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「ビットコイン」や三菱UFJ銀の「MUFGコイン」など仮想通貨が秘める潜在的インパクトは想像をはるかに超えるほど大きいようです。
「円」に取って代わる!?邦銀の仮想通貨が秘める潜在力
http://diamond.jp/articles/-/93368
2016年6月21日 真壁昭夫 [信州大学教授] ダイヤモンド・オンライン
■邦銀初の仮想通貨
三菱UFJ銀の「MUFGコイン」
最近、仮想通貨という言葉をよく耳にする。あまりなじみのない言葉だが、この仮想通貨には想像をはるかに超える可能性が潜んでいるかもしれない。
三菱東京UFJ銀行が、独自の仮想通貨である「MUFGコイン」の開発を進めて、近い将来、それを実際に使用すると報道された。これは邦銀初の試みだ。
同行が仮想通貨の開発に本腰を入れた背景には、「ビットコイン」に代表される仮想通貨が、想定以上に人々の関心を集め、実際に普及しているからと見られる。その意味では、仮想通貨は、大手金融機関にとっても無視できない潮流の一つになっている。
ビットコインが世の中に流通し始めたころ、国内の金融機関の関心はあまり高くなかった。ビットコインが、特定の政府や企業の信用の裏付けがない通貨=仮想通貨であるため、社会に広く受け入れられるとの見方は少なかった。
しかし、ビットコインは、当初の予想に反して急速に世の中に浸透した。ビットコインで買い物ができる商店も増えており、資金の決済手段として普及が進んでいる。
2014年、ビットコイン業者のマウントゴックスの破綻をきっかけに、政府も資金決済法を改正して仮想通貨の財産的価値を認め、取引業者に対する監督を強化している。
そうした動きは、金融機関に「乗り遅れてはならない」との危機感を与えているはずだ。また、ビットコインの普及を支えるシステム="ブロックチェーン"の活用によるコスト削減への期待も高い。銀行の信用力を生かし、仮想通貨ビジネスを推進する動きは他の銀行にも広がると見られる。
今後、仮想通貨ビジネスが発展すると、既存の通貨制度に大きな変革をもたらす可能性がある。それは金融機関の経営だけでなく、既存の経済政策、金融行政に変革をもたらす"金融イノベーション"になる可能性がある。
■背景にビジネスチャンスの拡大と
ブロックチェーンによるコスト削減効果
三菱東京UFJ銀行が、独自の仮想通貨であるMUFGコインの発行を準備している理由は、仮想通貨を用いたビジネスチャンスの拡大とコスト削減効果だろう。
先述した通り、仮想通貨を用いた資金の決済は、徐々に世界的な広がりを見せつつある。国内でもビットコインを使って買い物ができる商店などが増えている。実際にビットコインを使った送金なども拡大している。
それは、仮想通貨の利便性が社会に受け入れられ、人々が仮想通貨を実際に使い始めた証拠だ。繰り返すが、これまで仮想通貨ビジネスに進出してこなかった金融機関にとって、黙って見過ごせないビジネスチャンスのはずだ。
そこで、三菱東京UFJ銀行は自行の仮想通貨であるMUFGコインを発行し、送金手数料の低さなどのメリットを強調して、国内でのビジネスチャンス拡大に乗り出した。大手金融持ち株会社のメリットを生かして、系列の運用会社やカード会社との連携が進めば、仮想通貨で投資商品を購入したり、消費者ローンを活用するなど、MUFGコインの流通の範囲は大きく広がるはずだ。
当然、先述したように、仮想通貨技術を支える"ブロックチェーン"というネットワークのシステムを活用することで、金融機関のコストが大幅に削減可能との期待もあるだろう。
ブロックチェーンとは、複数のコンピューターで同一のデータを管理するネットワークシステムだ。複数のコンピューターで同じデータを管理することは、データの欠損や不備を瞬時に発見することにつながるメリットがある。同じデータを分散して管理することで、サーバーメンテナンスやシステムダウンによる時間のロス(ダウンタイム)も防ぐことができる。
最も重要なポイントは、金融機関は大規模なサーバー設置など、莫大なIT投資の負担を軽減できることだ。ブロックチェーンを土台とするシステム構築は、巨大なコンピューターに各支店や顧客の取引を集約し、IT部門が集中管理する"中央集権型"のシステムデザインとは対照的だ。この点で、仮想通貨などを用いたフィンテック技術の本質は、ブロックチェーンを用いたコスト削減との見方もできる。
