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コラム:QQE長期化なら債務膨張リスクも、政府の積極財政で
田巻 一彦
[東京 29日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は29日の会見で、ETF(上場投資信託)の購入増を柱とする追加緩和策が、不透明感が強まっている内外経済情勢の下で、最も適切な政策対応であると説明した。
ただ、2%の物価目標達成が確実さを増すのか、不透明感が依然として強い。マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策(QQE)の長期化が鮮明になれば、政府の積極財政も長期化し、債務残高の膨張に歯止めがかからなくなるリスクもはらんでいる。
<2年・2%に強気の黒田総裁>
この日の黒田総裁は、いつにも増して強気の姿勢を貫いた。最も印象的だったのは「2年程度を念頭にできるだけ早期に2%を達成するという点は、今後も変更するつもりはない」と述べた点だ。
ただ、29日に発表された6月全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は前年比マイナス0.5%と低迷。2%のゴールは足元で遠ざかる動きになっている。
黒田総裁は、英国のEU離脱(ブレグジット)や新興国経済の減速などで国際金融市場における不安定さや不確実性が増し、日本国内の企業や家計の心理に悪影響を与えるリスクに注目。それに対応して今回の緩和策を打ち出したと述べた。
ETF買い入れ額をほぼ倍増の6兆円としたが、それがどのルートで効果を発揮し、最終的に物価を押し上げるのか、具体的な波及ルートに関する説明はなかった。
株式市場では、ETF購入増額は株価の押し上げに一定の効果があると言われている。株価が上昇し、リスクオン心理が台頭すれば、企業は設備投資を増やし、家計では消費拡大方向に動き出す、との見立てだ。
それが望ましいシナリオだろうと推測するが、この日の日経平均は乱高下を繰り返した後、前日比92円43銭高の1万6569円27銭で取引を終えた。
2万円方向に株価を押し上げ、それを起爆剤に景気回復方向のメカニズムを全開させるというシナリオの実現には、かなり高いハードルが待ち受けているのではないか。
政府が策定中の景気対策の事業規模は28兆1000億円、財政支出は13兆5000円億円に達することが明らかになっているが、それでも株価の上値は重い。
足元で公表されている弱い物価や個人消費のデータからみて、国内経済の「体温」は、政府・日銀が実感しているよりも「低い」のではないかという疑問が生じる。
もし、展望リポートで示された物価見通しよりも下振れの軌道を走り続けるようなら、2017年度中の物価目標2%の達成は危ぶまれることになるだろう。
その結果、QQE政策は当初の2年から大幅に長期化される可能性が高まる。実際、18年3月に達成(日銀の17年度中の最後のタイミング)なら5年間かかったということになる。
<QQEに甘える政府のリスク>
そこからさらに達成が遅れるようだと、日銀の信認に打撃となるだけでなく、別のリスクを増大させる問題を抱えることになるのではないかと懸念する。
それは、政府の財政規律を弛緩(しかん)させるという問題だ。黒田総裁が29日の会見で指摘したように、QQEの効果としてイールドカーブがフラット化し、その結果、企業向けの貸出金利も低下して、金融緩和効果が出ている。
日本の長期金利は一時、マイナス0.30%まで低下した。その背景には日銀の大量購入がある。仮に市場が日本政府の財政規律に懸念を持ち、売りが増大しても、それを日銀の買いが相殺し、市場の「警報装置」が機能しなくなるという副作用が生じる。
現実に、政府の中長期試算では、2020年度の基礎的財政収支黒字化を達成しようとしても、名目3%成長のシナリオでも、5兆円超のギャップが生じてしまう。
しかし、だからと言って無駄な歳出を削ろうという声は与党内では目立たない。むしろ、マイナス金利を利用して国債増発で景気を回復させるべきだとの意見が多い。
実質的に財政規律が弛緩しようとしている時に、QQE政策を仮に10年間も継続するようなら、歯止めのない財政膨張と債務残高の急増を招くことになると危惧する。
日銀が金融緩和を強化して、景気回復を支援する姿勢を強めるなら、そのタイミングで政府に対し、財政規律の維持を再確認するような「合意」が必要ではないか。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」とならないよう、「知恵」を駆使することが政府・日銀に求められている。
●背景となるニュース
・日銀総裁会見詳報5 2年で2%を今後も変えるつもりはない [nKjtVUj]
http://jp.reuters.com/article/column-boj-idJPKCN10916M
欧州銀ストレステストでモンテ・パスキ最悪、直前に再建案発表
[ロンドン/フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州銀行監督機構(EBA)は29日、銀行51行の健全性審査(ストレステスト)結果を公表した。イタリアの大手銀、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)の中核的自己資本(コアティア1)比率が、マイナス2.44%で最悪となった。
同行は結果発表のわずか小一時間前に、不良債権売却や資本増強などの再建計画を最終的に取りまとめたことを認めた。
アライド・アイリッシュ銀行は4.31%だった。
合格、不合格の判定は行わなかったが、アナリストらは昨年の基準(5.5%)が目安と見ており、両行とも下回った格好だ。
7%を維持できる銀行数も注目されていた。スペインのバンコ・ポピュラール、アイルランド銀行、オーストリアのライファイゼン・バンク・インターナショナル(RBI)は6.62%、6.15%、6.12%といずれも7%を下回った。
また下位12行には伊ウニクレディト、ドイツ銀、独コメルツ銀、英バークレイズなども含まれている。
EBAのエンリア会長は声明で「これまでに、相当程度資本を積み増す動きがみられたが、問題が無いということではない」と指摘。「取り組む課題が残っている」との認識を示した。
欧州中央銀行(ECB)はこの日、ユーロ圏大手37行のストレステスト結果を公表した。テスト前の普通株式等ティア1(CET1)比率は平均で13%と、2年前の11.2%を上回ったと公表した。
厳しいシナリオを適用した場合でも9.1%を維持、2014年のテスト時(8.6%)を上回った。
ウニクレディトは、当局とも協力しながら、さらなる対応が必要かどうか見極めたいと述べた。アライド・アイリッシュ銀行は根本的な再建策をすでに打ち出しており、現在は持続的な黒字の状態と説明した。
<駆け込みの再建計画>
ストレステストの結果公表間際に発表された、モンテ・バスキの再建計画では、同行は総額50億ユーロの増資を実施するほか、92億ユーロ(103億ドル)の不良債権を売却する。
こうした計画はモンテ・パスキのアドバイザーを務めるJPモルガンと伊メディオバンカが草案を策定。関係筋によると、モンテ・パスキの取締役会はスイスのUBSが提示した対抗案を拒否し、JPモルガンとメディオバンカの案を承認した。
引受け先銀行団には同2行を加え、サンタンデール、ゴールドマン・サックス、シティグループ、クレディ・スイス、ドイツ銀、バンク・オブ・アメリカの6行が参加を表明している。
不良債権は、民間投資家が支援する特別目的事業体(SPV)に売却する。これら民間投資家には政府出資の救済基金「アトランテ」が含まれる。
増資および不良債権売却計画は年内に完了する見通し。
モンテ・パスキのファブリツィオ・ビオラ最高経営責任者(CEO)は、同行が「新たなバランスシートを構築することになる」と言明した。
関係筋によると、欧州中央銀行(ECB)は同日、こうした民間部門によるモンテ・パスキ救済案を承認した。
*情報を追加しました。
http://jp.reuters.com/article/europ-stresstest-idJPKCN1092OE
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