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日銀、金融緩和の新境地に踏み込むか
By JON HILSENRATH
2016 年 7 月 27 日 07:58 JST
金融政策の世界に今週、またも大きな転機が訪れそうだ。中央銀行による国債購入で財政資金を賄う、いわゆる「ヘリコプターマネー」政策に向け、ある主要中銀が微妙な動きを見せている。これは、金融緩和の新たな展開であり、利下げや国債購入といった他の政策だけでは景気浮揚を達成できない場合に中銀がとり得る措置だ。
ヘリコプターマネーの威力は、理論上、中銀が無限に紙幣を刷ることができる限り、政府は無限に資金を使うことができるという点だ。この両方を十分に実行すれば、いずれはインフレが起きる。
日本銀行が今週、量的緩和策を拡大した場合でも、それを決してヘリコプターマネーとは呼ばないだろう。日銀の黒田東彦総裁は4月のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、金融政策の独立性を強調したうえ、ヘリコプターマネーを採用するつもりはないと語っていた。ただ、日銀が財政当局と協調する可能性はあるとしていた。
おりしも安倍政権が20兆円規模の経済対策をまとめようとする中、日銀は29日の金融政策決定会合で追加緩和に動く可能性がある。日銀が一段の緩和に踏み切った場合、それがヘリコプターマネーと呼ばれることはないだろうが、そのように見える可能性はある。安倍首相の経済顧問らは日銀に協調を要請している。
WSJ東京支局の中道敬記者がすでに報じたように、黒田総裁にとって大きな問題は、緩和できる規模とその形態についての判断だ。
これは、総裁にとって容易な判断ではない。今年に入りドルは対円で12%下げている。これが日本の輸出企業の痛手になり、国内の物価上昇を抑制している。この円高は、黒田総裁が大胆な策に打って出る動機になる。だが、そうした措置には消極的な日銀幹部も一部にいる。長期国債利回りと政策金利は既に過去最低水準にあり、これは銀行の利益をむしばみかねない。
浮上している一つの選択肢は、成長加速のための「的を絞った」措置だ。これで長期国債の買い入れを避けられるかもしれない。日銀はまた、マイナス金利の深掘りか証券購入の拡大、もしくは何らかの形でその双方を行うことのうちから選択を迫られるだろう。
黒田総裁がどのような策を講じるにしても、世界的に注目を集めるだろう。日銀は成長低迷や低インフレとの長い戦いを行ってきたが、そのほかの中銀もこうした戦いをすることになりそうだからだ。
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日銀から飛び出すか「メガサプライズ」、追加緩和なくても起こり得る
Christopher Anstey
2016年7月27日 06:33 JST
• 日銀のバランスシート維持、2014年に協議されたことがあると関係者
• 現行措置の拡大では恐らく円弱気派を満足させず
日本銀行の金融政策を予想するルーレットを前に、黒田東彦総裁が29日に3つの政策手段の幾つか、あるいは全てについてさらに大きな賭けに出ると大半のプレーヤーは読んでいる。
そのような読み通りの行動に出れば、黒田総裁は市場を驚かすことに初めて失敗するだろう。2013年4月には予想されていたよりはるかに広範な枠組みの緩和策を発表、14年10月には意表を突いて緩和拡大に踏み切った。16年1月には以前に否定していたマイナス金利政策を打ち出し、日銀ウォッチャーの度肝を抜いた。
出るか黒田総裁のメガサプライズ
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
「デフレマインド」払拭(ふっしょく)の闘いで期待値を上乗せしてきた黒田総裁だが、大方の予想通りに既存の政策措置を拡大してもインフレ低下傾向に歯止めをかけることはできないとの見方がある。
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ロイヤル・バンク・オブ・カナダのRBCキャピタル・マーケッツ部門でシニア為替ストラテジストを務めるエルサ・リグノス氏は、「安倍晋三首相や黒田総裁がバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長と会ったとの報道で高まった期待を考えると、予想通りに緩和が拡大されても円弱気派は失望するかもしれない」と話した。かねて日本の緩和策を提唱してきた前議長は今月、日本の当局者らと会談した。
