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2016年08月02日
国際通貨基金(IMF)による対日審査の年次報告書、マイナス金利について代替策をとるべきだ、と厳しく糾弾しました。安倍ノミクスも「物価上昇の推進力を失った」、金融政策も「大規模緩和が長引けば、急変動などシステム不安が高まる」とします。まるで日銀の「総括的な検証」を後押しするかのようです。消費税は「15%まで段階的に引き上げる」旨を載せたのは、財務省の意向が色濃く滲んだ結果でしょう。今日も麻生財務相と黒田日銀総裁が会談していますが、最近では政府、日銀は接近しすぎという意見と、すきま風が吹き始めた、という意見の2つがあり、どちらも正解のようです。
麻生、黒田会談後、麻生氏が40年債の増発について検討、と表明しました。要するに、露骨な『簡易ヘリマネ』の導入を次回会合で検討してもらう、として市場期待をつなごうとしたのです。しかし結果は逆、国債は金利が急騰し、為替は円高にすすんでいます。これはマイナス金利の見直し、といったことが強く意識された結果です。緩和縮小は黒田氏も明確に否定しますが、「総括的な検証」の中で、マイナス金利は見直されるだろう。特に、より長めの国債を引き受けるとなると、余計にマイナス金利が邪魔をする。金利がつかない長期国債は、もっていても収益性に寄与しない。むしろ収益にはネガティブでしかないのです。
銀行の収益が4-6月、大きく悪化したように、日銀とて金利差により利ざやを稼ぐ体質であることに何ら違いはありません。それが企業や個人なのか、金融機関を対象にしているのか、だけのことです。マイナス金利の効果は限定的、むしろ悪影響が目立つ。だったら、ゼロ金利にもどした方がいい。すでに金融機関のリポートでもそういったものが目立つようになっており、麻生、黒田会談はそうした意識をより強く惹起させたのでしょう。
政府が第2次補正予算を発表しました。事業規模は28.1兆円とされますが、真水はこれまで報じられていたものより1.5兆円上積みし、7.5兆円。単年度ではたった4.5兆円です。政府はGDPを1.3%押し上げる、としますが、しかし15年度の補正予算は3.3兆円。たった1.2兆円の上積みでしかありません。昨年は臨時国会が開かれず、年初の補正予算成立になりましたので、短期間に補正予算が組まれることにはなりますが、それにしてもGDP押し上げ効果などは金額ベースでみても0.2%の押し上げ効果ぐらいのものでしょう。
それ以上に問題なのは、1.5兆円の上積みを一体どんな財源から捻出したのか? です。詳細は不明ですが、年金の利払い負担の減少を財源としたのなら、ここに来ての金利急騰は逆風ともいえます。建設国債が大半のようですが、最近、政府で語られるのは外為特会や国債利払い負担の減少、などマイナス金利に依拠した歳出の目減りをその財源として活用する意見ばかりです。その逆回転がここに来て鮮明になりつつあるのなら、今後は政府が景気対策に回す予算も、枯渇して行くかもしれない。緊縮財政を迫られるかもしれないのです。
安倍政権ではプライマリーバランスの改善方針に、高成長を組みこんでいますが、実際には安倍政権になって低成長。むしろ遠のいたといえるのでしょう。そして、これまで日銀とタッグを組み、余剰資金を景気対策に回してきた、いわゆる好循環が、ここに来てひっくり返ろうとしている。その萌芽がここにきて、顕在化しつつあるのです。
日銀としても、政府といつまでも付き合っていたら、一緒に批判の的にされる。財務省としては政治を盾に逃げることもできますが、黒田日銀は政策の失敗について、直接つめ腹を切らされる立場にあるのです。政府に協力しつつ、政府とは立場を異にしよう。そんな態度が「総括的な検証」に含まれるなら、日本経済は大きく下方修正を余儀なくされる局面にきている、といえるのでしょうね。
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