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[そこが知りたい]MRJ開発遅れ 挽回策は
三菱航空機社長 森本浩通氏 専門組織、社外とも連携
商用化が遅れている三菱航空機(愛知県豊山町)の国産ジェット旅客機「MRJ」。機体の安全性について航空当局から認証を受ける「型式証明」の取得は難航、受注機数は採算まで届いていないもようだ。2018年半ばを目標とする初号機引き渡しに向けどう巻き返すのか。森本浩通社長に聞いた。
――型式証明の取得は遅れています。
「(操縦システムや機体強度など)試験データを取り、安全かどうか立証するが、知見が足りなかった。4月に120人規模で型式証明取得の専門組織を立ち上げた。戦闘機開発のエンジニアを投入したほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や三菱電機系システム会社など社外人材も加わった。経験豊富な米ボーイングからの応援も増える」
――試験飛行機5機のうち4機を持ち込む米国での体制づくりは。
「ボンバルディア(カナダ)など航空機分野出身の200人ほどのエンジニアを採用中で、4割ほど確保した。米国には三菱重工の航空機事業部門のトップ級に就いていた2人を副社長として送り込んだ。三菱重工の宮永俊一社長も最大の正念場という認識だ」
――2月には航空機リース会社から1年半ぶりに受注しました。
「まだ飛んでいない機体なのに、リース会社が資産としての価値を認めてくれたことは営業の大きな弾みになる。世界で運航される航空機の約4割はリース機だが、MRJのような100席未満のリージョナルジェット(RJ)機はまだ3割。開拓余地はまだある」
――市場攻略に力を入れるエリアは。
「新たに市場調査を始めるのはイランだ。昨年、経済制裁が解除され日本との縁もある。イランは今後10年で150〜200機のRJ需要が見込める。ただ、整備や補修の際、MRJが採用する米国製部品がイランに輸出規制される可能性がある。見極めが重要だ」
――量産や顧客サポートの整備も並行して進める必要があります。
「当社は専業会社に機体整備を委託するが、その会社を年内に選定したい。(競合するブラジルの)エンブラエルの顧客サービスの高さをベンチマークに、定時発着率や故障発生率などを比較しながら最良のパートナーを選びたい」
「MRJは100万点の部品からなる巨大システム。部品が滞留しないようにするためのサプライチェーン・マネジメント(SCM)がカギだ。物流センターを愛知県に新設するが、部品の流れを常時『見える化』するIT(情報技術)ネットワークを構築する。ここまで大規模なSCMは三菱重工にとっても初めてで高い管理能力が求められる」
もりもと・ひろみち 77年(昭52年)京大経卒、三菱重工業入社。発電プラントの営業畑が長く、三菱重工米国法人の社長などを歴任。15年4月から現職。東京都出身。62歳。
<聞き手から一言>
人材の融和と スピード感を
米ボーイングは新型機の型式証明を取得する際、最初から急旋回など危険な飛行をさせて安全性を評価するという。その安全性が基準内に適合していれば、他の評価項目も一気に証明され、試験時間が短縮されるというわけだ。
経験値がない三菱航空機がボーイングのやり方をまねるのは無理だが、時間の猶予は一刻も許されない。
社外技術者が大量に増えるなか、人材の融和はもちろん、スピード感が伴わないと競合するエンブラエルに水をあけられる。
(上阪欣史)
[日経新聞6月19日朝刊P.]
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