中華人民共和国の高速鉄道
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中国高速鉄道CRH2型電車
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中国高速鉄道CRH380A型電車
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●中国大陸の高速鉄道は欧州や日本の鉄道技術を買ったものであり、自ら考えつくったものとは到底言えない。

日本では東海道新幹線が高速鉄道の嚆矢となったが、その後整備新幹線が建設されたものの、これの建設費を賄うための財政投融資によって国鉄財政が崩壊し、分割解体につながった苦い経験がある。JR以降、整備新幹線開業とセットで在来線の経営分離が行われることになり、通学通勤客輸送の在来線は編成短縮とワンマン化、ダイヤの間引きが顕著になり、高速鉄道に対する住民の意識は冷ややかになっている。日本では、高速鉄道は歓迎されない状況になっている。

中国大陸は中共による一党独裁体制であり、中共国務院に反対することはできない。国を挙げて高速鉄道を建設することになり、政府の債務はうなぎのぼり。高速鉄道建設で、既に60兆円を超える債務があると言う。それでも、今更やめるわけにはいかない。

鉄道車輌製造は、手作業が多い。自動車の大量生産とは違うんだ。鉄道車輌産業は、このため雇用人員が多く、人口の多い中国大陸では重要な要素である。彼らの雇用を守るため、国内が飽和する前に輸出に力を入れなければならない。

中国大陸では鉄鋼生産の余剰も問題化しているが、レールや車体に大量に鉄を使う鉄道の輸出によって、その問題を解決しようとしているようだな。このため輸出に当たっては、日本を意識してダンピングを行なっていると思われる。そうすれば、日本と競り勝って受注を獲得できるからだ。しかし、ここに落とし穴がある。

日本の国鉄でも苦い経験があるが、高速鉄道を建設すると、在来線とトータルで黒字になるかと思えば、さにあらず。在来線の乗客を高速鉄道に移すだけで、在来線の採算は取れなくなる。一方で高速鉄道建設の債務返済と、運営維持費の負担は増える。

鉄道の維持コストは高い。枕木交換だけでも定期的に行なわなくてはならず、これにレールやポイントの交換。架線の交換など、常に気を抜けない運営を迫られる。よく鉄道は環境にやさしいなどと言われるが、当方はこれは詭弁だと思っている。かつて国鉄・JRで働いていた経験からも、それは言える。

中国大陸のセールスで高速鉄道を建設した国々は、これから困ることになるのではなかろうか。結局のところ維持できるだけの乗客を確保し続けることは難しいからだ。

中国大陸は「日本経済の5分の1を消失させた」と豪語しているようだが、言わせておけばいいだけだ。後で困った事態に追い込まれることは必至である。