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恐れていたことが始まった。日本の技術を使った品質の高い中国車が世界に輸出されたら厳しい戦いになる
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kunisawamitsuhiro/20160805-00060747/
2016年8月5日 9時0分配信 国沢光宏 | 自動車評論家
恐れていたことが始まった! 日欧米のメーカーは中国に進出する際、中国側の資本を半分入れることを条件している。つまり工場や開発現場に中国の技術者が入ってくるということを示す。当然ながら技術を、悪く言えば盗まれてしまう。当時、日本のメーカーの役員に「技術漏洩をどう考えますか?」と聞いたことがある。答えは「どんどん前に進めばよい」。常に先行しようという考え方だ。
確かに10年前の時点で自動車技術は日進月歩。最新の技術を日本に留め「普通になった技術」だけ中国に持って行こうとしたのだけれど、中国の市場は予想以上にユッタリとした流れだった。例えばトヨタ自動車の場合、ハイブリッドを先進技術という位置づけたのに、全く売れない。むしろボディサイズの割に高いということで、今や新型車は安売りに近い価格設定にしている。
今や世界的に人気の高い小型SUV
10年経った今でも先端技術でなく、カッコよくて信頼性や耐久性のある既存の技術のクルマが売れ筋になっているのである。つまり10年前から習得してきた一世代前の日米欧の技術こそ重要なのだった。そして1〜2年前からついに恐れていた状況になる。日欧米と組んだ中国側メーカー開発のオリジナルモデルが売れ始めたのだった。例えば長安汽車はスズキやフォードと組んで着々と技術を蓄積してきた。
デザインだけでなく品質も日本車に近い
ついに長安汽車側だけで開発した車種を出してきたのである。スズキやフォードの技術を使っているだけに、模倣を基本としてきた今までの中国車と全く違う品質レベルを持つ。一世代前のスズキやフォード車と同等のクオリティといってよかろう。加えて基本設計はスズキとフォードそのもの。スズキやフォードのシャシ+エンジンに長安汽車開発のボディを組み合わせているため信頼性も高い。
ボルボを傘下に入れた吉利汽車の新型車
長安汽車だけにとどまらない。街中では見たことないけれど「なんかに似ている」モデルに多数出会い(ピラーの位置に代表されるハードポイントが同じだと似たような雰囲気のクルマになる)、取材に来ている中国ラリー選手権のサービスパークには見たことのないブランドながら日本車とそっくりな足回りの車種がズラリと並ぶ。聞けば同じクラスの日本車より20〜30%安いそうな。
スズキとフォードに似ている長安汽車
完全にヤラれた格好。しかも中国ブランドはモータースポーツにも積極的に出てくるから知名度だって上がる。やがて日本のブランドが不用になるかもしれない。さらに中国のような道路&経済事情の国だって(新興国やアフリカなど)少なくない。本格的な輸出が始まれば日本車とバッティングすることになる。このままだと「敵に塩を送って負ける」ことになる可能性すら出てきた。
国沢光宏
自動車評論家
Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。
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