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米経済に占める労働の比率、資本より優勢に
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米経済の振り子は資本から労働に戻りつつある(今年4月、電話通信大手ベライゾン本社前でストライキを行う同社従業員) PHOTO: SPENCER PLATT/GETTY IMAGES
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GREG IP
2016 年 8 月 9 日 12:39 JST
7月の米雇用統計は労働者にとって、表向きの数字が示す以上の朗報だった。雇用も週労働時間も時給も、すべてが7月は強い伸びを示した。これらが合わさり、民間部門の賃金所得は前月比0.8%増、年率換算でほぼ10%増加した。
今後もこれほどの強さが続く可能性は低いものの、労働市場が一段と引き締まり、労働者の賃金交渉は有利な状態が続くだろう。これが示しているのは、あまり気づかれていないが、経済の振り子が資本から離れ労働に戻っているということだ。
これは、ここ数年、米経済が厳しい状況にある大半の原因が労働市場にあるという状態が、恒久的なものではないことを示すちょっとした証拠だ。むしろこれは、異例なほど深刻なリセッション(景気後退)と弱い景気回復の結果で、その状況がいま修正されつつあることを示している。長期の賃金情勢は依然として厳しいが、その理由は労働と資本の間での所得配分とは無関係だ。
まず、少し背景を説明しよう。フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏はベストセラーになった「21世紀の資本」で、数世紀におよぶ統計から、資本主義経済においては本質的に不平等が拡大する傾向があると結論づけた。特に、資本利益率が経済成長率よりも高い場合、全所得のうち資本の取り分が容赦なく拡大し、資本家はさらに富裕になる傾向がある。
一見すると、米国の統計はピケティ氏の考えを裏付けているように思われる。1980年から2013年にかけて、国内総生産(GDP)のうち賃金および給与に振り分けられる割合は58%から53%に着実に低下した一方、利益の割合は高まった。
だが細かく分析すると、異なる状況が明らかになる。国内総所得(GDI)には、労働所得と利益だけでなく、いくつか他の種類の所得も含まれる。その一つが減価償却費だ。これは株主資本を現行水準に維持するうえで所得をどれだけ再投資する必要があるかについての尺度だ。事業投資の対象が償却の早いコンピューター機器やソフトウエアに移ったため、減価償却費がGDIに占める割合は時間とともに増加してきた。もう一つは個人の賃貸所得だ。これは実質的に家主として家計がどれだけ恩恵を受けるかの尺度だ。賃貸所得も、住宅価格と地代と並行して時間とともに上昇してきた。(筆者の計算は住宅保有者が支払う住宅ローン金利で調整していないが、金利は低下してきている。)
これら二つの項目をGDIから差し引くと、労働への配分比率はほとんど動きがみられず、80年から07年にかけて、GDIに対する割合はおよそ67%で推移している。利益の比率の方が動きがより激しく、90年代と2000年代半ばには平均値の11%を大きく上回った。
https://si.wsj.net/public/resources/images/BN-PH743_SNAG_P_NS_20160809002037.jpg
07年以降、労働の比率は劇的に低下している。大半の理由はリセッションにより雇用と賃金が打撃を受けたことにある。その結果、項目調整後の労働への配分比率は14年に64%程度まで低下し、利益の割合は過去最高の15%余りに達した。
その後、労働の比率は高まり、利益の割合は低下した。これは雇用の力強い伸びと賃金の極めて緩やかな加速を反映していると同時に、原油相場の下落やドル高、金利低下による銀行の利益圧迫を原因とした利益に対する厳しい打撃も映し出している。
その結果として、1-3月期には労働の割合が66.1%とリセッション前の平均をほぼ回復した一方、利益の比率は13.6%に低下した。7月の雇用統計が示す通り労働所得は改善し続けているが、利益も4-6月期に回復したので、労働と利益の配分がどうなったかは定かでない。4-6月期の企業決算では、6業種において利幅が前年同期よりも縮小し、3業種で拡大、1業種は横ばいだった。
相対的な意味においてのみ、これは労働者にとって朗報だ。労働はもはや資本に食われていないのかもしれないが、労働所得と利益が堅調に伸びることが理想だ。そうなっていない原因は、生産性の伸びが崩れたことにある。労働者一人当りの生産量はほとんど伸びていないのであれば、利幅を犠牲にしなければ実質賃金の有意義な伸びは得られない。したがって、今後数四半期にわたり労働者の賃金が記録的に堅調な伸びを続ければ、株式市場は不安を覚えるだろう。
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各中央銀行が頼り続ける量的緩和
カーニー英中銀総裁(6月16日) PHOTO: BLOOMBERG NEWS
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RICHARD BARLEY
2016 年 8 月 9 日 09:02 JST
【モスクワ】このところは量的緩和の魅力がやや薄れたように見え、新たにマイナス金利が各中央銀行の好みとなっていた。だが英中銀イングランド銀行が先週4日に下した政策判断はこの傾向から離れ、金融政策の乖離(かいり)を巡る議論に新たな局面を開いた。
