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パソコンを買うときに改めて知っておきたい5つの鉄則とは?
買い替えるなら今!失敗しないパソコン選び5つの鉄則
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO04201000Z20C16A6000000#
2016/7/8 NIKKEI STYLE
パソコンを購入してから5〜6年たった人は、そろそろ動作速度に不満を感じ始めているだろう。今夏はパソコン購入の好機。春から継続販売されているパソコンの価格も下がり、長く使えるパソコンを探すには絶好のタイミングなのだ。今、パソコン選びに失敗しないための5つの鉄則を紹介する。
■今年の夏はパソコン不作だった
パソコンの夏モデルは例年4月下旬から5月にかけて発表されるが、2016年の国内大手メーカー各社の発表は非常に地味だった。全くの新モデルは少なく、春モデルから付属ソフトを一部変更しただけのものや、春モデルの継続販売が多い。
これには、2016年末に登場する「Kabylake」(ケイビーレイク、開発コードネーム)と呼ばれるインテルの次期CPUが関係している。パソコンは新しいCPUが登場すると、それに合わせて内部の基盤などの設計が大きく変わる。各社とも新CPUの動向を見極めるため、新モデルの投入を控えているところがあるのだ。
では今はパソコンを買うべきではないのかというと、むしろ逆。この夏はパソコン購入の好機なのだ。
■安定性の高いお買い得パソコンがならぶ
まず、継続販売されている春モデルは価格がかなり下がってきて、非常にお買い得になっている。ただし、待ちすぎると売り切れで販売終了になる。買いのタイミングは今だ。
そしてKabylake搭載パソコンが発売されても、現行CPU(開発コードネーム「Skylake」)から性能が大幅に向上するとは考えにくい。そして登場したばかりの新CPUよりも、メーカー側が扱い慣れた現行CPUの方が、動作の安定性や互換性の面で信頼性が高い。つまり今年の夏から秋にかけては、価格がこなれていて、必要十分な性能を持ち、安定性の高いパソコンがお買い得なタイミングだ。
そこで、これから3回にわたって、今買うべきパソコンについて解説する。取り上げるのは、自宅でメーンパソコンとして使える、スタンダードノートパソコンとデスクトップパソコンだ。Kabylakeはモバイルノート向けから登場する見込みで、こうしたメーンパソコンとして使える機種に搭載されるのはその後になる。
自宅でのパソコンの用途は、「スマホやタブレットより大きい画面でインターネットを利用したい」「会社の仕事を家で済ませたい」「子供の写真や動画を整理したい」といったところだろう。こうした用途向きのパソコンは、今が買い時なのだ。
では、どんなパソコンを選ぶべきなのか。2016年夏のパソコンの選び方について解説しよう。
■鉄則1 メモリー、ディスプレー、CPUの順に選べ
現在のパソコンのOSは、マックなど一部の機種をのぞくと、ほとんどがWindows 10を採用している。Windows 10はアップデートで進化し続けるOSだ。一度Windows 10搭載パソコンを購入したら、数カ月ごとに大型アップデートを重ねて長く使うことになる。だから予算の範囲内で、なるべく処理性能が高く、長く使えるパソコンを選ぶべきだ。5〜6年と言わず、それ以上長く使えるものを狙いたい。ExcelやPowerPointなどの動作がスムーズかどうか、動画再生やWebサイトの閲覧がスムーズにできるかどうかなども、パソコンの処理性能の高さで決まる。
Windows 95の時代から、パソコンのスペックは計算処理を行う「CPU」、CPUが処理を行う作業場になる「メインメモリー」(RAM)、データを保存する「ストレージ」の3つが重要と言われていた。この3つが重要なのは現在も同じだが、重要度は時代によって変化している。CPUから選ぶ時代もあったし、ストレージ容量が重視された時代もあった。そして今、最初にチェックすべきはメインメモリーの容量になる。
■鉄則2 メモリーは8GB以上を選べ
なぜメモリーの容量が重要なのか。それはメモリーの増設ができない(できてもやりづらい)パソコンが増えているためだ。一方、一般的な用途ではCPUの差はあまり出ないし、ストレージも十分な容量を持つものが多い。
メモリー容量だが、選ぶべきは、「8GB」以上搭載している機種だ。2GB以下ではWindows 10の動作が重くて使いづらい。4GBあればWindows 10はスムーズに使えるが、その上でソフトを複数起動すると動作が重くなりやすい。複数のソフトを起動してスムーズに余裕を持って使うには、8GB以上が必須になる。
購入したパソコンを長く使うためにも、メモリー8GB以上は必須。写真は、8GBのメモリー、フルHD液晶、Core i7を搭載するNEC「LAVIE Note Standard NS700/EA」シリーズ(実勢価格 19万2160円)
■鉄則3 ディスプレーはフルHD以上
続いて重要なのはディスプレーだ。パソコン本体とディスプレーが分かれているデスクトップパソコンが主流だった頃は、ディスプレーは交換可能なパーツであり、CPUやメモリー並みに重視する必要はなかった。しかし現在は、ディスプレーを交換できないノートパソコンや液晶一体型デスクトップが主流。だから最初からいいディスプレーを搭載した機種を選ぶべきなのだ。
ディスプレーはサイズ、解像度、画質で比較することになるが、自宅で据え置きで利用するタイプのスタンダードノートは15.6型がほとんどで、選択の余地はほぼない。液晶一体型デスクトップは21型クラスと24型クラスがある。
ディスプレーをチェックする時、サイズより重要なのが解像度だ。スタンダードノートは、低価格のものは1366×768ドット(WXGA)がほとんどだが、これが最低限レベルと考えたほうがいい。価格が上がってくると1920×1080ドット(フルHD)以上のものが増える。今買うなら見やすさと美しさを重視してフルHD以上を選びたい。液晶一体型デスクトップはフルHDが中心だ。
