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円安がもたらした企業利益や株高は「幻」だった? (写真: Yuriko Nakao/ロイター)
円安で稼いだ日本企業は、円高に震えている 経営者が頼れるのは、もはや賃下げだけ?
http://toyokeizai.net/articles/-/123908
2016年06月25日 リチャード・カッツ :本誌特約記者(在ニューヨーク) 東洋経済
原文はこちらhttp://toyokeizai.net/articles/-/123711
円が与えるものは、円が奪い去るーー。為替市場で円が2011年10月から2015年6月にかけて急落した際、日本の主な多国籍企業の利益は会計的に押し上げられた。しかし足元では円相場が急反発しており、幻の利益のかなりの部分は失われつつある。実際、2015年7〜9月期からの3四半期で、輸出企業の多くの経常利益は減少してしまった。
日本の全上場企業でいうと、2016年1〜3月期の経常利益は2015年4〜6月期から16%減少。中でも製造業は同29%減少し、2003年の水準にまで落ち込んだ。国内市場に対する依存度が高い非製造業では、同期間で経常利益が約8%減少している。
顕著なのは、売上高利益率が同期間で約13%低下したことだ。その結果、企業には安倍政権が促している賃上げを認める機運が乏しくなり、日本の株価も低迷している。
■円相場と株価の相関性は99%
日本の株式市場では外国人の売買シェアが6〜7割を占める。その外国人は2015年、東京株式市場で3260億円売り越し、2008年の景気後退以来、初めて売りが買いを上回った。2016年1〜5月、外国人はさらに4兆4000億円の売りに走った。これは2008年全体で売った額を超えている。株価低迷の要因は何より、外国人投資家による日本売りなのだ。
こうした企業利益や株価の変動において、円相場は重要な役割を果たしてきた。過去5年間、日本の主要貿易相手国の通貨に対する円相場と企業の売上高利益率の間には、95%という非常に高い相関性が確認されている。
なお、驚くべきことに、2011年1月以来の円相場と株価との相関性は、99%にまで達している。
円相場が1ドル=80円だった際、日本の多国籍企業が稼ぎ、日本に送金した1ドルは80円と計上されたが、円相場が1ドル=125円に下落すると、日本に送金された同じ1ドルが、今度は125円と計上される。
このため日本企業の海外子会社の利益が1ドル、1ユーロ、1ポンド、1ペソ、あるいは1人民元たりとも増えなかったとしても、自国での帳簿上では大幅な増益となった。現在の円高局面では、これとはまったく逆の現象が起きている。
円安という、会計上の幻影による利益を押し上げる要素がないと、日本企業は今後も賃金抑制に頼る公算が大きい。過去15年間、日本企業は売上高が減少しても利益を出す方法を学んだが、これは賃金削減によって実現したものなのだ。
■稼ぎが減れば買わなくなる
日本の大企業5000社の値を合計すると、従業員1人当たりの売上高は1996年比で5%増加したにもかかわらず、賃金と手当は同年比で5%削減されている。この結果、大企業の従業員1人当たりの営業利益は同年比7割増加した。
しかし、企業の幹部が忘れてしまっていることがある。人々の稼ぎが減れば、企業の製品を買う人も少なくなる、ということだ。
(週刊東洋経済6月25日号)
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