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資産運用に「高齢者向き」の方法など存在しない(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/524.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 03 日 08:10:11: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

資産運用に「高齢者向き」の方法など存在しない
http://diamond.jp/articles/-/97617
2016年8月3日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] ダイヤモンド・オンライン


■「逝き方」の手前の話

 最新号の『週刊ダイヤモンド』(2016年8月6日号)は「どう 生きますか 逝きますか」と題された介護・死別・終末期などの特集だ。死生観から、墓・葬式、終末期の働き方、介護など、誰にでも一度は訪れる大事な問題を取り上げている。本欄の読者には、自分自身の問題としてよりも、親御さんや家族の介護等の問題に現在形で関わっておられる方も多かろう。

 本稿の主題には直接関係ないが、北海道にある筆者の実家では(父・母共に高齢だが存命だ)、ここ数年の間に、母親が「寺断ち」・「墓断ち」を進めてくれたので非常にすっきりした。

 長年関わりのあったお寺であったが、住職が代替わりして商業主義的な側面ばかりが見え、「有り難み」が薄れるだけでなく、邪魔になってきた。お寺の境内にあった墓を撤去し、遺骨を近海に散骨し(親切なNPOの協力を得た)、寺との縁を完全に切り、自宅の仏壇も撤去した。縁の近いご先祖様たちはフォトフレームに入った写真として実家で毎日子孫(私の親)と対面している。「仏壇に閉じ込めておくよりも、遙かに身近に感じられて、心が通う」と母は言う。息子としては、今後、「寺」や「墓」と関わる必要が一切なくなり、気分が爽やかで、大変ありがたい。

 さて、今回は、「逝く」よりも手前の話だが、高齢者のマネー運用について、留意事項をお伝えしたい。「終末」あるいは「相続」まで辿り着く手前で、お金で失敗をしないようにという話だ。

 実は、日頃、資産運用について本や記事を書くことの多い筆者なのだが、近年、あらためて親の財産状況を見ると、息子が言っていることとはほど遠い状況が幾つか見えてきた。

■高齢者の資産運用四箇条

【第一条】 運用に歳を取らせる必要はない。

 巷の新聞・雑誌のマネー運用特集記事や、運用に関する解説書を見ると、高齢者には「高齢者向きの運用」があるかのような書き方をしているものが多い。

 雑誌の特集記事のようなものの場合、そもそも年代別にお勧めする運用方法と運用商品を提示するようなレイアウトを決めた上で、ファイナンシャルプランナーなどに取材や原稿を依頼するケースが多い。編集部がそもそも「年代別」というフレームワークに縛られているのだ。

 しかし、考えてみると、(1)どのように運用して稼いだとしてもお金はお金であり使い道は後から自由に決められるし、(2)若くても高齢者でも、またお金持ちでもそうでなくても、効率(リスクに対する期待リターンの効率)が悪い資産運用は嫌なはずだ。

 先入観を捨てて改めて考え直すと、お金の運用方法は、お金の使い道、お金の所有者の年齢、手持ち金額などから独立に決めることができるのだ。若者でも、高齢者でも、リスクを取る運用に投じる金額が人によって違うだけで、運用商品の組み合わせは基本的に同じものでいい。

 本人の「年齢」、「性別」、「投資経験」、果ては「性格」などの、「投資家のタイプ」によって、最適な運用と購入すべき運用商品が変わるという考え方は、高手数料のくだらない商品を顧客に売りつけるために運用・金融業界が世間にまき散らしている「商売のためのフィクション」なのだ。

 株式にせよ、投資信託にせよ、同じ時に同じものを持っていれば、誰が投資しても得られるリターンは同じだ。体力が落ちると、利益が減るというようなことはない。

「判断力さえしっかりしていれば」ポートフォリオにまで歳を取らせて、リスク水準を落とすようなことは必要ない。まして、「高齢者向きの運用商品」などというものは、金融セールスの世界にしか存在しないインチキだと思ってよい。

【第二条】 インカムゲインにこだわるな。

 高齢者向けの運用法あるいは運用商品として勧められていて、高齢者の運用を歪めている要素として最大(つまり同時に「最悪」でもある)のものは、利息・配当・分配金などの定期的現金収入、いわゆる「インカムゲイン」に対するこだわりだろう。

 毎月分配型の投資信託が仕組みとして非合理的でかつ現実の商品として損な(手数料が大きい)ものであるかについては、本連載でも何度か書いてきたが、何と、父の証券口座を見たところ、毎月分配型の投資信託が数百万円入っていたのには心底驚いた。息子の本や原稿よりも、証券セールスのご説明の方が、説得力を持つらしい。

 なお、毎月分配型の投資信託は、買った値段に関係なく、即刻解約して構わない。

 株式でも投資信託でも、運用は、インカムゲインとキャピタルゲイン(と税金や諸費用も)を「合わせて」判断するのが、運用の絶対の基本の一つだ。

 しかし、インカムゲインの方が健全なリターンであり、特に高齢者には望ましいとする先入観は強力だ。キャピタルゲインの場合、それを手にするには元本の一部を売却しなければならないが、「元本を取り崩す」というイメージに不健全性を感じる人が多いのだろう(1960年代くらいまでは、米国の金融・保険業界でもそのようなイメージが持たれていたようだ)。

 この先入観のまま書かれた書籍などが、後代の書き手に誤った先入観を伝え、それを金融界は利用し続けているという構図になっている。

 今や、先進国は内外共に低金利だ。高齢者にあっても、分配金などのインカムゲインが魅力的に感じられるほど大きいことを「不気味だ」と感じるくらいが、ちょうどいいリスク感覚だ。

