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経済苦で自衛隊に入る大卒者が激増!紛争地派遣が現実的に…重い奨学金返済で人生台なしも(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/557.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 7 月 05 日 01:18:06: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              マニュエル・ヤン氏


経済苦で自衛隊に入る大卒者が激増!紛争地派遣が現実的に…重い奨学金返済で人生台なしも
http://biz-journal.jp/2016/07/post_15767.html
2016.07.05 文=林克明/ジャーナリスト Business Journal


 4月30日に早稲田大学で開催された首都圏大学非常勤講師組合主催のシンポジウム「戦争と学生 − 経済的徴兵制をぶっ潰せ!」の講演を紹介する本連載。第3回は、マニュエル・ヤン氏(早稲田大学社会科学総合学術院助教・比較社会・思想史)の講演を紹介する。

 ヤン氏はブラジル生まれで日本人の母と台湾人の父を持ち、アメリカで少年時代を過ごし大学に入学。大学入学直前、ブラジルからアメリカに国籍を変えた。大学入学を決めた途端に海兵隊のリクルーターから誘われたという自身の体験、また海兵隊に入隊した友人の体験を語った。

 アメリカでは、経済的に苦しい学生が卒業後に軍に入り、戦地に赴き戦死したり、帰還してもトラウマに悩まされている人が大勢いる。

 日本でも、大卒者が任期制自衛官となるケースが最近10年で倍増しており、安全保障関連法制の施行で紛争地へ派遣される可能性が高まっている。「経済的徴兵制」が現実味を帯びているのだ。

 日米両国の状況を見れば、事態を打開するためには、当事者である若者や貧しい人々が大きな政治・社会運動を起こすことが必要だ。ヤン氏は、「若者よ、もっと権力者に迷惑をかけよう」と、非暴力・直接行動による運動を訴えた。以下に講演概要をまとめる。

■学校が嫌いで転校を繰り返した

 私は学校が大嫌いで、高校を6回転校しました。そして、「大学に行きたくない」と親に言いました。なぜなら、自分が英雄視している2人の人物が、共に大学中退者だったからです。

 ひとりはドイツ系アメリカ人でニューヨークに生まれた作家、ヘンリー・ミラーです。彼はニューヨーク市立大学シティ・カレッジに入学し中退しています。それは、彼が大嫌いだったイングランドの詩人、エドマンド・スペンサーが授業で教えられていたからといいます。「スペンサーの『妖精の女王』というくだらない長詩なんて読みたくない」という理由で大学をやめたのです。

 ミラーは仕事を転々とし、各地をさまよって1934年にフランスで小説『北回帰線』を出すのですが、本国のアメリカでは発禁処分になってしまいます。

 英雄視していたもうひとりの人物は、中学生のときから熱心に聴いたミュージシャンのボブ・ディランです。彼は公民権運動の主題歌のような『風に吹かれて』という曲を書き、ロックにも革命を起こした人です。1959年にミネソタ大学に入学するものの、フォーク音楽に没頭しすぎて中退し、ニューヨークへ行きミュージシャンになりました。

 この2人にならって「俺も大学に行きたくない」と親に訴えたのです。私の思考回路を熟知している親は、「あなたはまだ大学にさえ入っていない。ミラーもディランも一応、大学に入ってから中退した。彼らのようになりたかったら、まずは進学しなさい」と私を説得し、結局私は大学に入ったのです。

 当時はテキサス州に住んでおり、地元のテキサス大学オースティン校に入ろうと決め、そのときにブラジル国籍からアメリカ国籍に変えました。アメリカ国籍だと学費が一番安いからです。

 進学を決めた途端、海兵隊のリクルーターなど名も知らぬ人から次々に電話がかかってきました。そのやり取りはこんな感じです。

「あなた、大学へ行くんでしょ」

「なぜ知っているんですか」

「ちゃんとわかっていますよ」

「怖いですね」

「大学の学費はものすごく高いし、奨学金返済もきつい。人生を棒に振りたくなかったら、ぜひ軍隊に入りなさい。何もしなくていいから。ちょっとトレーニングするだけで、ちゃんと学位もとれるから」

 こういう甘い言葉で誘惑されても、「俺は騙されないぞ」と思っていました。台湾人である私の父は、1920年に日本統治下で生まれ育ち、44年に日本軍に1年以上投獄されました。父はキリスト教の牧師だったので、群衆の前で説教をしていましたが、それを抗日活動だと日本軍に疑われたのです。

 また、沖縄の石垣島で生まれた母方の祖父は同時期に軍隊に招集され、とてもひどい目に遭ったようです。戦場では小便を飲まされ、誰かがミスをすれば連帯責任で殴られるなど、トラウマしかないと語っていました。文芸評論家の江藤淳が大好きで、保守的な人でしたが、戦争は大嫌いでした。

