http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/501.html
Tweet |
年金に関する間違った説明 by 公明党・太田前代表
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52810522.html
2016年07月03日 在野のアナリスト
公明の太田前代表が横浜の応援演説で「年金が潰れる、壊れる、と言われなくなったのは民主党政権で株安だったから。安倍政権で株価が上がったから。38兆円も運用益がでている。昨年度5兆円減ってもまだ30兆円以上の余裕がある」と述べましたが、大きな誤解と間違いがあります。かつて公明が「100年安心プラン」として喧伝していた年金制度改正により、国庫負担率が3分の1から2分の1に上がりました。これで年金は制度上、破綻しにくい仕組みになったものの、財源措置は為されず延期されたまま。それが民主党の野田政権時代に3党合意が為され、消費税増税が決まってやっと財源問題が片付いた。だから安定したのです。
GPIFの単年度の運用実績でみると、24年度が9.56%、25年度が8.23%、26年度が11.62%。これだけみるとすばらしい成績です。しかし積み上げても36.6兆円、38兆円は民主党政権の頃の23年度の上昇分を少し借りています。これが2つめの間違い。そもそも安倍政権は24年度の途中、12月から政権を担当するので、24年度分は含めるべきではありません。すると本来は25年度からの25.4兆円が、安倍政権の実績ということになります。巷間語られている27年度の実績が、5兆円強のマイナスというなら、安倍政権は20兆円の余剰でしかありません。
そして最大の間違いは、株高は年金運用において基本ポートフォリオを策定し、これが改定をくり返されてきました。22年度から26年度の10月まで、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期資産5%です。26年度の10月以後、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。逆にいうと、25年度までは株式より国債の価格動向が運用には大きく影響した。その国債は、黒田バズーカにより今やマイナス金利となり、価格は上昇、すでにバブルともされます。昨日、長期金利が-0.25を越えましたが、ここまで国債価格が上昇したことが、実は運用成績には最大に好影響を与えているのです。つまり25年度の8.23%の運用実績は、実は黒田バズーカによる国債価格が大半を占めるのです。
26年度後半から、というと株価は17000円オーバー、円は107円から一気に1120円越えまですすみました。それを促したのが、黒田バズーカ第2弾だったのです。つまり悪いことを言えば、黒田バズーカのタイミングで年金が国内株式、外国債券、外国株式を買ったので、非常に高値づかみをさせられたことになるのです。そして現在、株は15000円台、円は103円ほど。つまり年金運用の観点で見ると、国内株式も、外国債券、株も、どれも運用が悪化した、ということでもあり、27年度の5兆円超の運用損などかわいい方で、今年の6月末までですでに、それ以上の大きな運用損がでていることにもなる。安倍政権でえたバッファ分の25兆円など、もう飛んでしまう勢いで減っていることにもなるのです。
ちなみに、安倍政権の第一期、平成18年度から19年度にかけては、運用実績は-3.53%でした。この頃は株価は小泉政権のころの好調さを引きずっていましたが、逆に国債は売り圧力が強く、そのため運用成績が下がったのです。しかしその後、景気が悪化していることが顕著となり、やがて東日本大震災がおきて景気は低迷、国債も格下げなどもあって運用成績が下がった、ということになります。そして、安倍政権では国債が未だにバブルをつづけているにも関わらず、基本ポートフォリオを変えたため、その恩恵をうけられないばかりか、黒田バズーカ第2弾以後の好環境が潰えた今、その悪化分を一気に織り込み始めている、ということになるのです。
そしてこの傾向は、今後もつづきます。それ以上に問題なのは、国債のバブルが弾けた途端、年金はもう破綻まで一気に突き進むかもしれません。破綻、というと言葉は悪いですが、年金収支は収入が給付を下回る、常に原資を取り崩すような状況です。運用がマイナスになったらダブルで年金財源の枯渇がすすんでしまう。そうなるとさらに国庫負担割合を増やすか、給付を減らすしかない。実際、安倍氏は給付にも手をつけると、衆院予算委でも言及しているのです。その懸念が現実になる日も近いのでしょう。
今回、年金の運用が暴露されたのは、GPIFが財務諸表を厚労省に提出したから。厚労省絡みのリークだったのでしょう。官僚としてはダメージコントロールのつもりだったのでしょうが、この財務諸表が出たのなら、本来はいつ発表してもいい。それを先延ばしにしている時点で、年金問題は隠したいといった政府の思惑が見え隠れするのです。そもそも年金で、運用実績だけを積み上げて「余裕がある」などという公明の太田氏の認識、そのものが大きな間違いです。収入と給付の差額とふくめて、年金原資が増えたかどうか、その一点が、将来に亘って安定できるかどうか、という判断において必要なのです。年金について語ること、政治家の言葉に騙されてはいけないのでしょう。100年安心プランが1年と経たずに頓挫したように、自公の年金制度の設計は、100年後には影も形も残っていないほどに杜撰、ということだけは、今回からもはっきりしているのでしょうね。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民110掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。