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米資産バブル、再び崩壊の恐れ
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米国の事業用不動産相場が過去最高値をつける中、中国の安邦保険グループはニューヨークのワルドーフ・アストリア・ホテルを米ホテル史上最高の19億5000万ドルで購入したPHOTO: SPENCER PLATT/GETTY IMAGES
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GREG IP
2016 年 7 月 28 日 15:40 JST
過去2回のリセッション(景気後退)は、資産価格の崩壊が先触れとなった。同じことを繰り返す危険性が高まりつつある。
米国株は、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた影響で急落したが、その後過去最高値を更新した。不動産市場もひそかに同じような動きをみせている。住宅価格は2007年につけた最高値までわずか2%の水準にあり、商業用不動産は最高値をつけている。
この結果、米国の純資産は国民所得の5倍を上回っている。不吉なことに、純資産がこの水準に達したのは1999年から00年のハイテク株バブル期と、04年から08年の住宅バブル期の2回しかない。
資産価格が高いからと言っても、過大評価とか相場が崩れようとしているなどと言う意味ではない。だが、これは経済が構造上、金融市場の心理が突然変わった場合に一段と崩れやすくなっている兆候だ。各中央銀行が低金利やマイナス金利まで動員して成長にてこ入れしているため、資産相場が膨らみ続ける中、この崩れやすさが増している。資産相場が水ぶくれしたため、金利の正常化は一段と怪しくなっている。
いつも資産がこれほど問題だった訳ではない。投資顧問会社ゲイルフォスラー・グループのゲイル・フォスラー社長によると、1952年から96年にかけては、米国の純資産は国民所得のおよそ4倍程度で推移していた。金融は厳しく規制され、金融政策は銀行がどの金利水準でどれだけ融資するかを操作することでほぼ機能していた。
そして90年代に強気相場が始まるとともに資産が増加した。フォスラー氏の言葉を借りるならば、モノやサービスへの支出を左右する要因として、資本が目立つようになり所得の影は薄くなった。資産価値とそれに伴う債務が高まるにつれ、企業と家計の資産は金融市場との結びつきを一段と深めた。
https://si.wsj.net/public/resources/images/NA-CL012_CAPACC_16U_20160727120310.jpg
米国の株価(左)と住宅価格(中)は過去最高値を回復し、所得に対する純資産の倍率(右)は過去のバブル前の水準に迫っている。
これは90年代のハイテク株バブルと00年代の住宅バブルの崩壊で明らかになった。いずれの場合にも、従業員向けストックオプションから債務担保証券(CDO)に至るまで新たな金融商品が横行した。
フォスラー氏によると、今回の景気拡大期においては、資産バスケットを取引する上場投信(ETF)が、産業部門や資源(コモディティー)、債券に投資する主な手段となり、これらの市場動向がより幅広い影響を及ぼす新たな経路となっている。
フォスラー氏は顧客向けリポートで、「資本経済の変化は常に所得経済に対して大きく影響してきたが、現在はこうした影響が甚大だ」として、「国民所得に対する資産の増加に伴い、著しく不安定になっている」と指摘した。
富を主体とする経済は定義上、資産価格の揺れに一段と左右されやすい。米連邦準備制度理事会(FRB)は04年から06年にかけて、経済を減速させてインフレを抑え続けるために利上げした。経済が落ち込んだのはそうした利上げが原因ではなく、住宅価格の暴落とそうした住宅の不透明な融資債権がデフォルト(債務不履行)に陥ったことによる金融の混乱がきっかけだった。
今回の局面は、これまでとは重要な違いがある。規制が強化されたため、資産インフレに対する貸し付け金融手段の関わりは限定されている。だが、金利は関わりを増している。FRBは昨年12月まで金利をゼロ近くに据え置き、その後の引き上げも段階的なものにとどめることを約束している。英国が欧州連合(EU)離脱を決めたことで利上げ期待が一段と後退したため、このところの株式相場の高値更新につながった。その結果、経済全般よりも今回の景気回復期における資産相場の回復ははるかに目覚ましいものになっている。
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米国の住宅価格は2007年につけた最高値にあと2%の水準に迫り、商業用不動産は最高値をつけている PHOTO: DAVID PAUL MORRIS/BLOOMBERG
資産価格がこれほど高いと言っても、自動的にバブルが形成されているというわけではない。現在の所得を生む資産価値の拡大は低金利がもたらしている。過去最高水準にある株価収益率は、現在のように金利が低くとどまることで正当化できる。同様に、過去最低水準にある住宅ローン金利は、住宅価格が07年の水準を回復しても、自家所有のコストが07年当時ほど賃貸コストからかけ離れないことを意味している。
