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都知事選の陰で「高齢者を救急センターに入れるな!」
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2016/07/31/post-1018.html
サンデー毎日 2016年7月31日号
牧太郎の青い空白い雲 580
いまや世界は「分裂と抗争」の時代に突入した。
イギリスはEU離脱で国論が真っ二つ。残留派の女性議員が殺害される「血の抗争」に発展した。アメリカの大統領選では、イスラム教徒の入国禁止を主張するトランプ氏が共和党候補になって「メキシコ国境に壁を!」と叫ぶ。
世界は第二次大戦以降、守っていた「協調」「融和」「統合」という哲学を放棄して「分裂と抗争」の時代に突入した。反移民、イスラムテロ、ギリシャの金融危機、アメリカの白人vs.黒人......すべてが「分裂と抗争」の引き金? そして「貧困」が原因だ。
日本だって、この「潮流」と無関係ではない。というより、日本の場合はもっと深刻である。なぜなら......反移民とか、イスラムテロとかという外交上のテーマではなく、国内で「高齢者vs.若者」の世代戦争が起こっているからだ。
× × ×
前回、「シルバー民主主義に『年寄りは先に逝け!』の声」を書いた。「年寄りは先に逝ってくれ!」との若者の本音を紹介し、医療関係者の中には「緊急医療には年齢制限をかけるべきだ!」という過激な意見があると書いた。「救命救急センターに入れるのは75歳未満の患者のみで、年齢がそれ以上の人はお断り」という具体的な意見を紹介した。
高齢の読者から「お叱り」を受けた。「オレたちを殺すのか?」と言うのだ。
冗談じゃない! 90歳になったら死ぬべき!とは誰も言ってない。
でも、こんなケースも存在する。
自宅で寝たきりの人が心肺停止になり、救命救急センターに運ばれる。ごく普通のケースだ。必死の応急処置で一命を取りとめる。医術は進歩しているから、助かるのがごく普通のケースである。しかし、「寝たきり」状態は変わりない。何百万円の医療費をかけて、自宅から病院に「患者の身柄」が移った、ということだけである。
うまく呼吸ができないと人工呼吸器が付く。全身チューブ。この悲惨な姿が続くだけではあるまいか? 心肺停止の人を助けることで、高齢者のベッド占有率は高くなる。その結果、「働く生産年齢」の急患を断ることも頻繁らしい。それで良いのか?と、医療関係者の一部は悩んでいるのだ。
お年寄りの「お叱り」は理解できる。また、こんなことを書くので叱られそうだが......人生の終末期の不可避な「死」に対してまで「延命」が必要なのか?という疑問は残っている(念のため、当方は現在71歳と9カ月。高齢者だが、若者の意見も理解できる立場であろう!と思っている)。
× × ×
カネがあればすべてが解決できる。だが、日本は貧乏国である。
国の借金は1000兆円を超え、単純計算で国民1人当たり約790万円の借金を抱えている。金融破綻したギリシャより、もっと深刻だ!という見方まである。2009年秋、ギリシャで財政赤字の隠匿が発覚した時のことを思い出してみよう。無料だった公立病院の診療費が一部自己負担になり、年金は最大50%カット、若者の失業率は60%。公共サービスの停止は日常茶飯事。私立病院から国公立病院に患者が移り、大混雑。手術なんてできない。医師の給料が下がり、人材は国外に流出したという。
日本でもこんなことが起こるかもしれない。いや、必ず起こる。
× × ×
前回、全国の医療機関に支払われた1年間の医療費の総額は13年度に40兆円を超えたと書いた。もっと深刻な数字がある。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる25年、医療費と介護費の合計は約75兆円になるという。これで国民皆保険制度は守れるのか?
長生きは悪!とは言わないが、野球は九回で終わると思っていたら、急に「十八回までやる!」と言われれば当然、ルールが変わらなくては困る。日本の人口に占める65歳の以上の高齢者率は30年には約32%に達する。ルールを変えなければ、高齢者vs.若者の戦争は不可避だろう。
都知事選の陰で「サッサと死んでくれ!」という若者の「呟(つぶや)き」は、大きな声に膨れ上がっている。
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