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交際経験ゼロ男と結婚コスパ厨女の埋まらない溝
女性の方が異性との付き合いの経験値が高く、一部の経験豊富な男性がモテているのが現状だ
草食系、絶食系、ロールキャベツ……。若者の消極的な恋愛観を好奇な視線で論じる記事にはほとほと食傷気味だろうが、また新たな調査結果が発表されて話題になっている。
明治安田生活福祉研究所が、男女3595人に対して実施した調査「20〜40代の恋愛と結婚」(6月20日発表)によると、20代男性の53.3%がこれまで一度も交際経験がないという。2013年の調査では30.2%だったため23ポイント以上も上昇したことになる。「結婚願望がある」と答えた20代男性も、67.1%から38.7%に激減する結果となった。
なぜ、彼らは恋愛に消極的になり、結婚にも希望を持たなくなってしまったのだろうか。調査結果をより詳しくチェックしていくことで、その理由を探っていきたいと思う。
男性の「モテ格差」が広がる現在の恋愛市場
消極的という言葉を使ったが、交際経験や結婚願望の数字を見ただけでは、本当に消極的になっているのかはわからない。「恋人はほしいけど、作れない」というパターンも想定されるし、そうとするならばコミュニケーションの問題なのか経済的、社会的な要因なのかも判然としない。そもそも恋人がいないから、結婚願望がないとも考えられる。
まずは、「交際経験」について見ていこう。
◆20〜40代の恋愛と結婚
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出典:明治安田生活福祉研究所 拡大画像表示
20代男性の53.3%がこれまで一度も交際経験がないことは前述のとおりだが、30代になっても38.0%と4割近い男性が交際を未経験だ。ちなみに、交際経験があると答えた男性のうち、1人と付き合ったことのある20代男性は15.3%。続いて、2人が10.7%、3人が6.3%、4人が4.3%、5人が2.3%と数が増えるごとに割合が減る傾向がある。
一方、交際人数が増えると減っていた割合が「6人以上」になると7.7%と盛り返しており、交際経験を巡って「格差」が生じている状況だ。これは、30代男性でも同じ傾向が見られ、「モテる男はモテる」という身も蓋もない現実がある。「6人以上」とは、もしかしたら「100人」のことかもしれない。
女性は20代、30代ともに、男性よりも交際経験が多い。30代女性で「6人以上」と交際経験がある割合は14.0%で、同年代の男性が1人と付き合っている割合とほぼ同じだ。
交際経験の差が、恋愛においてどのように作用するのか。実際のところはよくわからないが、同年代と付き合おうとする場合、普通に考えれば女性のほうが経験値は高い。仮に女性が“経験豊富な男性”を求めるならば、一部の「モテ男」を狙わなければいけないことになる。競争率が高いうえ、男性における「モテ格差」はますます広がりそうだ。
男性のほうが、恋愛経験が多いという、「男は遊んでなんぼ」的な考え方を男女双方が持っているとしたら、それは古い価値観である。むしろ女性のほうが異性慣れしており、恋愛の手ほどきをするのに相応しい存在だといえる。男性は、女性に教えを請わなければならない。「男性が女性をリードする交際」なんてものは、現代においては幻想なのだ。
女性が求める年収ほど、男性が稼いでいない現状
次は恋愛、結婚と年収について見ていこう。
まず、事実としてあるのは、男性は年収が上がると恋愛、結婚に積極的になる傾向があるということだ。
同調査によると、「(1)交際経験がある」「(2)婚活経験がある」「(3)できるだけ早く結婚したい・いずれ結婚したい」と答えた割合は、30代の(3)を除けば、年収が上がれば上がるほど高くなっていく(「年収400万円上」が最も高年収のカテゴリのため、さらに富裕層はどうだかわからない)。一方、女性はそうとは限らす、20代では(1)〜(2)のすべての項目で割合が多いのは、年収200万円〜400万円の層である。
さらに30代女性が結婚相手に望む最低年収は、400〜500万円未満が26.3%、500〜600万円未満が21.2%、600万〜700万円未満が7.3%、700万〜1000万円未満が10.3%、1000万円以上が2.9%。「400万円以上」という括り方をすると、合計で67.9%となっている。
「400〜500万円未満」がボリューム層なのだから、比較的穏健な印象も受ける。「なにがなんでも富裕層の男性と結婚したい」と考えている女性は、そんなに多くないからだ。
しかし、現実的は違う。同調査に回答した男性のなかで400万円以上稼いでいるのは、20代で15.2%、30代で37.0%しかいない。女性が求める年収を稼ぐ男性は少ないのだ。
また、古いデータになるが、筆者が2012年、ダイヤモンド・オンラインに記事を執筆した際に調べた女性が男性に希望する年収と、実際の男性の平均年収は以下の通りである。
■女性が男性に希望する年収
・平均……682.6万円(最低427.0万円)
・20代……608.3万円(最低376.5万円)
・30代……693.4万円(最低427.2万円)
・40代……727.2万円(最低460.0万円)
・50代以上……651.9万円(最低433.3万円)
※結婚相手紹介サービス「ノッツェ」を運営する結婚情報センター調べ
■男性(民間)の平均給与
・平均…507.4万円
・20〜24歳……268.9万円
・25〜29歳……365.9万円
・30〜34歳……431.7万円
・35〜39歳……505.3万円
・40〜44歳……576.6万円
・45〜49歳……632.5万円
・50〜54歳……648.6万円
・55〜59歳……598.7万円
※国税庁調べ
「女性が男性に希望する年収」は、結婚紹介サービスが調べたデータであるため、金額が高めに出ることを差し引いても、あまりにも現実と理想の間に差があり過ぎないか。
「結婚はコスパが悪い」と考える男性
さらに、明治安田生活福祉研究所の調査では、女性のほうが男性より結婚をコストパフォーマンスで考える傾向があることがわかっている。また、金銭的な価値に換算してもらったデータでは、「マイナス」と回答した30代男性は32.5%。一方、女性は8.4%しかおらず、男性のほうが「結婚はコスパが悪い」と思っているという結果となっている。
しかし、女性が結婚をコスパで考えても、前述のとおり「理想のパフォーマンス」を発揮できる男性は少なく、また「経済的自由がきかなくなること」を結婚しない理由に挙げる男性が多い。ついでに言うと、専業主婦になりたい女性は、平均43.3%いるそうだ。
男性に交際経験が少なく、結婚願望が低い理由は、コミュニケーション、経済などさまざまな問題が絡み合っているように思う。もちろん、恋愛、結婚をするか、しないかは個人の自由であり、強制されるものではない。しかし、「恋愛、結婚しない男性」を語るときは、個人の問題ばかりに目を向けず、周辺を取り巻く問題にも留意しておきたい。
当連載についてご意見がある方は、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただきたい。全てに返信できないとは思うが、必ず目を通したいと思う。
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