■代表格はビットコイン
投機商品に似た仮想通貨
次に、仮想通貨の特徴を確認する。仮想通貨は、特定の国や中央銀行の信用を裏付けとせず、インターネット空間での特定参加者の信用や期待を基盤に普及してきた通貨と定義できるだろう。
その代表格がビットコインだ。ビットコインはサトシ・ナカモトと名乗る人物が公表した論文を基礎に、2009年頃から少しずつ流通してきた。
ビットコインの取引の実態は、インターネット上のブロックチェーンに保存された全ての取引記録だ。ビットコインは金貨や銀貨など、実際に存在する貨幣ではない。あくまでも仮想通貨なのである。
まず、ビットコインを手に入れたいと思う人は、ある種の計算問題を一番早く解くことでコインを獲得する。これが参加者共通の台帳=ブロックチェーンに記録され、ビットコインが増える。
一連の取引をブロックチェーン上の参加者が相互に確認し、共有することで客観的な通貨の供給量が確認できる。理論上、改ざんも防げる。これが、「仮想通貨の実態はブロックチェーンだ」と言われるゆえんだ。つまり、ビットコインは一部の仮想通貨に対する興味を持つ参加者の取引を、全員で見守り、共有することで成立している。
一方、不正な暗号がブロックチェーンに入力された場合など、規制や投資家の保護が未整備という問題もある。また、ビットコインの価値は、参加者間の需要・供給によって日々変化しているため、通常の通貨のように価値が安定していないことも重要だ。
その為、特定の取引の決済や投機には使えても、円と同じように万人に通用する通貨になるか否かは定かではない。
元々、ビットコインには、ドルや円との交換に関して固定されたレートがない。このため、投機などを目的とした仮想通貨として人気に拍車がかかった。その点で、ビットコインの取引は、金や穀物などのようなコモディティ(商品)への投機に似ている。
一方、MUFGコインが創設されると、銀行の信用力が同コインの信用力を支える。そして、対円での客観的な交換レートが設定されるならば、仮想通貨の価値の安定を期待することができる。そうした試みが上手くワークすると、将来、MUFGコインが円に代わって社会の中で流通することになるかもしれない。
■想像をはるかに超える
仮想通貨の潜在的なインパクト
長い目で見ると、銀行が自らの信用力を使って仮想通貨を発行することは、既存の経済・通貨制度に大きな革新をもたらす可能性がある。最終的には、わが国の中で法定通貨である円と、仮想通貨であるMUFGコイン等の複数の通貨制度が併走することも考えられる。
それは、中央銀行の金融政策にも大きな変化をもたらすかもしれない。既存の金融政策、金融行政を根底から変革させることになることも考えられる。
例えば、国内の銀行が海外の金融機関と連携して仮想通貨を発行すると、その動きによって仮想通貨のグローバル化が進むことになる。元々、国境の概念を持たないビットコインを見ると、そうした展開はあながち荒唐無稽とはいえない。
現在のわが国の金融情勢を見ると、我々が円で預金や決済を行う以上、マイナス金利など金融政策の影響からは逃げられない。一方、仮想通貨は日銀の金融政策から独立している。
仮想通貨を使うかどうかの選択はユーザーの自由だ。マイナス金利政策などが世の批判を集め、景気の低迷が続くのであれば、円が見捨てられ、仮想通貨の人気が高まる展開も想定される。
もちろん、銀行が創設する仮想通貨にはリスクや問題点はある。ブロックチェーン内に意図的に不正な暗号が入力され、システムがダウンする懸念もある。従来、メインサーバーのデータをバックアップサーバーにコピーし、各金融機関は事業の継続性を担保してきた。しかし、ブロックチェーンの場合、システムの混乱は仮想通貨を取引し合う複数の企業を巻き込んだ混乱につながりかねない。
ブロックチェーンがダウンした場合の事業の継続性、情報の保全、銀行破綻時の仮想通貨の取り扱いなど、対策が必要な点は多い。
そうした懸念やリスクがありながらも、各国の金融機関は仮想通貨などのフィンテック事業を強化しようとしている。それによって、コスト削減と収益基盤の強化を進めている。
そうした動きが続く以上、仮想通貨の存在は大きくなるはずだ。仮想通貨は、想像をはるかに超える潜在的なインパクトを持っている。
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