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子どもの教育費が不足!どうする?「子どもに負担させる」も大切、自身の老後資金不足の恐れも
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16149.html
2016.08.03 文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー Business Journal
家計のなかで、「聖域」とも称せられる子どもの教育費。家計支出に占める子育てにかかる費用の割合のことを「エンジェル係数」ともいうが、これは証券大手の野村證券が1989年から豊かさの指標として設定した指標なのだとか。
たしかに家計に余裕があるご家庭であれば、子育てや教育にお金をかけることもできるだろう。しかし、平均所得はここ20年で20%減少している(2014年「国民生活基礎調査の概況」より)。
その一方で、家計に余裕がないにもかかわらず、「子どもにはお金をかけてやりたい」という人が、少なくない。私も人の親として、そのような親心はわからないではないが、経済環境も含め、私たちを取り巻く環境は厳しい。
今回は、イマドキの子どもの教育費の考え方や教育にばかりお金をかけていられない現状について考えてみよう。
■進学コースがオール公立なら、お金はかからない?
私がファイナンシャルプランナー(FP)になった約20年前は、「教育にお金をかけられないなら、絶対公立に行くべし」というようなアドバイスが多かったような気がする。
しかし、最近はその“常識”が通用しなくなっているかもしれない。その理由のひとつとして、学費以外のトータルな費用を試算すると、私立に進学したほうが安くなるかもしれないからだ。
たとえば、入学金や授業料が最も割安な、高校まで公立で、大学も国立に進学するコースの場合、国立大学は、各都道府県に1つ、2つある程度がほとんど。さらに、希望学部や学力に見合った大学が自宅通学圏内にあるというのは、首都圏を除けば数える程度だろう。
となると、是が非でも国立大学に進学となれば、学費以外に生活費や家賃などの仕送りが必要となる。
日本政策金融公庫の「教育費負担の実態調査結果」(15年度)によると、自宅外通学者への年間仕送り額は、平均124.9万円で前年度よりも減少しているものの、大学4年間の仕送り額は約500万円にも上る。
さらに自宅外通学を始めるための費用として45万円も別途かかるとなると、4年間で総額約550万円の支出だ。自宅通学の場合も、交通費などがかかるだろうが、それでも自宅外通学とは比べものにならない。
■国立大学と私立大学の学費の差が縮小?
さらに、国立大学と私立大学の授業料等も、以前に比べて差が縮小傾向にあることをご存じだろうか? 文部科学省によると、平成26年度の国立大学の授業料は年間53万5,800円、入学料は28万2,000円で合計約82万円となっている。
それに対して、私立大学の授業料は年間86万4,384円、入学料は26万1,089円で合計約113万円だ。
それぞれの合計額を比較すると、私立大学のほうが断然高く、その差は約1.4倍になる。
ただ、25年前は約1.5倍だったことを考慮すると、その差は徐々に縮まっており、入学料などは04年から逆転して、国立大学のほうが高くなっている。
このような国立大学の授業料や入学料の上昇は、国の財政難を反映して、公私間格差を縮めるべきだという、財政当局の意向を反映したもののようだ。最近も、ここ10年ほど据置されている国立大学の学費を値上げすべきだという方針が浮上しているとか。単純に、お金がなくても国立大学なら進学できる、という時代ではなくなってきたのかもしれない。
■以前よりも、私立への進学が身近に?
教育資金という観点では、大きなお金がかかるのはやはり大学から。しかし最近は小学校高学年から塾に通わせるご家庭も多い。一度も塾に通わずに、大学まで無事卒業できた私としては、塾に通わせるのが親として当然の義務のような顔をされると、正直辟易としてしまうのだが、時代が違うと言われればその通り。
同じ都道府県内であればどの高校にも進学できる高校入試時の「学区制の廃止」や、中学校での「相対評価」から「絶対評価」への移行などで、今や人気のある公立高校は“狭き門”となっている。特色のある私立高校への進学が身近になったともいえるが、費用負担を考えると頭が痛い。
とはいえ、公立高校進学後も、成績維持のための塾や家庭教師の費用がハンパない、という親の悲鳴も聞こえてくる。
■もしも教育資金が足りなくなったら?
40〜50代の親にとって、収入に占める子どもの教育費負担は大きく、その進路も希望通りにいくわけではない。マネープランを立てる場合は、私立進学も視野に入れたほうが安心だということだ。
そして問題なのは、見積もっていた額を大幅にオーバーしそうなときである。教育資金が不足した場合の対処法としては、以下が考えられる。
(1)日本政策金融公庫の「国の教育ローン」や銀行の教育ローンで準備する
国の教育ローン(教育一般貸付)の場合、学生1人につき350万円(一定の海外留学資金は450万円)まで
(2)「奨学金」を利用する
日本学生支援機構の奨学金制度は「貸与型」で、無利息の第一種と有利息(在学中は無利息)があり、無利息のほうが条件は厳しい。私立大学の地方出身の学生向けや財団などが実施する「給付型」もある
(3)「授業料減免制度」を利用する
経済的な理由で修業が困難な学生を支援するために、授業料の全額または一部を免除する制度。学業やスポーツの成績優秀者が受けられるものもある
(4)父母や祖父母など(直系尊属)からの教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税を利用する
一定の教育資金に充当するために父母や祖父母が金銭等を拠出し、金融機関に信託等した場合には、受贈者(30歳未満)につき1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度)まで贈与税が非課税となる(2019年3月末まで)
■教育資金は、住宅ローン返済や老後資金なども考慮して
これらは、いずれの方法もメリットとデメリットがあるので、検討する前に、それらをきちんと確認することが欠かせない。また、子どもの誕生とともに住宅購入を検討する人も多いが、住宅ローンを返済しながら、子どもを私立に進学させることができるかも試算してみると良いだろう。
もし教育にはお金を惜しまないというならば、購入する住宅のランクを下げる必要があるかもしれない。
そして、教育や住宅は、そのご家庭の考え方や方針次第で費用は大きく変わるが、老後資金は考え方いかんにかかわらず、かかるものである。
住宅や教育にお金をかけ過ぎてしまうと、その分、自分たちの老後資金を減らしているようなものだということを肝に銘じておきたい。
■「親ができるのはここまで」と線引きするのもアリか?
お金に糸目をつけず大切に育てた子どもが、ニートや引きこもりになった事例などを目の当たりにすると、お金をかけたからといって、良い教育が受けられるというものではないと痛感する。「親ができるのは、ここまで」と線引きし、足りないなら子ども自身に負担させるのもひとつの考えだと思う。
私自身も大学は奨学金を利用し、バイトを掛け持ちして生活費を工面していた。親に多額の仕送りをもらっていたり、マンションを買ってもらっていたりする裕福な友人を羨ましいと思わないではなかったが、それもまた自分の人生である。
今では学生時代の経験によって、お金の大切さ、経済的に自立することの意味を早い時期から学ぶことができたと、親に感謝している。
よく子どもには、お金の苦労をさせたくないというが、遅かれ早かれ社会人になれば、自分自身の収入でやりくりしていかなければならないのである。それなら、子どもが独立する前に、お金との付き合いを学ばせるのも親の役目のひとつだと思っている。
ということで、まずは親が負担している年間の教育費の額とそれが、親の年収の何割を占めているかを教えてみてはいかがだろうか?
ほとんどの子どもは、親の年収すら知らずに成長するのだから。
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)
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