見落とされているかもしれない政策手段の一つはフォワードガイダンスだ。インフレ目標が達成された後も日銀のバランスシートを圧縮しない、あるいは一定の膨大な規模を維持するという約束は、現時点で話題に上がっていない。
東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは日銀が今週、バランスシートについてのこうしたガイダンスを打ち出せば、自身にとっても他の日本市場参加者にとっても「メガサプライズ」になるだろうと語った。
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加藤氏は日銀が今週、何らかの新しい政策措置を打ち出すとみている。国債購入と商業銀行の準備預金の一部に対するマイナス金利、上場投資信託(ETF)などリスク資産の購入という3つの政策手段に対し、その持続可能性への懸念が高まっているため、日銀貸し付け適格担保の対象を大きく拡大するなど、想定外の行動があると見込んでいる。
加藤氏はただ、財務省出身の黒田総裁が政府に財政再建の手を緩めるのを容認するとは考えにくいことが、バランスシートに関するコミットメントのネックだとみている。
とはいえ、日銀当局者は少なくとも2014年にバランスシートのサイズ維持を議論したことはある。当時の事情に詳しい関係者が述べた。
そのようなコミットメントは、2%の物価上昇率目標の引き下げや2年という時間枠撤廃など市場がネガティブに受け止めそうなサプライズを打ち消す鍵になるかもしれない。
原題:A BOJ ‘Mega Surprise’ Could Come Even Without Boosting Stimulus(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-26/OAX8A16TTDS001
日銀の円安誘導、財政出動が足かせとなる恐れ
By JON SINDREU
2016 年 7 月 27 日 10:25 JST
日本は低迷する景気をてこ入れするため再び財政政策に重点を置きつつあるが、その過程で日本銀行の円安誘導に支障が出る恐れがある。
円は26日、ドルに対して1%余り上昇し、他の主要通貨に対しても総じて大幅高となった。円相場はこの1カ月に乱高下している。停滞する日本経済の活性化に向けて当局がどれほどの刺激策を実施するかについて、投資家の見方が揺れ動き続けているためだ。
日銀の場合、市場の期待に添うことができるかが以前から課題となっている。これまで日銀が緩和策を講じても円相場は毎回のように急騰した。緩和策の規模が投資家の期待に届かなかったことがうかがえる。
UBSのアナリスト、マクシミリアン・リン氏は、日銀が29日に政策を小出しにすれば同じような影響が出るとみられ、市場は再び日銀の決意を疑問視するだろうと述べた。
これは日本の政策当局にとって問題だ。当局は長年、通貨安を利用して(輸出品を割安にすることで)国内経済や株価を下支えしてきた。日本の上場多国籍企業は売り上げの大半を外貨で稼ぐため、円安は収益押し上げ要因となる。
だが、当局が金利の押し下げではなく財政支出を重視するようになれば、日銀は円相場の安値誘導にさらに苦慮するかもしれない。
事実、26日の円高は、日本政府が今後数年間の財政支出を6兆円程度に積み増し、主にインフラ整備に重点を置く方針であると日本経済新聞が報じたことが原因かもしれない。
キャクストンFXのアナリスト、アレクサンドラ・ラッセルオリバー氏は「財政出動により、29日に日銀の金融緩和策を期待する声が弱まるかもしれない」と述べた。
ある国の中央銀行が景気活性化のため利下げすると予想される場合、投資家はより高い利回りを求めて他の国に資金を移すことが多い。その過程で当該国の通貨は売られ減価する。
しかし、財政支出では同じ効果は得られないだろう。それどころか、財政支出に効果があると投資家が考えるようになれば、円相場を押し上げる可能性がある。財政支出の結果として生じるインフレを抑えるために、あるいは単に金融緩和はもう必要ないとの考えから、日銀が将来的に利上げすると市場が織り込むためだ。
アナリストの多くは、日本がいずれ「ヘリコプターマネー」政策に踏み切ると予想している。これは日銀が国内経済に直接資金を供給したり、財政資金を賄ったりする政策だ。ただ、日銀の黒田東彦総裁は今のところその可能性を否定している。
バンクオブアメリカ・メリルリンチは26日付の顧客向けリポートで、政府と日銀による「暗黙の」連携が予想されると指摘した。日銀は既に流通市場で国債を買い入れているため、財政支出を拡大すれば「ヘリコプターマネー」を導入したのと変わらない。その名称が使われることはなくても同じことだ。