イングランド銀行はかつて債券買い入れ枠の拡大に熱心ではない様子を見せ、積極的な買い入れをしばらく休止してきた。8日に総額600億ポンド(約8兆円)の新たな国債買い入れ策に着手したが、量的緩和の拡大は2012年終盤以来のことだ。
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4日の金融政策委員会(MPC)での投票結果を見ても、他の政策に比べて国債買い入れ策への支持は少なく、全9人中3人が反対した。しかしカーニー総裁がマイナス金利を避けているのは明らかだ。何かしなくてはならず、量的緩和こそがその手段だとみている。
ただ、成長の鈍化やインフレ率の低下は阻止できても、好ましい方向へ促進する効果は疑問視されている手段だという点には目をつぶっている。イングランド銀行自身は社債の購入により大きな価値があると説明しているが、英国の社債市場の規模は限られているため1年半の期間でわずか100億ポンドの買い入れにとどまる。国債市場の規模と流動性をもってすれば早期に効果を上げることが可能だ。
積極的な量的緩和策をストップした米国や英国のような国々でさえも、その亡霊に取りつかれている。米連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行はいずれも、満期を迎えた債券の償還金を再購入に充ててバランスシートの縮小を防いでいる。これがイングランド銀行の最新政策の効果を増幅し、新たな国債買い入れに加えて9月だけでも120億ポンド分の再投資が行われる。
THE WALL STREET JOURNA Source: Bank of England Bond Business
Bank of England holdings of gilts under quantitative easing
投資家にとっては重要なことだ。世界の中央銀行が主にストック(保有高)に注目している半面、市場はフロー(売買動向)に左右される。バンクオブアメリカ・メリルリンチによると、英国では今年、イングランド銀行の国債買い入れ額が政府の国債発行額を上回る見通しだ。
一方、世界では金融政策の乖離が広がりつつある。金融引き締めを模索するFRBと、緩和を目指すイングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行の間にはまだ大きな隔たりがある。しかしそれぞれのケースの詳細は異なっている。ECBはマイナス金利に最も意欲を見せる一方、日銀はそれで手痛い経験をした。
財政政策での対応の可能性まで議論が及ぶ中、債券買い入れは政策の大黒柱のようだ。ECBは買い入れ拡大に動くとみられており、一部のアナリストらは、イングランド銀も拡大に動くと予想している。
中銀のバランスシート縮小の可能性が出てくる時期はずっと先のようだ。量的緩和の時代はまだまだ終わりそうもない。
富める者はさらに富む−超富裕層が世界で増加
個人資産10億ドル以上の超富裕層が持つ富の総額は過去最高を記録
超富裕層が持つ富の総額は世界全体で5.4%増加し、7兆7000億ドルと史上最高に達した(英語音声、英語字幕あり)Photo: Getty.
By VERONICA DAGHER
2016 年 8 月 9 日 10:55 JST
世界経済が昨年どんなに動揺し、市場がどれほど乱高下しても、しっかり踏ん張ったグループがある。超富裕層(ビリオネア)だ。
調査会社ウエルス−Xによる最新の調査(2015−16年版)によれば、個人資産10億ドル以上と定義される超富裕層が持つ富の総額は昨年、世界全体で5.4%増加し、7兆7000億ドルと史上最高に達した。参考までに、米国の国内総生産(GDP)は約17兆ドルだ。
また昨年の世界の超富裕層は2473人と、前年比で6.4%増加。こうした超富裕層が持つ富が世界の世帯の富の総額に占める比率は3.9%で、前年の4%をわずかに下回った。
ウエルス−Xのデービッド・バークス氏は「富が富を蓄積する一助になる」と述べた。
伸びるアジア太平洋地域
超富裕層の人数を地域別でみると、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が1013人と依然として最多で、2位は南北米大陸の782人。ただバークス氏によると、アジア太平洋地域が、南北米大陸を近く追い越しそうな勢いだという。アジア太平洋地域の昨年の超富裕層は678人。南北米大陸よりも4倍の新たな超富裕層を生み出したという。
一方、富の総計では南北米大陸が3兆ドルに達し、EMEAの約2兆8000億ドルを追い越した。
ベビーブーマー世代が若い世代に富を移譲するに伴い、相続で超富裕層になる人が増えている。ウエルス−Xによれば、部分的に遺産相続した超富裕層は前年比29.9%増となり、全体で最も速いペースで増えるグループとなっている。
バンク・オブ・アメリカ傘下で個人資産管理を手掛けるUSトラストのマーク・コンプトン氏によれば、過去2年間にわたって、自らの事業を売却して一部資産を子供たちに移譲する顧客が増えているという。
遺産相続以上の何かが必要
しかし大半の超富裕層にとって、資産10億ドル以上を持つグループの仲間入りをするには遺産相続以上の何かが必要だ。例えば、自らの力で資産の大半を形成した超富裕層は全体の87%で、前年の81%から一段と増えた。
ベル・エアー・インベストメント・アドバイザーズ(ロサンゼルス)の上級マネジングディレクター、トッド・モーガン氏によれば、同氏の超富裕層顧客のうちの数人が起業家であり、彼らは「極めて強い意思に駆られており」、多くは富を成した後も長時間働き続けることを選択するという。
「超富裕層は『10億ドルの資産に到達したから今後はビーチに座ってリラックスしよう』というのではなく、『次に何を創造ないし達成できるだろうか』と考える」(モーガン氏)。