だが、このように正当化できても、計算上の現実からみて資産評価水準はあまりに高く、リスク許容度や利益ないし金利の予想が少し変化するだけで、大幅な下落のきっかけになるだろう。米財務省金融調査局は今週、現在の株式相場が「過去1世紀における3回の最も大きな株式相場の下落の前にしかなかった」水準に達したと指摘した。
フォスラー氏によると、過去においては資産の伸びが所得の伸びを下回ったときに、不安定な動きが生じる。これは既に起きていることだ。株価は最高値を付けたものの、1年前の水準を大幅に上回ってはおらず、企業の利益も減っている。
だからといってリセッションが訪れるということではないが、FRBは不安定さを念頭に置き続けるべきだろう。
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米利回り曲線、リセッションの予兆ではない理由
By IAN TALLEY
2016 年 7 月 28 日 15:22 JST
米国債の記録的な低利回りは何十年もの間、米国経済の低迷を示唆し、リセッション(景気後退)の予兆となってきた。だが今回は違うようだ。
一部のエコノミストは、いわゆる利回り曲線(長短金利差)が新たな景気減速の前触れになると指摘している。30年物と10年物の米国債利回りは今月過去最低をつけ、30年に及ぶ低下の流れにおいて新たな記録を打ち立てた。
利回りはその後最低からはやや持ち直している。だが、債券利回りの低下に事業投資の弱さや企業利益の縮小、自動車販売の落ち込みが重なり、一部の投資家は過去にリセッションにつながった利回り差の縮小傾向からみて、リセッション入りの確率を60%とするに至っている。
ドイツ証券が米国債の利回り曲線から予想するリセッション入りの確率
%
THE WALL STREET JOURNAL
Source: Deutsche Bank Securities
Recession
Contraction Ahead?
Deutsche Bank Securities's assessment of the probability of aU.S. recession implied by the bond-yield curve
1980
’85
’90
’95
2000
’05
’10
’15
0
20
40
60
80
100
だが過去とは異なり、景気縮小を招く可能性が最も高い圧力は今回、米国以外のところに存在する。海外の混乱や弱さから、投資家は米国債の安全性に引き寄せられ、価格の上昇(利回りの低下)につながっている。
ドイツ証券のチーフ国際エコノミスト、トルステン・スロック氏は「低水準の米金利は、米経済の健全性を反映するものではない」とした上で、「他国の利回り追求動向と英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る国民投票の結果を反映している部分が大きい」と指摘した。
過去の米国債利回りの平たん化はおおむね、米経済の悪化を示す他の兆候と同時に見られた。1990年と2001年のリセッション、そして07〜09年のグレートリセッションはいずれも、始まる前に雇用水準が急激に低下した。米サプライ管理協会(ISM)がまとめる指数によれば、製造業活動も同じように、これらのリセッションに先立ち著しく減速した。
利回り曲線が最後にこれほど平たん化したのは07年12月で、当時は金融市場の混乱が世界経済に大打撃を与えようとしていた。米国の新規雇用は月平均5万5000人程度にとどまり、製造業景況指数は業況の縮小を示していた。
米経済は現在、近代で有数の長期拡大局面にあり、加速の兆候を示している。ISMの指数によると、製造業とサービス業の景況感は上向いている。賃金インフレは今にも加速しそうだ。6月の雇用統計は大幅に持ち直し、過去6カ月間の非農業部門就業者数の増加幅は平均21万8000人となった。
債券利回りは三つの要素で動いている。今後の物価上昇でどの程度価値が目減りするのか、予想される金利の道筋、そしてタームプレミアム(期間に伴う上乗せ金利)だ。
かつて国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストを務めたピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、オリビエ・ブランシャール氏は、足元の利回り曲線の動きの大部分はタームプレミアムの変化が原因だと指摘した。つまり、利回り曲線とリセッションの相関性に関する古い解釈が「引き続き有効である理由はない」という。
08年は住宅市場に不均衡があったため、リセッションの可能性はより高かった。ブランシャール氏は「今はそうした明確な不均衡がない。いかなるマクロ経済の規模で見てもバブルは見当たらない」と語った。
だが、世界に問題が生じていないというわけではない。
投資コンサルタント会社720グローバルの共同創設者、マイケル・レボウィッツ氏は「債券市場は何かが間違っていると叫んでいる。注意を払った方がいい」と述べた。
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日銀の「ヘリマネ」観測、ドル円トレーダーを翻弄
円はドルに対し年初来14%近く上昇している
By CHELSEY DULANEY
2016 年 7 月 28 日 14:41 JST
日本銀行が新たな刺激策を導入するとの観測を受け、投資家は今年の金融市場で最も波乱に富んだ関係の一つ、すなわちドル円相場への注目を強めている。
