。そんなある日、父は「これ以上子供たちに迷惑をかけるわけにはいかない」と言い、有料老人ホームへ入居することになった。
ところが父は、入居者としばしばトラブルを引き起こす。そこで、施設・父・子供たちの三者で話し合った末、老人ホームを退去することになった。だが、自分の家を手放していた父は帰るところがない。それに貯蓄のほとんどを入居一時金として老人ホームに支払ったので貯蓄もない。退去するときも、そのほんの一部しか戻ってこなかったというのだ。
誰が父の面倒を見るか――子供たち3人で話し合うことになったのだが、「長男だから俺が引き受けるよ」、そんな安請け合いで話は決着した。そして、ほかの2人は毎月2万円ずつ、計4万円の援助をすることになったのだ。
かくして岩木家には夫の父がやって来た。とはいえ、夫は仕事が忙しくて父の面倒など見られない。妻だって仕事をしていたが、結局は妻が何かと世話をすることになった。
ところが、父は母をなくして以降、精神的な張りがなくなったためか、体力低下が日に日に目立つようになり、介護を要する部分も生じ始めていた。そうなると、仕事を持ちながら父の世話をするのは、妻も厳しい。妻は仕事を辞めざるをえなくなったのである。れが家計には大きく響いた。なぜなら、妻が稼いでいた月10万円の収入があればこそ、父を支えられると考えていたのだから。
支出も想定より増えていった。たとえば食費。父は和食を中心とした薄味を好み、17歳と15歳の息子たちはまさに食べ盛りで肉食を好む。結局、2種類の食事を用意しなければならない。
意外にかかると判明したのが水道光熱費。冷暖房は24時間使いっぱなし。しかも「安全で、体をやさしく温めてくれるから」とオイルヒーターを入れると、コストはさらに跳ね上がる。介護入浴などでお湯も多く使いがち。もちろん、紙おむつや介護ベッドなど、介護に直接かかる費用も増え、医療費もかさむ。
収入が減って支出が増える。いろいろ節約の努力をしても、毎月7万円を超える赤字。岩木さんが初めて相談に来たときは、そんな状況だったのだ。
たしかに、増えた食費を改善しようとしても、父に「我慢してください」とは言えない。食事については、時には子供たちにも薄味の和食に付き合ってもらうとか、外食を控えるといった程度の対策しかできないだろう。水道光熱費についても、父以外の家族がふだんの使い方を見直して、少しでも節約するしかない。
そこで岩木家の家計簿をよく見てみると、通信費が高い。夫のスマートフォンは仕事の都合上変更できないということだったので、固定電話とインターネットプロバイダは解約し、ほかの家族は格安SIMを利用することにした。また小遣いについては、妻が「私は仕事を辞めたので、5000円引き下げてもいい」と切り出した。これを受けて夫も「ありがとう。俺も5000円減らそう」と協力を申し出た。
ただ、ここまで挙げた方策だけでは不十分。そこで岩木さんは、弟たちと腹を割って話をすることにした。妻が仕事を辞めて収入が減ったこと、父の面倒を見るためにお金がかかっていること。支出が増えた分については、以前と今の違いを、領収証などを提示して丁寧に説明した。
すると弟たちは、快く援助金の引き上げに応じてくれた。月4万円ずつ、計8万円を提供してくれるという。その約束は書面にもしてくれた。同様に、父にも「お金を少し出してほしい」とお願いした。父はわずかに残る貯蓄とごく少額の年金から月3万円を出してくれることになった。
これで岩木家の家計は、なんとか急場をしのいだ形だ。資金を援助してくれる兄弟が2人もいたからまだよかった。貯蓄・年金のない老親を支えるのは簡単ではない。子供たちにその負担をかけないよう、せめて自分たちの準備はしっかりしておきたい。
▼介護の安請け合いは家計にとって危険がいっぱい!
STEP1:収入減のカラクリ
●親の体力が落ちる
●何かと病気がちになる
↓
ほぼ1日中身の回りの世話が必要に
↓
妻が仕事を辞める
STEP2:支出増のカラクリ
【食費】味付けの違いや塩分調整などで、毎食2種類を用意
【水道・光熱費】24時間冷暖房をフル稼働、体をやさしく温めてくれるからとランニングコストが高いオイルヒーターを導入、介護入浴で予想以上に水とガスを使用
【医療・介護費】年を重ねるにつれ通う病院の種類や回数が増え、介護用ベッド、紙おむつなど介護用品も意外な出費に
⇒負担の均等化:●兄弟姉妹がいるのであれば、経済面だけでも負担してもらう。●「以前」と「現在」で支出が増えた費目について領収書や請求書を提示し、互いに納得できる負担金額をはじき出す。● 約束内容(金額・支払日など)を書面で交わすのも有効。
家計再生コンサルタント 横山光昭
マイエフピー代表取締役社長。「消費」「浪費」「投資」で仕分ける家計管理の考え方が大反響を呼び、庶民派ファイナンシャルプランナーとして、9000件以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』などベストセラー多数。
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