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出光興産のガソリンスタンド(撮影=編集部)
名門・出光の呆れた「前時代的」内情…激烈な内部闘争が15年振りに再燃、89歳の反乱
http://biz-journal.jp/2016/07/post_15759.html
2016.07.05 文=編集部 Business Journal
石油元売り第2位の出光興産の創業家が、6月28日に東京都内で開かれた株主総会において、来年4月に予定されている第5位の昭和シェル石油との合併に反対を表明した。創業家は、合併など重要議案に拒否権を発動できる3分1を超す33.92%の株式を保有していると主張している。
元衆院議員で顧問弁護士の浜田卓二郎氏を通じて、創業家は「合併計画に反対」の意思表示をした。その上で、月岡隆社長ら現経営陣10人の再任に反対票を投じたが、人事案は可決された。
代理人の浜田弁護士は、巨大石油資本、石油メジャーに対抗するなど、独自の経営方針を堅持してきた出光と、英蘭系石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルを親会社とする昭和シェルとの企業体質の違いを懸念。イランと親密な関係を持つ出光がサウジアラビアとの関係が深い昭和シェルと合併するのは、両産油国の対立が激化しているなかで適切ではないと考え、創業家は反対を決めたと説明する。昭和シェルの第2位の大株主はサウジアラビア国営会社サウジアラムコで、約15%出資している。
昭和シェルと合併するには、出光は臨時株主総会を開き、合併の承認する決議において議決権の3分の2以上の賛成を得る必要がある。創業家の反対により、合併が承認されない可能性が出てきたことから6月29日、出光の株価は前月比239円安の2063円に急落した。
出光の大株主の構成を見ておこう。自己株式を除いた16年3月期の議決権比率で、創業家の資産管理会社である日章興産は16.95%、公益財団法人出光文化福祉財団7.75%、公益財団法人出光美術館5.00%となっている。日章興産の社長は出光名誉会長の出光昭介氏で、両財団も同氏が理事長を務めている。同氏は、出光の創業者である出光佐三氏の長男だ。上位10位に名前は出てこないが、昭介氏の長男・正和氏と次男・正道氏が、それぞれ1.51%所有し、昭介氏個人名義の持ち株は1.21%だという。これらを単純に合計すると、創業家側の持ち株は33.93%になる。
これに対して経営陣側は「公益性が高い公益財団法人の持ち株は創業家に属するものではなく、議決権を行使できない」と反論しており、両財団を除くと創業家の議決権比率は約21.2%にとどまり、合併は可能とみている。
公益財団法人の解釈が両者で大きく異なるわけだ。公益財団法人が議決権を行使できれば合併案は否決、行使できなければ合併は承認されるという流れになる。公益財団法人の扱いが大きなポイントだ。
会社側は対抗策も考えている。第三者割当増資を行い、創業家の保有比率を下げることを検討していると報じられると「検討している事実はない」と、すぐに否定した。増資については、創業家を刺激したくないとの慎重論もあるようだ。
お家騒動で「純血主義」を捨てる
なぜ創業家が突然反対表明したのか。その原因を探ると、昭介氏のトラウマに辿り着く。2000年に一族が分裂し、出光で“お家騒動”が起きた。当時、出光の経営は揺らいでおり、米格付け会社ムーディーズは1兆円の有利子負債を抱える出光を「B2(投機的)」に格下げした。
そこで、経営危機説を払拭するため、7代目社長の出光昭氏が同族経営の幕引きを断行した。佐三氏のあと、佐三氏の兄弟姉妹の家族で社長の椅子をたらい回しにしてきたのをやめることにしたのだ。
当時の会長は5代目社長を務めた昭介氏で、出光の株式の4割を支配する唯一の個人株主で出光のオーナーだった。一方、社長の昭氏(佐三氏の末弟で2代目社長・出光計助氏の次男)は、出光の株式を1株も持っていなかった。
外部資本の導入や株式上場をめぐり、会長派と社長派が激しく対立した。社長派の急先鋒は専務の天坊昭彦氏。メインバンクの説得で昭介氏が折れ、2000年から外部資本を受け入れ、06年の株式上場が決まった。
路線闘争に敗れた昭介氏は01年、代表権のない名誉会長に退いた。そして02年、昭氏が会長になり、天坊氏が8代目社長に就いた。住友銀行(現三井住友銀行)と東海銀行(現三菱東京UFJ銀行)が増資を引き受け、その名残で現在も三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行は各3.22%保有している。
06年10月、出光は東証1部に上場した。同族色を薄まったことを見届けた昭氏は、経営の第一線から身を引いた。この結果、出光には出光家出身の取締役は1人もいなくなり、同族オーナー型経営から、所有と経営を分離する近代的な企業に転換したはずなのである。
それでは、なぜ創業家が経営に介入することになったのか。出光が昭和シェルとの合併に動き出したことが原因だ。昭和シェルを買収して傘下を収めるのであれば、創業家の持ち株比率は変わらない。ところが合併となると、出光の株式を昭和シェルの株主に割り当てることになるため、創業家の持ち株比率は、大きく目減りする。それは3分の1の株式を持つという特別な地位を失うことを意味する。いったん拒否権を失えば、創業家といえども「その他大勢の1株主」に転落する可能性が高い。
昭介氏は7月13日に89歳を迎える。創業家の影響力の低下を防ぐべく、合併反対に立ち上がったわけだ。2000年の敗北がトラウマになっているので、今回は一歩も引かない構えだといわれている。
■破談すれば昭和シェルはコスモに乗り換える?
経済産業省は14年7月、「エネルギー供給構造高度化法」に基づき、製油所を保有する石油元売り各社に対し、17年3月末までに設備削減や製油所再編により処理能力を1割削減するよう求めている。
これを受けて出光と昭和シェルは15年7月、経営統合することで合意した。今年9月中に、まず出光が英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェル株の33.3%を取得。16年末に臨時株主総会を開き、17年4月に株式を交換するかたちで合併する方針だった。ところが創業家が合併に待ったをかけたのだ。創業家を代表する昭介氏と、月岡氏ら経営陣のガチンコ勝負となる。
元売り第1位のJXホールディングスと同3位の東燃ゼネラル石油が17年4月の合併に向けて交渉を進めている。4位のコスモエネルギーホールディングスが取り残された格好になっているが、出光と昭和シェルの合併が破談になれば、四日市製油所で事業提携したコスモと昭和シェルの合併説が再浮上する可能性がある。出光の創業家による合併反対は、経産省が描いた大手3社体制に冷水を浴びせかけた。経産省の苦りきった顔が目に浮かぶ。
■月岡氏への賛成率は52.3%
株主総会において、月岡氏の取締役再任への賛成率は52.3%にとどまった。昨年の賛成率91.6%から大きく下がった。ほかの取締役の賛成率も50〜60%台に低下した。
創業家グループが反対に回ったのに加えて、月岡氏に関しては米議決権行使助言会社、ISSも反対を推奨したことが影響した。業績低迷に不満を持つ一般株主も賛成しなかった。
株主総会では、無投票や棄権が出たことで、創業家の議決権比率が39%に高まったことも要因だ。月岡氏の昨年の「ノー」の比率は8.4%だったため、これに創業家の39%を上乗せすると47.4%になり、今年の月岡氏の反対の比率とほぼイコールになる。
昭和シェル石油との合併推進派の月岡氏の賛成票が52.3%に急落した意味は大きい。現時点で創業家以外の株主の合併への賛否は不明だが、人事案に反対した株主が臨時株主総会の合併承認の議案でも同じ投票行動をすれば、合併への壁は一段と高くなる。
(文=編集部)
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