財政政策を重視した結果、最終的に円相場が押し上げられ、国内の輸出企業や上場多国籍企業がそれまでの円安で受けた恩恵の一部は帳消しとなるかもしれない。
当然ながら、財政政策が十分に大きな規模で景気をようやく上向かせることができれば、これは長い目で見れば投資家にとって朗報となる。だが、しばらくの間は円相場と日本株のどちらも不安定な展開になりそうだ。
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追加緩和してもしなくても終着点は円高、黒田サプライズは困難
三浦和美、Kevin Buckland
2016年7月27日 08:39 JST
• 追加緩和予想は全体8割、2013年4月以降で最高潮
• 期待形成を維持する手段取らない限り、100円割れリスクも−シティ
金融政策でサプライズを演出して、市場を円安・株高に揺らしてきた日本銀行の黒田東彦総裁。エコノミストらの追加緩和期待が最高潮に達している今週の日銀金融政策決定会合では、これまでのような手腕を期待するのは難しそうだ。
ブルームバーグ調査によると、今回の日銀会合で追加緩和に踏み切るとの予想は全体の78%を占めている。市場関係者を驚かせた日銀の量的・質的金融緩和が導入された2013年4月以降で最も高い期待値だ。ドル・円の1週間物インプライド・ボラティリティ(IV)は22日時点で1995年以来の水準に上昇。同期間のヒストリカル・ボラティリティ(HV)との差はリーマンショックがあった2008年以来の水準に拡大している。
黒田総裁
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg
7月の参議院選挙で圧倒的勝利を収めた安倍晋三政権が、色あせたアベノミクスの再起動として、一段の景気対策を日銀と打ち出すと見込む市場関係者は多い。財政出動の規模が当初の見込みから拡大するとの観測や、日銀の緩和を催促するムードが支配的だ。
シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは、「期待値がすでに上がってしまっている中で、期待形成を維持させるような手段を取らない限り、追加緩和をしてもしなくても最終的にドル・円は下がる」と分析する。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/itY.VFHan50w/v2/-1x-1.png
シティグループ証は、今回会合での追加緩和の可能性を55%と予想。緩和の手段としては付利を現在のマイナス0.1%からマイナス0.3%に引き下げ、指数連動型上場投資信託(ETF)購入の増額を見込んでいる。
高島氏は、今回の会合で仮に緩和を見送った場合は、黒田総裁の会見内容が鍵になるとみる。9月会合での緩和を示唆すれば108円までのドル高・円安進行もあり得ると指摘する一方で、「従来の楽観シナリオを継続してタカ派の見解を示した場合は、100円を割り込むリスクが出てくる」と話す。
日銀が緩和に踏み切った場合は、「いったん108円程度までドル高・円安が進むかもしれないが、結局、材料出尽くし感から9月の次回会合までに102、103円まで下がる可能性がある」と予想。今回の会合で政策を据え置いて9月の緩和を明言する方がマーケットとしては期待形成が保てると読む。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-26/OAWJHZ6JTSEF01
経済成長なくして政府債務の削減は不可能
20カ国・地域(G20)は23・24日に中国で開いた財務相・中央銀行総裁会議で、低迷する景気のてこ入れのために財政政策を活用する決意を打ち出した
By ADAM CREIGHTON
2016 年 7 月 26 日 11:48 JST
大事なのは経済なんだよ、バカモノ。これは1992年の米大統領選で挑戦者だったクリントン陣営が再選を目指すブッシュ政権の経済失策をあげつらうために繰り返し唱えた合い言葉だが、以来このフレーズは選挙のたびに登場する。だが、恐らく経済の重要度は人々が考えていたよりもはるかに大きいだろう。
公的債務負担を徐々に軽減させる上での経済成長の重要性をエコノミストらは過小評価してきた。ピーターソン国際経済研究所の新たな研究論文はそう示唆している。
国債の利払いや財政赤字が政府債務の対国内総生産(GDP)比率を押し上げる一方で、経済成長は同比率を引き下げる。同研究所のシニアフェロー、パオロ・マウロ氏は「だが、経済成長率が高いと、税収が増えるという単純な理由から財政黒字も多くなる」と述べた。