日銀は29日、2日間にわたる金融政策決定会合を終えた後、インフレと経済成長を再び加速させるための積極的な緩和政策を新たに打ち出す見通しだ。日銀の政策判断が期待外れなものに終われば、円安進行を見込む投資が圧倒的に多い市場は大きく揺らぎかねないと投資家は言う。
円はドルに対し年初来14%近く上昇しており、主要通貨の中で上昇率トップだ。このため、日本の当局が進める経済成長てこ入れ策はなかなか奏功しない。多くのアナリストが「ヘリコプターマネー」に類似したものになるとみる政策を当局が検討中という観測も含め、今週は日本当局の計画について相反する報道が相次ぎ、相場は乱高下している。ヘリコプターマネーとは、政府が大規模な財政出動を打ち出し、中央銀行が政府から直接に長期債を買い入れることで財源を賄う前例のない刺激策のこと。
シティグループのG10外為戦略部門責任者、スティーブン・イングランダー氏は「失望が広がる余地は極めて大きい」とした上で、「(政策決定が)市場の期待に届かなければ、日銀は一連の緩和措置から丁重に身を引こうとしていると市場は言うだろう」と述べた。
投資家が抱く懸念の一つは、トレーダーがキャリー取引と呼ばれる人気の外為戦略を解消し始めれば、円相場の動きはすぐさま雪だるま式に増幅する可能性があることだ。
キャリー取引とは、円やユーロといった低金利の通貨を売ってオーストラリアドルなどの高金利通貨を買い、両通貨の金利差から利益を得ようとする取引。
過去最低の債券利回りや先進国の大半に広がる追加緩和見通しを背景に、ここ数カ月は高利回りの投資先を探す動きが復活している。
キャリー取引を使う上場投資信託(ETF)への資金注入が急増している。モーニングスターの推計によると、こうしたETFの一つであるパワーシェアーズDB G10通貨ハーベスト・ファンドは、6月に1880万ドル(約19億7000万円)の資金流入超となった。この流入額は同ファンド史上2015年3月以来の大きさだ。
パイオニア・インベストメンツの通貨戦略ディレクター、パレシュ・ウバダヤ氏は「キャリー取引を行うにあたりファンメンタルズ(経済の基礎的諸条件)はここ何年もの間で最も健全だ」と述べた。過去3年間キャリー取引を避けてきた同氏は最近、円やユーロ、ドルを売ってブラジルレアル、インドネシアルピア、インドルピーを買う取引を行っている。
同氏はこれらの取引には、中国経済成長を巡る懸念から米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ姿勢に至るまでさまざまなリスクが伴うことを認めている。
「『全てのキャリー取引は涙に終わる』という言い習わしがある。相場が大きく変動するや否や、苦労してためたキャリーが1日か2日で全て吹き飛んでしまうこともある」と指摘した。
FRBや米財務省に勤務していた経歴を持つピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ジョセフ・ギャノン氏は「レバレッジは(利益とリスクの両方の)増幅係数のようなものだ」と述べた。
キャリー取引は外為市場のボラティリティー(変動率)を上昇させる可能性もある。投資家がキャリー取引の解消に動いた場合、相場変動が一段と増幅されるからだ。一例が1998年10月に起きたドルの急落だ。投資家がドル買い・円売りのキャリー取引を解消したのに伴い、2日間でドルは円に対し約15%下落した。
同氏によれば、円安が進むと利益が出る持ち高の解消、すなわち円の買い戻しが進んだことで、「通貨が向かっていた方向にさらなる圧力がかかった」。
オプション取引のデータは、日銀の政策会合を控え投資家が慎重に行動していることを示している。オプション価格から計算されるドル円相場の1週間物インプライド・ボラティリティー(予想変動率)は今週、25%まで上昇した。トムソン・ロイターによると、これは2008年11月以来の高水準だ。
日銀は、1月に意表を突いてマイナス金利政策の導入を発表したほか、4月と6月の金融政策決定会合で追加緩和を見送るなど、これまでも投資家を当惑させてきた。
ロンドンに拠点を置くヘッジファンド、ハーモニック・キャピタル・パートナーズの最高投資責任者(CIO)、パトリック・サフベンブラード氏は年初からの日銀の動きについて、「われわれにとって痛手だった。追加の刺激策の導入を予想していたからだ」と明かした。アルゴリズム取引を駆使する同社は、日銀が近いうちにヘリコプターマネー政策を導入するかもしれないとの観測をどう織り込めばよいか決めかねている。政策担当者らが刺激策を拡大する上でまだ試されていない方法を押し進める恐れがあることが浮き彫りとなっている。
「当社にはこうした政策に見合うモデルはない」と話す同氏は代替策として、市場がヘリコプターマネーにどう反応し得るかを知る手掛かりがないか、利回り曲線やボラティリティーを注視している。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjCkKO185XOAhXHspQKHft0CFwQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11625300680616714172704582216370612489442&usg=AFQjCNElWCi7bsbuB5ilAM5MRq9S0mOyAg
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