米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏(右)と投資会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏
超富裕層が厚くなるにつれて、社会への還元に対する彼らの意欲も強くなっている。ウエルス−Xによれば、昨年も2014年と同様、世界的な超富裕層の間では慈善活動が主たる関心の的だった。慈善活動を追求したり関心を抱いたりしている人は超富裕層の56%以上に達したという。
モーガン氏が一緒に活動している数人の超富裕層も、慈善活動に集中している。彼らは資産の一部を使って大きな問題、例えば飢えあるいはホームレスといった問題を解決しようとしているという。
米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏と投資会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏は、2010年に出した「ギビング・プレッジ(寄付誓約宣言)」で話題を呼んだ。世の中の超富裕層に富の大半を寄付するよう呼びかける取り組みだが、それはモーガン氏の顧客の間で本格的に社会還元しようという意欲をかき立てる一助になったという。
モーガン氏は「彼らは、超富裕層なら誰でも邸宅をもう一軒購入できることを承知しているが、むしろ(社会に)影響力を及ぼそうとしている」と語っている。
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http://jp.wsj.com/articles/SB11948173908644753879104582240190081140530?mod=wsj_nview_latest
米債券、期限前償還が急増−金利低下で
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期限前償還される債券が増えており、特に多いのが連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)などの政府機関が発行した債券だ PHOTO:ASSOCIATED PRESS
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BEN EISEN
2016 年 8 月 9 日 11:02 JST
債券の発行体が低下の一途をたどる金利に注目する中、期限前に償還(コール)される債券が急増している。
企業や政府機関が期限前償還した債券の増加ペースは4年ぶりの勢いだ。発行体に特定の状況下で期限前償還を行う権利のある「コーラブル」債では、金利が低下すると、発行体はコールする権利(オプション)を行使し、もっと低い金利で新たな債券を発行することでコストを抑えられる。
コーラブル債を保有していた投資家は、多くの運用担当者が投資妙味のある債券をなかなか見つけられずにいるときに償還金を受け取ることになる。一部の投資家はいま、コール条項が付いていない「ノンコーラブル債」に資金を振り向けている。
特に期限前償還が目立つのは、連邦住宅貸付銀行(FHLB)、連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)などの政府機関が発行した債券だ。パフォーマンス・トラスト・キャピタル・パートナーズによると、コール条項付きエージェンシー債のうち1月から7月までにおよそ2480億ドル(約25兆4000億円)がコールされた。4-6月期にコールされた債券は1250億ドルで、2012年以降で最も多かった。
同社のバイスプレジデント、アンドリュー・ペース氏は「コーラブル債が大量に発行されている」とし、「コール条項が付くことでどれほど利回りが違い得るのかを見ると興味深い」と述べた。
FHLBは15年7月にコーラブル債とノンコーラブル債を発行した。表面利率(クーポン)はコーラブル債が2%、ノンコーラブル債が1.875%。コーラブル債は16年7月に期限前償還し、投資家の年間収益率は約2%となった。パフォーマンス・トラストのデータによると、ノンコーラブル債のこの1年間の収益率は4.3%だった。ノンコーラブル債に投資家が殺到し、価格が大きく上昇したからだ。
FHLBは16年7月、新たなコーラブル債を発行。表面利率は1.32%だった。あくまでも仮定の話だが、この借り換えによりFHLBは、債券元本10億ドル当たり金利負担が約680万ドル減少した計算になる。
2015年7月に発行されたFHLB債の価格推移(緑:ノンコーラブル債、黄:7月29日にコールされたコーラブル債)
https://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CR046_NONCAL_16U_20160808183606.jpg
コールされる債券は債券市場全般で増えている。15年10-12月期に発行されたエージェンシー債のうち59%がすでに期限前償還されたとペース氏は言う。パフォーマンス・トラストによると、世界の社債市場でコールされた債券は3000億ドルを超えており、このうち約900億ドルが米企業の債券だ。
一部の投資家は、自らのポートフォリオを防御する機会として期限前償還を利用している。ベル・エア・インベストメント・アドバイザーズで地方債を中心に約30億ドルの資産を運用するクレイグ・ブラザーズ氏は、保有していたコーラブル債の多くはすでに期限前償還されたと明かし、「コールはわれわれにとって有益だ。資金が戻れば、基本的にその資金を(金利上昇にそれほど敏感ではない投資商品に)振り向けることができる」と述べた。
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