米国、日本、ドイツなど主要先進9カ国で見ると、政府債務の対GDP平均比率は2007年末までの8年間で5.6ポイント上昇したのに対し、それ以降の8年間では31.6ポイントも上昇した。同論文の執筆者らはこうした変化を調査するにあたり、経済成長が財政収支に及ぼす影響を考慮した。すると、経済成長は同比率の引き下げに25ポイント、11ポイントそれぞれ貢献したことが分かったという。これは従来の経済成長の計算からうかがえる影響の2倍以上に相当する。
20カ国・地域(G20)は23・24日に中国で開いた財務相・中央銀行総裁会議で、低迷する景気のてこ入れのために財政政策を活用する決意を打ち出した。マウロ氏は、G20はすでに「危ない橋を渡っている」と指摘。経済成長の低迷は、突然の金利上昇や債務を財源とした刺激策の失敗を引き金に先進国が金利と債務のスパイラルに陥りかねないことを意味する。国際通貨基金(IMF)のデータによると、先進諸国の2016年の債務の対GDP比率は平均で115%だ。
マウロ氏はインタビューで、「現在は08年や09年と大きく異なる。ほぼ完全雇用の状態なので、同じ規模の財政出動から得られる効果は当時よりも少ない」とした上で、「金利は現時点で低いが、完全には分かっていない理由で急騰する可能性もある」と語った。
各国政府は低金利が続くよう祈るのではなく、段階的に支出削減や増税を行うべきだと同氏は求めている。
例えば、2012年に約120%で並んでいたアイルランドとイタリアの債務比率が直近で大きく乖離(かいり)しているのは経済成長率の違いで説明がつく。3年後の時点で、アイルランドが95%に低下したのに対し、イタリアは132%へ上昇した。この間の経済成長率が平均年率でそれぞれプラス4.8%とマイナス0.3%だったことが主因だ。米国の政府債務の対GDP比率は07年から18ポイント上昇したが、同年以降の経済成長率が横ばいだったとすれば、これだけの上昇で済んだだろうか。65ポイント上昇した日本とほぼ同じ道をたどったのではなかろうか。
大半のエコノミストは、高齢化、生産性の低下、金融危機の後遺症が数年に及ぶ低成長につながっているとの意見で一致しており、政府の借り入れ金利の長期的低下がせめてもの救いだと指摘する向きは多い。
かつて米議会予算局(CBO)局長を務めたハーバード大学のダグラス・エルメンドーフ経済学教授は「低金利が長期間続けば、国が維持できる債務の望ましい水準は通常よりも高くなる可能性がある」と指摘。ブルッキングス研究所のシニアフェロー、ルイス・シェイナー氏はインタビューで、各国政府は低金利が続くことを従来よりも強く確信しているかもしれないとの考えを示し、「以前なら債務の対GDP比率が高ければ金利は上昇すると考えていただろうが、これまでのところそうなってはいない。市場は長期的な財政見通しを知っており、今後も低金利が続くと予想している」と語った。
エルメンドーフ氏は、適切なインフレ支出によって財政赤字が膨らんだ場合、それ自体が経済成長を促す可能性があるとも指摘した。この可能性については、ピーターソン国際経済研究所の分析では言葉を濁している。同氏はインタビューで「財政政策が現在の世界経済成長に与える影響を無視するのは、主役のハムレットが登場しないハムレットを上演するようなものだ」と話した。
意外にも、マウロ氏の分析では、政府の財政出動の規模は金融危機後の8年間よりもその前の8年間の方が大きいことが分かった。「われわれがこのことに気づかなかったのは、経済成長が非常に堅調だったからだ。支出を増やすべきか、あるいは実質支出を一定に抑えて債務を返済すべきか、政府は経済成長に基づいて判断する」と同氏は説明した。最も財政出動に積極的だったのはオーストラリア、カナダ、米国だった。
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強硬派の米を日欧がけん制、大手行の自己資本規制強化めぐる議論
谷口崇子、Finbarr Flynn、Silla Brush
2016年7月27日 05:05 JST 更新日時 2016年7月27日 10:19 JST
銀行が恣意的に操作できないことが肝要と主張−FRB理事
白川審議官、レバレッジ比率「3%の基準大きく上げるべきでない」
国際決済銀行(BIS)バーゼル銀行監督委員会で2016年末までの合意を目指す大手銀行への資本規制見直し議論で、日米欧当局が攻防戦を繰り広げている。リーマン危機の経験からより厳しい規制導入を主張する米に対し、日欧は行き過ぎた規制となることをけん制している。