富士通の23型液晶一体型パソコン「FMV ESPRIMO FH77/XD」。フルHD液晶、Corei7、8GBメモリーを搭載するハイスペックモデル。テレビチューナー搭載で、テレビの視聴や録画・再生ができる(実勢価格21万380円)
販売実績を基に推計した個人市場規模データ/GfK Japan調べ
パソコンの解像度の割合の変化。一番多いのはWXGAだが、フルHDの割合が増えつつある
■鉄則4 CPUはCore i5以上、用途によっては妥協も可
CPUはほぼすべてインテル製だ。Core i(コアアイ)と呼ばれるものが上位シリーズで、その中でもCore i7、i5、i3の順にクラス分けされている。
ここは最上位のCore i7か、その次のCore i5を搭載したパソコンを買うべきだ。Corei7/i5には、CPUの動作速度を一時的に引き上げるターボブーストと呼ばれる機能があるが、Core i3にはなく、動作の快適さで劣る。Core i7搭載パソコンとCore i3搭載パソコンで、フォトレタッチや動画の編集作業をやり比べてみると、動作の快適さの違いが体感できる。
また10万円を切るような激安価格のパソコンはPentiumやCeleronを搭載しているが、これらはCore i3のさらに下位のCPU。こうしたCPUを搭載するパソコンは、Core i7/i5を搭載するパソコンより処理性能が低く、動作の快適さで大きく劣る。そのことを割り切った上で購入できる人向きだ。パソコンにあまり詳しくない人には薦められない。
東芝「dynabook T75/V」は、Core i7や8GBメモリーを搭載するハイスペックモデル(実勢価格14万7740円)
■鉄則5 外付けできるストレージにはこだわらない
ストレージ(記憶装置)に関しては、高速なSSDを搭載するモデルが多いモバイルノートと異なり、スタンダードノートやデスクトップパソコンの大半が、ハードディスク(HDD)を搭載している。デジカメで撮影した写真や動画などを保存していると容量をどんどん消費してしまうので、なるべく大容量のものがいいのは間違いないが、自宅で場所を決めて使う場合、外付けHDDを取り付けてデータを移動させることもできるので、あまりこだわりすぎる必要はないだろう。
ブルーレイ・ディスクドライブやDVDドライブは以前ならソフトのインストールなどでよく使われた。しかし、現在はインターネットからダウンロードするソフトが多いので使う機会は少ない。音楽CDを聴く、音楽CDからパソコンに曲を取りこむ、DVDやブルーレイ・ディスクを見る、書き込み用のCD-RやDVD-Rでデータのやり取りに使う、といったことをしない人は重視しなくてよい。
忘れていけないのは、Excel、Word、PowerPointといったマイクロソフトオフィスの有無だ。国内大手メーカーのパソコンは付属するモデルが多いが、海外メーカーのパソコンは付属しないことが多い。パソコンとは別に購入すると、Excel、Word、PowerPoint、Outlook、OneNoteの5本をまとめた「Home & Business」で3万7000円以上してしまう。オフィスが必要な人は、付属するパソコンを購入する方がいい。
■長く使えるパソコンがほしいなら予算は15万円以上
どんなパソコンを購入すべきか、どれぐらいの予算を考えるべきかは、用途によって変わってくる。ここでは大きく3つのケースに分けて考えてみた。
●ケース1/インターネット、メール、SNSの利用、マイクロソフトオフィスを使った仕事、写真整理、はがき作成など一般的な用途に使いたい
何にでも使えるつぶしの効くパソコンがほしいという、最も一般的なケースだ。スペックは、メモリーは4GB(できれば8GB)、CPUはCore i5以上、ディスプレーの解像度はフルHD以上が欲しいところ。これぐらいのスペックがあれば、動画編集など処理の重い用途にもサクサクとした快適な動作を望まなければ対応できる。予算は10万円台前半〜15万円前後だ。
●ケース2/動画編集やフォトレタッチも快適にこなしたい
動画編集、デジカメ写真の現像やフォトレタッチはパソコンにかかる負担が大きいため、なるべく高いスペックが欲しい。ディスプレーの画質にもこだわりたいところだ。メモリーは8GB以上、ディスプレーの解像度はフルHD以上でなるべく画質のいいもの、CPUはCore i7クラスが欲しいところ。予算は15万〜20万円台前半だ。
●ケース3/インターネットやメール、SNSの利用だけでOK
スマホやタブレットでは窮屈なので、パソコンの大きい画面でネットやフェイスブックなどを利用できれば十分というケース。こうした用途はそれほど高い処理性能を必要としない。メモリーは4GB以上、ディスプレーの解像度はWXGA、CPUはCeleronやPentiumでも間に合う。マイクロソフトオフィスの利用も、サクサクとした快適な動作を望まなければ対応できる。ただし、動画編集など処理の重い用途には全く向かない。予算は10万円前後だ。
以上、用途別に推奨スペックを簡単に説明したが、もし自分の用途がよくわからない場合、性能は高めのモデルを選んでおいたほうがいい(もちろん予算が許すかぎりで、だが)。理由は前にも書いたとおり、Windows 10がアップデートで進化し続けるOSだからだ。快適に長く使おうと考えているなら、メモリー8GB、CPUはCore i5以上のモデルを選びたい。この条件を満たすスペックで、お買い得なモデルを見つけるのが、2016年夏のパソコン選びの肝となるといっていいだろう。
次回からは、今回説明したポイントを踏まえて、ノートパソコンとデスクトップパソコンそれぞれのおすすめ機種を紹介していく。
(IT・家電ジャーナリスト 湯浅英夫)
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