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ドコモ撤退、印の財閥に1200億円支払い命令
2016年06月25日 11時24分
NTTドコモは24日、インド財閥のタタ・グループと携帯電話会社の株式売却を巡りロンドン国際仲裁裁判所で争っていた問題で、タタ・グループから約11億7200万ドル(約1200億円)の支払いを受けることになったと発表した。
ドコモは2009年、インドの携帯事業に参入するため、「タタ・テレサービシズ」に約2670億円を出資し、株式の26・5%を取得したが、競争激化による業績不振で14年に撤退を決めた。ドコモはタタ・グループに株の買い取りか買い手の紹介を求めたが、応じなかったため、同裁判所に仲裁を申し立てていた。
2016年06月25日 11時24分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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ドコモのインド事業が収束へ前進、海外投資も終わりへ?
1 インド事業の経緯
大澤昌弘
[2016/06/24]
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NTTドコモは24日、保有株の売却を巡りインドの財閥企業タタ・サンズと係争していた件で、ロンドン国際仲裁裁判所より仲裁裁定を受領、ドコモの主張が認められたと発表した。これにより、ドコモのインド事業は収束に向けて前進したことになる。それは同時にドコモにとって積極的な海外投資戦略の終わりを意味するかもしれない。
係争の経緯
ドコモがインド市場への参入を表明したのは2008年11月。インドのモバイル事業の将来性を評価し、タタ・サンズ傘下のモバイル通信事業者タタ・テレサービシズに出資すると発表した。同社の株式の約26%を取得、そのために約2640億円を要した。
タタ・ドコモウェブサイト
巨額の出資となったが、注ぎ込んだのはそれだけにとどまらない。翌年3月には関連会社タタ・テレサービシズ マハラシュトラへの約110億円の出資も公表、さらには、2011年5月には、ネットワーク増強のためにタタ・サンズへ約146億円の追加出資も実行した。
しかし、これらの投資から得るものは少なかった。契約者数を大きく伸ばしたものの、出資前からタタ・テレサービシズが保有していた周波数免許が無効にされるなど、想定外の事態が重なり、タタ・テレサービシズの事業は立ち行かなくなる。2014年3月末において、ドコモには2,200億円以上の関連損失になった。タタ・テレサービシズ自身も960億円の債務超過となった。
ドコモは、インドの市場環境も考慮し、撤退を決意する。それが2014年4月のことだ。しかし、この撤退は出資当初から用意されていたプランでもある。万が一に備えて、タタ・サンズ、タタ・テレサービシズと株主間協定を締結し、退路を確保していたからだ。その内容は、2014年3月期において、所定の業績市場を下回った場合に、一定の条件で株式を売却できるというものだった。ドコモはその条件に従い、タタ・テレサービシズの全株式の買取りを同年7月にタタ側に求めた。
想定外だったのは、タタ側が協定を履行しなかったことかもしれない。そのため、ドコモは2015年1月にロンドン国際仲裁裁判所に駆け込み、仲裁の申し立てを行うことになった。ロンドン国際仲裁裁判所の裁定は、ドコモの主張を認め、タタ・サンズに損害賠償を命じるというものだった。タタ・テレサービシズの全株式と引き換えに、ドコモが要求する請求額の約1300億円を賠償するというのが具体的な内容となる。
ドコモは現段階で、損害賠償の履行についても不確定としており、収束に向かいつつあるも、いつ確定するかわからないとしている。これが今回のニュースというわけだ。
うまくいかないといえば、ドコモが過去に行った一連の海外通信事業者への投資も同じ。2002年3月期決算では、米AT&Tワイヤレス、オランダのKPNモバイルなど海外出資先の株式評価損により、8128億円(うちAT&Tが5056億円、KPNモバイルが2627億円)の減損処理を実施、それが響き、上場来初の赤字に陥った。いずれも、iモードの世界展開のために、巨額の海外投資を行ってきたが、実を結ばずに終わっている。
キャリアへの投資に否定的な新社長
海外投資では泣かされ続けてきたドコモだが、タタを最後に積極的な海外投資は終わりを迎えそうだ。ドコモの吉澤和弘新社長は海外展開に積極的な姿勢を示していないからだ。
社長就任会見で吉澤和弘氏
先日行われた社長就任会見で吉澤氏は「キャリアの規模が大きくなっているため出資は難しい」と、海外通信キャリアへの投資はきっぱりと否定する。続けて「ドコモは(出資先の)ネット・モバイルやボンジョルノにおいて、モバイルキャリアを相手に決済、課金プラットフォームを提供している。そうしたビジネスを大きくしていく余地はある」としつつも「投資ということではなく」と前置きをしている。さらに「モバイルICTソリューションをNTTグループ全体で考えていくことはある」と述べるが、こちらも「出資関係ではいかないと思うんですけど……」と補足する。海外投資の可能性をゼロとは言わないまでも、ドコモ発足当初から同社に在籍し、すべてを見てきた吉澤氏にとって、海外投資はあまりいいものに映っていないようだ。
こうしたスタンスは、ソフトバンクグループとは対照的だ。ソフトバンクグループは「ソフトバンク 2.0」というキーワードを掲げ、海外への事業投資を積極的に進めている。先日、代表取締役副社長の退任が決まったニケシュ・アローラ氏を中心に、米国、インド、東南アジアの有望な企業への投資を積極的に進めてきた。もはや、国内通信事業を担うソフトバンクは、ソフトバンクグループをなす一企業の位置になり、半投資会社化していた感がある。海外投資に否定的なドコモ、その逆をいくソフトバンクグループ。どちらが正しい道をたどっていることになるのだろうか。
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