バーゼル委上部組織の中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ(GHOS)は1月の会合で、金融危機後の規制の枠組み作りは今年で終わらせると宣言。自己資本比率算定の際に分母となるリスクアセットの計算方法見直しと、新たに導入する大手行への「レバレッジ比率」の上乗せ議論について年内に結論を出す方針だ。
金融庁の白川俊介審議官は6月下旬のインタビューで、リスクアセットの計算見直しに関連し「大きく自己資本の要求が増加するのは望ましくない。項目ごとの調整を優先すべきだ」と主張。白川氏によれば、バーゼル委の提案内容を足し上げると単純計算で銀行が自己資本を最大70%増やす必要に迫られるという。
バーゼル委では、リスクアセットの算出手法の見直しに関連して、例えば現在リスクウエート100%の株式は250%に、最高50%の融資枠は同75%に引き上げることなどを提案している。
反発する銀行界
リーマン危機の震源地となった米は、市場取引を規制するボルカールール導入などバーゼル委に先駆け一部規制を厳格化してきた。米連邦準備制度理事会(FRB)のダニエル・タルーロ理事はリスクアセット算出に関し、銀行が内部の計算手法で恣意(しい)的に資本水準を操作できないようにすることが肝要だと述べた。
GHOSでは「全体的な資本水準を大きく引き上げないこと」でも合意している。バーゼル委メンバーでもある白川氏も「規制強化は必要だが、最低限にとどめるべきだ。同じことを言うメンバーもいれば、金融危機の経験から銀行を過信しては駄目だとするメンバーもいる。方向性は拮抗(きっこう)している」と明かした。
こうした中、銀行界は規制強化に強く反発する。英HSBCホールディングスのイアン・マッケイ財務責任者は5月、バーゼル委が自らの提案にこだわるならば、銀行界は「もう、やりようがない」と懸念を表明した。
日本の金融界では全国銀行協会が、「全体的な資本水準を大きく引き上げない」としたGHOS合意を尊重すべきだと主張。ヨーロッパでは、欧州連合財務相理事会も規制が合意の通りとなることを期待するとしている。
レバレッジ比率上乗せの必要性
レバレッジ比率規制は、資産の個別リスクを考慮せず総資産などに対し一定の資本を求めるもの。自己資本比率規制と並行して使われる「最後の歯止め」の役割を期待されている。
レバレッジ比率についてGHOSでは1月の会合で、国際基準行で総資産の3%とする基本要件で合意しており、現在システム上重要な銀行(G−SIBs)への上乗せの有無を検討している。白川氏は「3%という基準は適切で、大きく引き上げるべきではない。単純な枠組みだけに拘束力が強過ぎてはいけない」と述べた。
白川氏は個別のリスクを考慮して算出する自己資本比率よりレバレッジ比率規制の水準が厳しくなれば、リスクに対する備えがおざなりになる銀行が出てくるのではないかと懸念している。
バーゼル委によるとG−SIBs(2015年時点)には、三菱UFJ、みずほ、三井住友の邦銀3メガグループをはじめ、英HSBC、米JPモルガン・チェース、シティ、ドイツ銀などの商業銀行、米ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーの投資銀行を含む30グループが含まれる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-26/OAWILB6TTDS701
今週のFOMC、5つの注目点
By BEN LEUBSDORF
2015 年 6 月 17 日 09:36 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)は短期金利の引き上げに近づいているようだが、今週16・17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で9年ぶりとなる利上げが決定されると予想する民間エコノミストは少ない。ただ、政策声明や最新の経済見通し、イエレン議長の記者会見など注目材料の多いFOMCとなることは確かだ。
FOMCで注目すべき5つのポイントは以下の通り。
1. 利上げ時期
FRBが最後に利上げを行ったのは2006年6月だ。08年12月以降はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標をゼロ付近に据え置いている。3月のFOMCで、FRBは6月の利上げに含みを持たせた。今週はこの選択肢がまだ生きているとはいえ、ここ数カ月の経済指標がまちまちだったことから、 FRBがすぐに利上げに動く可能性は低い。セントルイス地区連銀のブラード総裁は今月、「基本的には好材料を後ろ盾に行動したい。経済がやや軟調に見えるちょうどその時に金利の正常化を試みていると言うのは非常に難しいと思う」と述べた。イエレン議長は記者会見で、向こう数カ月の動きについてもう少し手掛かりを示すかもしれない。