【第三条】 プロに任せるな。

 銀行の店頭にあるポスターなどを眺めると、「相談しよう」と顧客を誘うものを多数見かけるが、近づかない方がいい。無料の相談であっても、そうだ。

 なぜなら、相談の相手をしてくれる金融マンは高い人件費以上の利益を稼がなければならない(商売の)プロであり、彼らが繰り出す「ご提案」を、素人がその場で的確に批判することは難しいからである。

 まして、商品の選択、売買のタイミング、投資金額の決定などを、金融マンに実質的に委ねるようなことは、絶対に避けるべきだ。

 しかし、高齢者には、「自分は、相手がいい人であるか否かを判断できる」と思い込む傾向が強いように思われる。自分の話し相手になってくれる人(構ってくれる人)、自分を尊重してくれる人を大切にしたいという心理が、体力や判断力が衰えてくると強化されるのかもしれないが、他人をむやみに「信用したがるようになる」ことは金融取引の世界にあっては、大変危ない傾向だ。

 他方、金融機関のセールスマンの側は、金融商品やサービスの長所を売り込もうとするよりも、「いい人」としての自分の売り込みに注力するし、それが奏功して、多くの高齢者が、間違いなく無駄な手数料を支払い、かつしばしば過大で奇妙なリスクを取る(注:リスクの大きな商品の方が、手数料が高い傾向がある)。

 構ってもらったり、感心してもらったりすることが嬉しいのは分かるが、お金の運用の判断に運用商品を販売するプロは一切関わらせてはならない。

 相談が必要な場合は、金融商品や保険商品などを扱っていない「金融機関と関わりのない」ファイナンシャルプランナー(時に専門知識に疑問があるが)などに相談料を払って相談するのがいい。

【第四条】 お金の在処が分かるようにしておけ。

 判断力が十分ある高齢者は、前記の第一条から第三条を守ってお金を運用してくれたらいいのだが、高齢者の場合、「自分が不意に判断力を失う可能性」があることを頭に入れておきたい。

 いわゆる認知症が進むケースもあるし、単純に記憶を失うこともあるだろう。また、急病や事故などで意識のレベルが急激に下がることがあり得る。

 例えば、ヘソクリのつもりで家族に告げずに持っている銀行預金がある場合に、預金者本人が記憶を失ったり、亡くなったりした場合に、さらに家族が預金通帳を見つけられない場合には、預金が見つけられなくなる可能性がある。

 現在の銀行預金は、動きがなくなってから10年以上経つと後から記録を遡ることができない仕組みになっている。

 筆者の家族は、高齢の父の過去の預金の動きを知ろうとして(退職金の一部の行き先が不明だった)、あるメガバンクに口座の記録を見せてほしいと頼んだのだが、本人を店頭に連れて来るように要求され(考えてみると当然ではあるのだが、高齢だと非常に大変だ)、その通りにしたが、10年以前の記録はないことになっており(文書の保管年限が10年なので、それ以上は対応しない)、また10年以内の記録の調査にもそれなりの費用が掛かった。

 動きが止まって10年を超えた預金は、現状では、いったん銀行の本店に移換されて銀行の利益となる。今のところ、将来、預金通帳と印鑑などが出てきて預金の存在が確認された場合、本人の遺族に対して預金が払い戻されるケースがあるようだが、これは銀行の自主的な判断に過ぎないという。

 例えば、夫婦の一方ないしは両方が、相手に知られたくない口座で金融資産を保有していることは珍しくないが、そうした場合には、例えば、子どもに資産の在処を教えておくべきだろう。とはいえ、子どもも複数いると、特定の子どもに財産の在処を教えると、相続でもめる原因になる場合があろう。真に「信用できる人」を持っているかどうかは、その人の人生全体に起因する大問題だ。

 何はともあれ、高齢者は、「自分が不意に判断力を失った場合」について想定しておくべきだ。

 もっとも、これは、本質的に高齢者に限った問題ではないかもしれない。運用にあって、「高齢」が特別な要素ではないように、全ての年代にあってお金の在処を情報として適切に管理する必要性があるのだ、という理解を持っておくことが正しいということだろう。

 なお、政策の問題として、筆者は、全ての金融口座とマイナンバーを結びつける金融取引実名制を早急に導入することがいいと考えているが、その際に、本人ないし遺族が、休眠預金などを後から遡って見つけることができるようなデータ利用ができると望ましいと思っている。こうした使い方が、本人の側でもできるならマイナンバーもありがたい。

 

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コメント
 
1. 2016年8月03日 08:18:59 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[2140]

子供がいない高齢者と、高い所得があり長期で投資が可能な若者などでは属性が異なるから

当然、その違いは反映するのが合理的だ

例えば、先の短い高齢者が、ハイリスクで換金しにくい賃貸不動産などに全資産を投入をするのは止めた方がいい


違いがある


2. 2016年8月03日 09:38:43 : qkAZ7zSU8E : W9AATMVkcgM[37]
いつでもだれでも自分の目的に合わせて行動するのが自然だ。当然投資の形もそのようになるが、自分の状態や目的に合わせて物事を考えるには、他人にとって相当の費用が(当事者の説明も不可欠で、だれもが適切に自分のことを表現できるとも限らない)必要なものである。
 コストパーフォーマンスを重視すれば、なかなか適当な示唆を得ることができるサービスは、かなり少ないだろう。したがって、平均的なところで折り合いをつけるわけで、大きな損失がでなければよいという程度で、よいのかもしれない。



3. 2016年8月03日 16:04:03 : W0umuQPjfU : 36BmbHw_25Y[9]
年よりが投資なんて、投死に等しい。時間がないのだから、財産は全部、自分の好きな事に使えきれ。

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