 このような父や祖父の話を聞いた私は、軍隊や戦争には幻想を持っていませんでした。そして、私の学費を捻出するために祖母がずっと働いていてくれたおかげで、海兵隊などからの誘いを拒否できたのです。

■軍法会議にかけられた友人

 しかし、軍隊の誘いを拒否できない友人もいました。インディーズ系のミュージシャンが好きで、政治にも軍隊にも興味のなかった仲間で、よく一緒にドライブに出かけました。彼の家は母子家庭でお金がないため、海兵隊に入って学費を稼ぐ道を選ばざるを得なかったのです。

 彼は海兵隊に入り、ハワイに飛ばされ、自分のDNAをサンプルとして提供するように命じられました。米軍はいろいろな産業と関わりがあるので、そのような関連産業における人体実験としてのDNA提供命令だったと思われます。

 彼は、「DNA提供なんて人権侵害だから嫌だ」と拒否しました。規律が厳しい軍隊ですので、軍法会議にかけられました。私も手紙などを書いて彼を支援しました。そして、運よく彼は「名誉除隊」という判決を受けました。

 名誉除隊は正当に軍隊を脱隊できますが、不名誉除隊となれば犯罪歴として扱われ就職する際も大きなハンディキャップを抱えてしまいます。その意味でも、彼は良い具合に軍から自由になれたといえます。

 私は大学を卒業した後、オハイオ州のトレドという町に移り住みました。脱産業化された貧しい労働者地域です。その近辺で大学の非常勤講師を10年続け、その間に複数の学生から同じような悩みを打ち明けられました。

 その悩みとは、「自分は奨学金で借金をしたくない」「借金返済で生涯束縛されたくないから軍隊に入ろうと思っている」というものです。

 相談してきたひとりは、返済不要の奨学金を得て大学院に進学できました。しかし、私の友人の弟は大卒でしたが、軍と契約を結ぶ会社に会計士として入社し、アフガニスタンに派遣されました。非戦闘員であるにもかかわらず、爆撃などの戦争体験をしたため、トラウマが残り、今でも飛行機の音を耳にするとパニックになり「ワァーっ!」と叫んだりします。こういう例は珍しくありません。

 アメリカ民主党大統領の候補者だったバーニー・サンダース氏は、こういった軍人たちや帰還兵を支援する政策を長い間実行してきました。彼は、ボブ・ディランと同じ1941年に、ヘンリー・ミラーと同じニューヨークで生まれたバーモント州の上院議員です。

■バーニー・サンダースと黒人運動

 兵士や帰還兵のケアをサンダースがやってきた原点のひとつは、1960年代の学生運動です。最近の選挙集会で驚いたのは、彼がスピーチを行っていたときに「Black Lives Matter(黒人の命が大切)」という運動団体の人たちがサンダース氏からマイクを取り上げ、勝手に演説をしたことです。この団体は民主党、共和党問わず、ほかの候補の政治集会でも同様なことをやっていました。

 かつて日本でも、アナーキストの大杉栄たちが、他人が主催している演説会に押し掛けて勝手に自分たちの主張や運動を演説することがよくありました。「演説会もらい」と呼ばれた戦術です。Black Lives Matterも同じようなことを行い、サンダース氏はマイクを彼らに手渡し、あるときは20分間もしゃべらせたりしています。

 このBlack Lives Matterは、2014年8月にミズーリ州ファーガソンで18歳の黒人青年マイケル・ブラウンが白人警察官に射殺された事件をきっかけに活発に運動し始めた団体です。アフリカ系アメリカ人の命を奪い続ける警察暴力に抗議しています。

 もちろん、会場に乱入して自分たちの演説をすることに対してバッシングもあります。反対に、「やり方はよくないかもしれないが、彼らの主張していることは正しい」という意見もあります。

 サンダース氏がヒラリー・クリントン氏と討論したときも、クリントン氏は「あなたはBlack Lives Matterを支持していますか。(黒人だけでなく)すべての命が大事ではないんですか」と追及しました。

 しかしサンダース氏はクリントン氏に、「Black Lives Matter」と答えたのです。なぜ彼はあえてそう明言したのか。

■非暴力直接行動の源流

 サンダース氏の姿勢は、彼が学生非暴力調整委員会(SNCC)や人種平等会議(CORE)に参加した1960年代初頭の活動家としての体験に裏付けられています。

 非暴力直接行動のコアとなる組織に南部キリスト教指導者会議(SCLC)があり、公民権運動の指導者であるマーティン・ルーサー・キング牧師らによって結成されました。リーダー層が担っていたSCLCよりも、「もっと直接行動を参加民主主義的にやろう」と若い人たちが主張し始め、その結果生まれたのがSNCCで、COREが組織した「フリーダム・ライド」(自由のための乗車)運動という直接行動に参加します。