2. ドット・チャート
イエレン議長をはじめとするFRB幹部らはここ数カ月、利上げ開始後も引き上げペースは緩やかになるとして慎重姿勢を強調している。だが緩やかとはどの程度のことだろうか。この答えを探る手段として、政策担当者の向こう数年間のFF金利予想を点の分布図で示した「ドット・チャート」が有用となる。FRB当局者らは3月にこの予想を引き下げ、引き締めへの積極姿勢を弱めた。今年末の金利予想の中央値は3月時点で0.625%で、年内に金利が現在の0?0.25%から0.25?0.50%、その後に0.5?0.75%へと2回引き上げられるとの想定が示唆された。ドット・チャートに描かれる今年の金利予想が大幅に下方修正されれば、年内の利上げを1回にとどめることへの支持が強まっていることを意味するかもしれない。
3. 経済成長の回復
米商務省が発表した1-3月期の国内総生産(GDP)は縮小したが、今月末の改定値で修正される可能性もある。雇用の伸びは加速しており、個人消費の目安となる小売売上高も増加している。FRBは4月のFOMC声明で、冬季の景気減速は「一時的要因」によるものだとの見方を示した。それ以降に入手した指標に基づき、FRBは成長加速と雇用の強さを認める形でこの言い回しを変更する可能性がある。
4. 経済見通し
今回のFOMCでは、FRB幹部らによる2017年までと長期のGDP成長率、インフレ率、失業率予想も公表される。1-3月期の景気不振を反映し、今年のGDP成長率予想は引き下げられる可能性がある。だが、FRBの責務は最大限の雇用と物価安定の実現のため、重要なのはインフレ率と失業率の見通しだ。物価上昇率はFRB目標の2%を3年連続で下回っており、FRBは利上げ開始の条件の1つとしてインフレ率が近いうちに2%を回復すると「合理的に確信」できることを挙げている。また、FRBは3月に長期失業率予想を5?5.2%に引き下げ、完全雇用水準の目標も変更した。民間エコノミストの予想が目安となるならば、今回のFOMCではFRBの失業率・インフレ率予想にほとんど変更がないかもしれない。
5. FRB内での意見対立
1月、3月、4月のFOMCでは、いずれも全会一致で政策判断が下された。3会合連続での全会一致は2011年以来で最長だ。だが今回のFOMCでは、利上げ見送りが決まればリッチモンド地区連銀のラッカー総裁が反対する可能性がある一方、シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は利上げ開始に反対する可能性がある。金利をめぐる議論が活発化するにつれて、FRB内の意見の相違はより明白になるはずだ。
[訂正]2. ドット・チャートの「FRB当局者らは3月にこの予想を引き上げ」を「FRB当局者らは3月にこの予想を引き下げ」に訂正します。
原文(英語):5Things to Watch at This Week’s Fed Meeting
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FRB、利上げめぐるメッセージ発信に腐心
米利上げで世界市場に混乱も
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjTzcexxZLOAhWCLpQKHZ3NBsIQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11527888067023433930504581052563082093394&usg=AFQjCNEcZMl4RUeXQZiSt5Nb_dudlEA4Rg
金ETFへの資金流入が急減、1−6月は過去最大を記録−チャート
Eddie van der Walt
2016年7月27日 09:43 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iiLiiCTgm5WE/v2/-1x-1.png
金に裏付けされた上場投資信託(ETF)への資金流入が途絶えている。資金流入は1−6月(上期)に過去最大に達していた。金価格が過去2週間に2.6%下落する中、ETFを通じた金保有は0.6%減少した。1−6月には金価格は約25%上昇し、ETFを通じた金保有は週間ベースで平均1.1%増加していた。
