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通貨戦争が明暗を分けた米株の割高・日本株の割安
http://diamond.jp/articles/-/97993
2016年8月10日 高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト] ダイヤモンド・オンライン
■米株は史上最高値圏だが割高
米国の株式市場は2016年半ば以降、史上最高値を更新する堅調な水準となった。ダウ平均は史上最高値が続き、米国株式市場への安心感が高まっている。その背景には、夏場になって再び米国経済への楽観的意識が再び生じたことがある。
一方、英国のEU離脱等も含め国際的な金融市場の不安底性からFRBの緩和的スタンスが予想以上に続くとの見方も生じた。すなわち、米国経済回復と金融緩和の「良いとこどり」状況でもある。
米国を含め世界的に金利低下が続くなか、図表1に示されるように、債券の利回りから株式の配当利回りを引いたイールドスプレッドは低下基調にあり、債券対比で株式の割高感が台頭していないことも高値を支えている。かたや、株価のバリュエーションの指標となる予想PERは18倍を超え、明らかに割高感が生じている。従って、今後の企業決算の状況によっては米国では株価の調整も生じうる。
◆図表1 米国の株式市場の予想PERとイールドスプレッド推移
■日本の株式市場は大幅な割安水準
PERとイールドスプレッドでのバリュエーションからみると米国株式市場は割高であったが、それでは、同じ尺度で比べて日本はどうだろうか。
図表2は、日本の株式市場のバリュエーションを確認するために、図表1の米国と同じ、PERとイールドスプレッドを示したものだ。
◆図表2 日本の株式市場の予想PERとイールドスプレッド
現在、日本のPERは英国のEU離脱の国民投票の結果を受けて12倍程度まで落ち込んだ後、足元、13倍台にまで戻した水準にある。歴史的にみてもかなり割安であり、さらに先述の米国と比べて大幅に割安である。
一方、イールドスプレッドはマイナス2%を大きく超える水準にあり、歴史的に見ても債券に比べて株式が極端に割安な状況にある。同様に、イールドスプレッドでも米国と比べても大幅な割安である。
■日本が通貨戦争の負け組に
このように、日本は米国に対して割安であるにもかかわらず、米国は史上最高値更新、日本は年初来の水準からみて停滞が生じており、両者に明暗があるのはなぜだろうか。
そのカギを握るのは年初来の為替市場の転換、通貨戦争状況に因るものではないか。為替市場においては、長年の経験則上、子どもの遊びである「達磨さんが転んだ」のように、その主導権を握る「鬼」は常にアメリカである。「達磨さんが転んだ」の鉄則上、アメリカが円安を好まない以上、日本がいくらマイナス金利幅を拡大させても円安にはなりにくい。
日本は、2015年までの世界の通貨戦争における勝ち組から、今年は一転し負け組に転じる四面楚歌状況にある。年初来、米国の為替政策がドル安誘導に転換し、米国自らが為替による経済の底上げ「米国第一主義」に転じた。反面、日本はそれまでの円安・株高トレンドのアベノミクス・トレードが逆流する状況にある。その結果、海外投資家の目は日本株に目が向かず、米国の株式市場に期待が向かう両国の明暗が生じている。
■日本株に逆風は続くが割安な日本の見直しも
7月以降、日本のヘリコプターマネー導入への期待やポケモン関連で日本株は一時的に戻ったものの、年後半を展望すれば再び円高不安が生じやすい。従って、日本株が日米の通貨戦争のなか「敗者」として下押し圧力を受ける不安が続くと展望される。また、アベノミクスも終わったとの見方も生じやすい。
ただし、先に示した日本株のバリュエーションは明らかに割安である。ここで日本の救いは図表3のように政治がG7で最も安定した状況にあることだ。しかも、世界が混乱のなか、日本社会のボラティリティは低く安全である。また、円高を活かしたM&Aや海外投資等の着実な変化によって日本企業の在り方も進化している。
◆図表3 G7各国のトップの支持率比較
年内を展望すれば、日本の株式市場の冬の時期が続くが、来年にかけて為替戦争が一巡するなかでは、再び日本株が見直される時もある。今日の状況はそれまでの間の我慢の局面ではないか。
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