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[羅針盤]メガバンク、株売却の重荷
株価が低迷するなか、メガバンクは保有株式を減らそうとしている。株価変動に伴うリスクを抑え、財務の健全性を高めるためだ。株価の下落を加速する恐れがある。
3メガバンクは2015年度下期に保有株売却加速を決定。3月末時点の株式保有額は約12兆円に上る。売却額は15年度の6500億円から、今後2〜3年は1兆円前後に増える可能性がある。
欧米では価格変動リスクが高い株式は銀行保有に適さないとの見方が多い。大手邦銀の株式リスク量は現行基準では時価の約1.5倍だが、銀行監督当局で構成するバーゼル委員会は2.5倍に上げる検討をしている。銀行が保有し続ければ、健全性を示す自己資本比率が下がることになる。
金融庁は15年、メガバンクに株式リスク削減が課題と指摘。さらに同庁などがまとめた企業統治指針は、株式保有について目的や経済合理性の明示を求めた。銀行に企業統治の観点からも保有株売却圧力が強まった。
問題はメガバンクが保有株売却に取り組もうとしている今、欧州銀行不安などで株式相場の不透明感が強まっていることだ。持ち合い株売却では相手方企業も銀行株を売るため、市場への影響は銀行による売却額以上に大きい。
また一部銀行は株式売却益を当期や中期経営計画の利益予想に織り込んでいる。株価が下がれば売却益が減り、利益予想の達成が難しくなる。
一方、銀行が株式売却を遅らすと、自己資本比率を上げにくくなる。今上期に邦銀大手の株価下落率は3割程度と、欧州の銀行と同水準。収益力の低さが背景で、財務改善の後退は避けたいところだ。
バーゼル委は10年以上前から銀行の株保有に厳しい姿勢を示しており、本来は株価の安定局面で持ち合い解消が期待された。しかし持ち合いは日本の企業文化だとする邦銀と、国際資本規制強化に批判的な金融庁の、解消促進への対応は緩慢だった。追い込まれてからの取り組みが、市場への負担を重くしている。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞7月11日朝刊P.12]
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