原題:Gold Flood Dwindles to Trickle After Record Fund Inflows: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-27/OAY1QR6JTSEV01
債券先物が最高値更新、緩和観測やオペで超長期債の需給好転との見方
船曳三郎
2016年7月27日 07:57 JST更新日時 2016年7月27日 10:38 JST
• 先物は一時153円83銭まで上昇、長期金利はマイナス0.285%
• 7月の超長期ゾーンの入札を終えて安心感−JPモルガン証
債券相場は上昇。先物中心限月は最高値を更新した。政府の景気対策に合わせて日本銀行が追加緩和に踏み切るとの観測が強まっている上、国債買い入れオペで超長期債などの需給が改善するとの見方から、買いが優勢となっている。
27日の長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比19銭高の153円71銭で取引を始め、一時は153円83銭と、8日に付けた最高値153円81銭を上回った。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より2ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.28%で取引を始め、マイナス0.285%と13日以来の低水準を付けている。新発20年物157回債利回りは4bp低下の0.125%と15日以来の低水準。新発30年物51回債利回りは5bp低い0.21%、新発40年物9回債利回りは4.5bp低い0.275%まで低下している。
JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「ここ1カ月ぐらいの金利上昇の反動。財政出動に伴う発行増加の懸念が払しょくされている上、7月の超長期ゾーンの入札をひとまず終えた安心感も出てきている」としながらも、「ここから先の水準は日銀のパッケージを見ないと言えない。ようやく需給好転の話が出やすくなっているが、日銀会合を待つしかない」と言う。
日本経済新聞の電子版は27日、日銀内で追加金融緩和論が浮上し、複数の案を正副総裁らが検討作業に入ったと伝えた。主な選択肢はマイナス金利の引き下げと、年80兆円の国債購入額の増額、上場投資信託(ETF)など資産購入の拡大の3つだという。
日銀はこの日午前10時10分の金融調節で、今月10回目となる長期国債の買い入れオペを通知した。対象年限は残存期間「5年超10年以下」と「10年超25年以下」、「25年超」で、いずれも前回と同額だった。
新発2年物366回債利回りは1bp低いマイナス0.345%、新発5年物128回債利回りは1bp低いマイナス0.355%で推移している。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「中長期債や先物がマイナス金利深堀りを意識して堅調推移」と予想していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-26/OAWVN76JIJVI01
空売り投資家グラウカス、伊藤忠を日本初の標的に−会計手法批判
Tom Redmond、蒲原 桂子、鷺池秀樹
2016年7月27日 08:38 JST 更新日時 2016年7月27日 09:12 JST
物言う空売り投資家の米グラウカス・リサーチ・グループが27日、伊藤忠商事についてリポートを取引開始前に発表した。同社の会計手法を批判し、株価急落の見通しを示した。伊藤忠株は4.8%安で同日の取引を開始した。
グラウカスは40ページを超えるリポートで、伊藤忠の投資判断を「強い売り推奨」で開始。株価は最大50%下落するとしている。同社の広報担当、梅本良徳氏はブルームバーグの電話取材に対し、リポート内容を確認後にコメントすると述べた。
伊藤忠商事ビル
伊藤忠商事ビル Photographer: Akio Kon/Bloomberg
同リポートでグラウカスは、伊藤忠に空売りポジションを保有していると説明している。グラウカスが日本で標的とする銘柄は伊藤忠が初めて。調査ディレクターのソーレン・アンダール氏は6月のインタビューで、日本市場への参入に役立つよう日本人アナリストを雇ったと話していた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-26/OAY3QN6JIJV001
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