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ヘリコプター・マネーで株価が上がるなら安上がり
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160808-00010000-wedge-bus_all
Wedge 8月8日(月)11時10分配信
ヘリコプター・マネー(以下ヘリマネと呼びます)が注目されていますが、ヘリマネとは何で、なぜ注目されているのでしょうか? 今回は、ヘリマネについて考えてみましょう。
■ヘリマネの定義は人それぞれだが、日銀が札をバラ撒くわけではない
ヘリマネというと、日銀が札を刷ってヘリコプターからバラ撒くことを想像する人もいるようですが、日銀は「金を貸す」だけで、「金をあげる」ことができないので、実際には政府がバラ撒き(増税せずに財政赤字を放置することを含む)をして、それを日銀がファイナンスする、ということになります。
ヘリマネに、「日銀が政府の言いなりになって、無制限に金を出す」というニュアンスを含める人も少なくありません。戦前の軍部が戦争遂行のために日銀に無理矢理資金を出させたことが再現する、というわけです。理屈の上では、あり得ないことではありませんが、民主主義の日本で、そんなことをする政治家が選挙で選ばれるとは思われませんから、本稿ではそうした説は扱いません。
現在、よく使われているのは、「ゼロ金利無期限国債を日銀が買う」という定義です。その背景には経済学理論があります。「政府は借金をいつかは返済する義務があるので、いつかは返済のために増税するだろう」
「増税された時に貯金がないと困るから、今から節約して貯金しておこう」と考える人が多いから景気が良くならない。そこで、政府が日銀に無期限国債を買ってもらえば、「政府は借金を返す必要がないので、増税もしないだろう。贅沢しても大丈夫だ」
と人々が考えるようになり、景気が回復するはずだ、というのです。経済学者が理屈で考える「合理的経済人」ならば、将来の増税に備えて倹約するかもしれませんが、実際の人間でそんなことをするのは経済学者くらいでしょう(笑)。
しかも、日銀がゼロ金利の国債を買えば、日銀は収入がないので赤字に陥り、遠からず倒産の危機が訪れます。そうなれば政府が日銀を助けざるを得ませんから、「日銀支援のための増税」が行なわれるかもしれません。それでは何のためのヘリマネだかわかりませんね(笑)。
■政府が資金調達に困っていないなら ヘリマネは不要なはず
日本国債は人気があります。貸出が伸びないから、という消去法的理由なのですが、とにかく政府は日銀が国債を買わなくても、民間銀行に簡単に売ることができます。ならば、わざわざ日銀に買ってもらう必要はありません。ちなみに、政府が発行しているのが長期国債なので、日銀がこれを買うと長期金利が下がる等々、議論が複雑化します。そこで本稿では、単純化のため、政府が発行している国債が短期国債であるという仮定を置いて議論をすることにします。
「日本政府は巨額の赤字で破産する可能性もあるのだから、日本国債を買いたいと思っている人はいないはずだ。銀行等は、日銀が高値で買ってくれると思うから買っているだけだ」と考える人もいるでしょうが、それは違います。もしも銀行が、「日本政府が破産する可能性を考えて国債を買いたくないと思っている」のだとしたら、国債を売った代金を日銀に準備預金(銀行が日銀に預けている預金のこと)する筈がありません。政府が破産する時には日銀も破産するからです。
つまり、政府は自分で国債を出せばよいので、わざわざヘリマネで日銀から借金をする必要はないのです。
■偽薬効果を狙えるなら狙うべき
では、ヘリマネは不要なのでしょうか? 筆者は、必ずしも不要だとは考えていません。それは、偽薬効果が狙えるからです。金融市場の投資家たちの間では、ヘリマネは「大胆な金融緩和策」だということになっているようです。そうであれば、「大胆な金融緩和をすれば株高、ドル高になる」と考えている人々が買い注文を出すので、株やドルは値上がりするでしょう。
上記のように、ヘリマネを行なっても実体経済には何の変化も起きないと思われますが、重要なのはそれではなく、人々が何を考えて、いかに行動するか、ということなのです。
黒田日銀総裁の就任当初、大胆な金融緩和を打ち出しました。それにより、「世の中に資金が出回って株高、ドル高になるだろう」と信じた人々が株やドルを買ったので、株高、ドル高になりました。筆者はそうした人々のことを黒田信者と呼んでいます。実際には世の中に資金が出回らなかったので、黒田信者たちは間違えていたわけですが、重要なことは、彼等の買い注文で株高、ドル高になり、実際に景気が回復した、ということなのです。
医者が小麦粉を患者に渡して「高い薬だ」と言うと治癒してしまうことがあり、医学の世界では「偽薬効果」と呼ばれています。黒田日銀総裁の大胆な金融緩和も、これと同様に、本来は効果がないはずの手段で効果を上げたのですから、偽薬効果であったと言えます。そして、今回のヘリマネにも、同様の偽薬効果が見込まれるのです。
■「ヘリマネで超インフレ」はあり得ない
ヘリマネの副作用として、超インフレの可能性がある、という論者は少なくありませんが、それは日銀が政府の言いなりになる、という発想に基づくものです。
筆者はそうは思いません。日銀がゼロ金利永久国債を買ったとしても、インフレの懸念が出てくれば、いつでも金融を引き締めて景気を悪化させてインフレを抑えることができるからです。
日銀の保有している国債(ゼロ金利無期限国債)を用いて売りオペをすることは難しいでしょう。預金準備率を高めることも、インフレ時に銀行に課税する効果を持つので、問題かもしれません。しかし、準備預金に高い金利を払うことで銀行が融資より準備預金を選ぶように誘導することは可能です。
また、政府は毎年の財政赤字分を新たな国債発行で賄う必要があるのですから、日銀が何もしないだけでも、市場の金利が上がるかもしれません。日銀にそうした自由が残されている限り、超インフレは容易に防げるでしょう。日銀にそうした自由を与えないで超インフレを容認させるような政府は、日本国民が選ばないだろう、と筆者は信じています。
塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
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