http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/307.html
Tweet |
経済成長の急減速に直面する中国は、日本や韓国の経験を参考にしなければならない(写真はイメージ)
中国はどのくらい減速するのか? 参考にすべき日本や韓国の経験
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47444
2016.7.26 李 鍾和 JBpress
(ソウルより)
ここ数十年の間、中国の経済発展は群を抜いていた。他の先進国経済に見られる機関とは非常に異なる機関を保持しながら(共産党の仕組みである)、中国は、1980年から2015年にかけて、1人当たりの国民総生産(GDP)成長率として年平均8.7%を達成した。
その秘訣は、経済改革にあたって「石を感じながら川を渡る」という珍しい戦略であった。改革や成長を強化する政策が徐々に試され、施行され、適用された。
しかし、中国の経済発展は多くの意味で唯一無二であったが、その成長の実績は唯一無二のものではなかった。
* * *
日本も韓国も同じように、経済の減速を経験するまでは、強い投資に支えられながら急速な工業化と輸出志向の政策を通じて経済構造を変えてきた。もし中国が今直面している困難(特に、急速に落ち込む経済成長)に向き合おうとするのなら、日本や韓国の経験を参考にしなければならない。
日中韓の3国は、同じような道のりを、違う時期にたどってきた。1人当たりGDPに基づくと、中国は日本より40年遅れており、韓国より20年遅れているといえる。日本の1人当たりGDPの年間成長率は1960年に平均8.6%を記録し、1970年代と80年代には3〜4%まで落ち込んだ。韓国のGDP成長率は70年代と80年代には7〜8%だったものが、2000年代に4%まで落ちた。中国の30年にわたる2桁成長の時代も、同じように2010年に年間成長率が7%を切って終息した。どのケースにおいても、成長の減速は、1人当たり国民所得がおよそ8000ドルに達する時期にやってきた。
この東アジア3国が経験した成長軌跡は、「収束」現象として説明されうる。いったん構造的・政治的要因に取り組んだ貧困国は、裕福な国より早く成長する傾向があるということだ。「追いつく」という経済論理の過程は、まっすぐだ。1人当たり生産高レベルの低い国では、現在の株式資本・技術と、潜在的な株式資本・技術との間により大きな隔たりがある。この隔たりは急速に狭めることができる。現存の技術を模倣して生産性を改善したり、投資に対してより高いリターンをつけて物的資本の蓄積率を高めたりすることによってそれは可能となる。
そして実際に、日本・韓国・中国はすべて、この「追いつく」過程を通じて、高い投資レベルを維持した。日本ではそのピークは1970年で、投資支出はGDPのほぼ40%であった。韓国は同じようなレベルに90年代に達し、中国の投資支出は現在GDPの45%を超えている。
国が潜在的な1人当たり生産高のレベルに近づくにつれ、「収束」の力は消えていき、その消えていく状況に合わせて、受益者たちは成長モデルを変えていかなければならない。
リターンの低下に合わせて投資を減らすことは、成長モデルを変えて社会に適応させていく過程の重要な構成要素の1つ目だ。2つ目の構成要素は、技術的イノベーションを増やしていくということで、これによって生産性の成長が急速に遅くなるのを防ぐことができる。3つ目の構成要素は、生産を付加価値の低い第1次産品や第2次産品から、付加価値の高い国内サービス産業へとシフトしていくということだ。
* * *
中国は今、先陣としての日本や韓国と同じように、この適応の過程にいる。しかし、中国は、機関的・人材的な余力が限られていることをはじめとする深刻な問題に直面しており、それは国内のイノベーションや効率的な資源分配を阻害する制約要因となっている。
中国はまた、労働投入型の成長が先細りになっているという状態に直面しているが、これは、低い出生率や急速な高齢化に起因する。国連の報告によれば、労働年齢人口の増加率平均は、2010年から20年にかけてはマイナス0.1%になる。すなわち減少に転ずるということだ。2000年から2010年にかけての1.5%増加と比べると急激な落ち込みだ。
それに加え、雇用がサービスセクターへとシフトしていくにつれ、日本や韓国でそうであったように、中国でも総合的な生産性は落ち込んでいくだろう。中国では、製造業セクターの労働者あたりのGDP成長率が、1981年から2010年にかけて15.1%だったのと比較して、サービスセクターの成長率は1.3%に過ぎなかった。
もちろん、中国は過去のGDP成長率を回復させようと努力するべきではない。それは時間の無駄だ。元アメリカ財務長官のローレンス・サマーズや、ハーバード大教授のロバート・バローが指摘するように、中国にとって成長の減速は避けられない。日本や韓国がそうであったのと同じように。私のレポートでは、来たる10年において中国のGDP成長率は5〜6%へと落ち込み、長期的に見ると3〜4%まで落ち込むだろうと記述している。
* * *
過去の「追いつく」日々は終わったが、中国はその栄光とともに、成長を安定させ、変動率を下げることによってより高い所得を目指すべきだ。これを達成するには、中国は特に、危機回避とマネジメントに焦点をあてなければならない。そこに、日本と韓国がうまくいかなかった理由がある。
1980年代、日本は不動産バブルが起こることを許した。不動産バブルは一時の成長を促したかもしれないが、バブルが崩壊したとき、金融システムの持つ過剰債務は、日本経済を発作的なデフレと停滞の経済へと突き落とすのを促進してしまった。そこから日本はいまだに完全には回復していない。
同じように、韓国も1997年に通貨危機を経験した。パニックになった外国投資家は逃走し、経済システムの不十分な指揮の下で空気が薄くなっていくにつれ、過度に借入資本に頼った企業部門はしたたかに打たれた。
目下、中国も同じような道のりをたどっているように見える。国際決済銀行によると、中国の企業債務は近年、急速に増加している。2008年にはGDPの99%だったものが、2015年には166%になっている。そして債務の半分以上は、実績を上げていない国営企業に起因するという。これは、企業部門や金融システムにとって良い兆しではない。
しかし、中国が方向転換するにはまだ遅くない。危機を回避するために、中国の指導者たちは、企業部門や金融セクターの弱点に対処し、マクロ経済的な視点で金融政策の枠組みを改善するべきだ。生産性と所得の向上を維持するためには、彼らは国営企業を私営化し、金融セクターを自由化するとともに、構造改革を遂行し続けなければならない。この構造改革によって、労働市場の柔軟性や人的資本の育成が支えられなければならない。
隣国の日韓のように、中国は成長の減速にも、またその社会的帰結にも、正面から対処しなければならないだろう。
しかしこの国の将来はまだ決定されたわけではない。正しいアプローチがあれば、中所得・高所得階層へのスムーズな転換が達成できるだろう。この転換には、ただ中国の13億人の中国人の生活状態を改善するだけではなく、世界経済のリスクや不確定さを減じるという意味もある。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民111掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。