 当時、アメリカ南部の公共施設は、白人と黒人のものに分けられていました。その南部白人用の施設に、白人と黒人の活動家が一緒に入るのです。警察から暴力を受けて逮捕されますが、次から次へと若い活動家が直接行動に参加し、また逮捕されました。繰り返し逮捕者を出し、刑務所を活動家であふれさせようとしていたのです。

 そのような活動に対して批判も起きました。アラバマ州バーミングハムでキング牧師は「ゆっくりやろう」と主張していましたが、結局は学生たちに押されてキング牧師もデモに参加し逮捕されます。そして彼は「非暴力直接行動は葛藤をつくり、テンション(緊張)をつくらなければならない」と『バーミンガム刑務所からの手紙』で書いています。

 そこでは、「迷惑をかけなければならない」と主張しているのです。暴力的な迷惑はだめだが、非暴力的な迷惑をかけなければ相手は「何が、なぜ、どのように悪いのか」わかりません。権力の正体・露骨な暴力を引き出すことを目的に、慎重に戦略を練ってキング牧師や学生たちは非暴力直接行動を進めたのです。

 サンダース氏の政治意識は、公民権運動の伝統の中で培われています。1963年のキング牧師の有名な演説「私には夢がある」で知られるワシントン大行進に参加し、公民権運動の最初の座り込みをシカゴで行ったのは、おそらく彼です。

■サンダースの政策は、かつてのアメリカの常識

 サンダース氏が、公立大学の授業料無償化や、本当の国民健康保険の創設を主張していることに対し、「社会主義者」や「過激派」というレッテルを貼る人がいます。

 しかし彼の政策の根本は、彼が育ち青年時代を過ごした50年代、60年代のアメリカにおいて、民主党も共和党も支持した政策なのです。ニューディール政策からの流れを汲み、フランクリン・ルーズベルト政権が第二次世界大戦中に兵士の制定した復員兵保護法により、兵士や復員兵はローンを借りて家が買えるようにし、また帰還兵の職業の安定も図るなど社会福祉を設定しました。

 ドワイト・アイゼンハワー大統領は、1961年1月に有名な退任演説をします。

「私たちアメリカ社会を脅威にさらしている軍産複合体がある。軍と産業が結託して国民の自由や基本的人権を奪おうとしている。それはだめだ」と。彼はさらに言います。「兵器ひとつで何人の飢えた人を養うことができるか」

 今そんなことを言えば、反戦活動家とみなされるかもしれない。しかし当時は、それがアメリカの常識でした。運動弾圧と戦争の親玉のような共和党のリチャード・ニクソン大統領でさえ、国内ではニューディール的平等や福祉を政策に掲げていました。

 だから、歴史的な視点からいえば、サンダース氏の政策は非常に保守的なのです。今のアメリカの現実は、そういう保守的な人さえも許さない状況です。この現実を変えるには、ニューディール政策を政府がつくるよう促した1930年代の労働運動のゼネストや座り込み、路上に掘っ立て小屋の街をつくった野宿者の生存闘争から学ばねばなりません。

 ファーガソンで行動を起こしたBlack Lives Matterの人々のように、選挙のための運動でなく、運動のための選挙という意識で活動する必要があります。Black Lives Matterは、どの大統領候補のことも支持せず、道路占拠や演説会もらいなどの直接行動を重ねてきました。

 民主主義の本質は、代表を選ぶことではなく、政策や政治の内容を民衆が直接決定することです。直接行動はその縮図です。

 アメリカでも日本でも、貧しい学生たちが軍や自衛隊に入らなければならない状況を打開するにはどうすればいいのか。権力者に迷惑をかけ、彼らの不当性を明るみにさらす非暴力直接行動が、そこでも求められています。民主主義に命を吹き込むために、もっと迷惑をかけていきましょう。

(文=林克明/ジャーナリスト)
 

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コメント
 
1. 2016年7月05日 03:05:29 : 46au376vfM : ZYM7DDGC_rw[693]
インドの独立指導者;ガンジーの無暴力抵抗、ですね。

2. 2016年7月05日 08:15:34 : 3rayd6QBdE : 8NK5fClsRDE[2]
アメリカは経済的徴兵制を採用している、だから兵員の供給はできる、除隊さえままならない。

安部自民党も同じことをしようとしている。学生が楽に大学へ通えるようになってもらっては困るのだ。


3. 2016年7月05日 10:38:16 : aHn9rEtexk : K_AUkbOHri4[67]
昔は自衛隊で稼いでから大学へ入るとか夜学に通うという人がいたが、今は奨学金借りて返すために自衛隊に入るという順序になるわけか。なるほどねぇ。このパターン、増えそうだな。

4. 2016年7月05日 18:52:54 : vWH0Fy7bYc : mIoLdZotStw[5]
これって、いま沖縄で実践されている事。

5. 2016年7月07日 11:54:05 : 0orfb2g6kI : nveeUdd0k7A[2]
国民を経済難に わざと追い込めば

兵隊になる奴は

いくらでも湧いてくる

笑いが止まらんだろう

安部君よ


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