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香港経済の地盤沈下、巨大海上橋建設で浮き彫りに(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/256.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 24 日 08:54:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               香港・珠海・マカオを海上で結ぶ巨大海上橋の建設が進んでいる 

香港経済の地盤沈下、巨大海上橋建設で浮き彫りに
http://diamond.jp/articles/-/93631
2016年6月24日 莫 邦富 [作家・ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン


 現在、中国で建設が進められている超大型プロジェクトがある。香港・珠海・マカオを結ぶ大型海上自動車道である港珠澳大橋だ。橋・人工島・トンネルが一体となったこの海上橋は、全長55kmと世界最長を誇る。同時に、世界一長い沈埋トンネルも擁する。中国建設史上で距離が最も長く、投資額が最も多く、施工難易度が最も高い海上橋となる。

 港珠澳大橋は着工してすでに7年弱の歳月が過ぎ去り、来年末には開通条件が整う運びになっている。

 港珠澳大橋は珠江河口の伶〓洋(〓はにんべんに丁)海域を跨いでおり、「一国両制度」の枠組みのもとで広東省・香港・マカオが初めて共同で建設を行う超大型海上交通プロジェクトである。2009年12月15日に着工し、海上橋梁およびトンネルを建設する主体工事と、香港・珠海・マカオを結ぶ部分工事を含む。なかでも工事量が多く、技術的にも難しいのが、橋と人工島とトンネルからなる全長約29.6kmの主体工事で、約6.7kmの沈埋トンネル、22.9kmの海上橋、橋とトンネルとを結ばせるための人工島を含んでいる。

 海上橋は全長22.9kmで、今年8月には橋梁工事が完成し、来年上半期に人工島と海底トンネル工事が完成する見込みである。その後、橋とトンネルの路面舗装を行い、来年末には設備・環境保護・交通監視制御などの付帯工事と手直しが完了する。

 このほか、全長14kmの香港への連絡道および付帯工事も来年末には全て完成する。人工島のマカオから香港への連絡道も現在建設中である。

■メリットは3都市間の移動時間短縮のみ?

 この頃、これらの工事に関する報道が次第にメディアに出始めた。関連報道によれば、港珠澳大橋が開通すれば、珠海〜香港間の移動時間は、現在の水路で約1時間、陸路で3時間以上から20〜30分以内へと短縮され、珠海・マカオ・香港は初めて陸路で結ばれることになり、珠海・マカオ・香港間の距離が大幅に縮まる、という。

 この報道を読んだ私は一瞬、自分の目を疑った。なぜかというと、巨額の資金が注ぎ込まれているこの超大型工事プロジェクトの用途の紹介が、この3都市間の移動時間が大幅に縮まるということにとどまっていたからだ。

 ご存じのように、香港とマカオの後方に広がる広東省は、その香港、マカオとは切っても切れない関係で結ばれている。とくに経済特別区の深セン市と珠海市はそれぞれ香港とマカオに隣接し、香港とマカオの投資支援を受け、その後方基地として経済的に飛び立つことができた。深センと珠海だけでなく、珠江デルタ全体、さらに大きく言えば広東省全域も、香港とマカオなくして今日の発展は語れない。

 しかし、香港および深センに対し、マカオおよび珠海が珠江河口に広がる海に隔てられ、逆V字の両端に位置している。両組の都市間への移動は、広州を遠回りするルート以外に陸路による交通手段がない。もし香港と珠海を結ぶ大橋があれば、逆V字型がA字型となり、交通の便が一気によくなる。

 そのため、1983年の時点で、香港の財閥関係者から香港珠海大橋案が出された。中国政府も香港返還の1997年に港珠澳大橋の建設を許可した。しかし、工事開始の気配は長い間まったくなかった。

■大橋建設への熱意が薄れた香港

 この問題について、以前、私はすでにメディアで取り上げたことがある。その報道の中で、次のように指摘している。

「当初、香港は広東省の発展を過小評価し、大橋の開通は、香港や深センで港湾や海運を経営する在来の有力財閥の利益を損なうものとして関心をまったく示さなかった。……中国へ返還される1997年を迎え、続いてアジア金融危機に襲われ、香港は経済路線の選択に迷いが出たことや産業構造の改革を怠ったこともあり、一時は経済が低迷して経済発展のスピードが落ち、競争力にも陰りが見えた。大橋建設を考える余裕もなくなった」

 しかし、香港の予測を尻目に、広東省は経済的に大きく躍進し、逆に香港への依存が大幅に低下した。そのため、港珠澳大橋を建設する熱意を失い、大橋建設に対する出費の意欲も大きく減った。そればかりではなく、港珠澳大橋の連結対象にされていない深センと広州のこれからの発展が、逆に港珠澳大橋に脅かされるおそれがあると見て、ますます大橋の建設に熱心でなくなった。

 こうした広東省の態度の変化を見て、香港のほうは次第に焦りを覚え、大橋建設の必要性をこれまで以上に意識した。そこで香港は方針を大きく変え、大橋の建設を熱心に押し進めるようになった。

■25年の歳月がもたらした広東省と香港の力関係の変化

 香港とマカオの安定した発展を望む中国政府の後押しもあり、構想から25年が経った2008年3月になってようやく香港側、珠海側、マカオ側の出資比率が、その受益程度によってそれぞれ50.2%、35.1%、14.7%と決められ、大橋プロジェクトが動き出した。

 当時、私は「25年がもたらした力関係の変化で、香港側は建設費の半分を負担せざるを得なくなった。言い換えれば、広東省は香港モデルに依存してきたこれまでの年月に別れを告げたのである」とコメントしている。

 本来、香港を中国本土に緊密に結ばせることにより、大きな経済効果が期待できるとしていた考案当初の目的もいつの間にか、忘れられてしまった。香港の地盤沈下が進むいまや、単なる移動時間の短縮の手段としか見られていないようだ。こうした現状は非常に悲しいことだ。しかし、受け止めるしかない。港珠澳大橋の運用開始が次第に近づいてきている。

 港珠澳大橋の建設工事が始まった頃、香港の一部の業界では、もっと早い段階で港珠澳大橋の建設に踏み込むべきだったと後悔の声も上がっていた。港珠澳大橋の完成が近づいているいまは、後悔よりも、より積極的に行動を起こして、その大橋をより効果的に運用できるように努めるしかない。
 

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