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ヘリマネ論議にソロス氏の影ちらり 導入議論、今後盛り上がりそう
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160720-00000001-fsi-bus_all
SankeiBiz 7月21日(木)8時15分配信
日本を舞台に、カネをヘリコプターから大量にばらまけば、景気が良くなるという「ヘリコプターマネー」論議が活発になっているが、そこには著名投資家のジョージ・ソロス氏の影がちらついている。
ソロス氏は英国のアデア・ターナー前金融サービス庁(FSA)長官を通じて、ヘリマネ・キャンペーンを展開している。ターナー氏はイングランド銀行総裁候補になった英金融界の実力者である。2013年4月にソロス・ファンド出資のシンクタンク「新経済思考研究所」ロンドン事務所上級研究員に迎え入れられると、すぐにOPMF(Overt Permanent Money Finance=中央銀行による公然恒久財政ファイナンス)と呼ばれる独自のヘリマネ理論を提唱した。
中央銀行が保有する国債を無利子の恒久国債に換えることで、国債を事実上償却し、政府は債務に制約されずに財政出動できるようにする財政・金融一体化案だ。ソロス氏とターナー氏は安倍晋三首相に近い日本の要人、経済学者ともコンタクトして、盛んにヘリマネ政策導入の必要性を説き付けている。
そんな雰囲気の中、ベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が7月12日に安倍晋三首相に招かれた。バーナンキ氏はヘリマネ政策を最初に提起した故ミルトン・フリードマン教授の信奉者であり、あだ名は「ヘリコプター・ベン」。バーナンキ氏は安倍首相との会談で、「ヘリマネ」という言葉を直接引用しなかったものの、財政出動の必要性を認めると同時に、「金融政策の手段はいろいろと存在する」と語ったという。
安倍首相の信頼の厚い本田悦朗前内閣官房参与(現駐スイス大使)は早くからヘリマネに関心を持ち、数カ月前にバーナンキ氏に会って安倍首相に会うよう勧めていた。バーナンキ議長の来日前には首相に対して、財政と金融政策の組み合わせによる財政出動に踏み切るよう、提言していた。本田氏はあからさまなヘリマネ策を取らなくても、異次元緩和を強化すると同時に財政をふかせばヘリマネと同様の効果が出せるという。いわばCMF(Covert Money Finance=中央銀行による非公然財政ファイナンス)で、現行の枠組みを活用するわけだ。
こうみると、ターナー、バーナンキ両氏の理論は本田氏ら首相の経済指南役にかなり強力な影響力を及ぼしていることがうかがえる。公然あるいは非公然、恒久あるいは限定的かはともかく、財政と金融緩和の両輪を回すことを基本にした日本版ヘリマネ策導入の議論は今後、秋の大型補正予算、さらに来年度予算編成のプロセスの中で盛り上がるだろう。その間、投機家ソロス氏が円相場や日本株でどんな出方をするかも気になるところだが、要は政府・日銀が粛々と脱デフレ、経済再生に向け、最も有効な政策で足並みをそろえることが肝心だ。(産経新聞特別記者・田村秀男)
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