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トランプ氏に敵視される日本自動車産業の命運
【第32回】 2016年6月17日 佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
トランプ氏が大統領になったら
日本の自動車産業はどうなる?
次期米国大統領選挙で共和党の候補者指名を確実にしたトランプ氏が、日本の自動車市場を攻撃している。もし彼が大統領になったら、日本の自動車産業はどうなるのか Photo by Keiko Hitomi
「彼ら(日本)は100万台以上の日本車を送ってくる。我々(アメリカ)はどうだ? 最後に東京でシボレー(GM車)を見たのはいつだ? 彼らはいつもアメリカを打ち負かしてきた」
これは、次期米国大統領選挙で共和党の候補者指名を確実にした不動産王・ドナルド・トランプ氏の出馬会見での一節である。
時代錯誤というか、事実認識に欠ける発言なのだが、彼の思想の根底にあるのは「米国車が日本車に叩かれてきた」というものであり、日本車への攻撃も含めたこうした極論が米国庶民の心を掴んだとされている。
4年に一度実施される米大統領選挙は、今年11月8日が本選となる。二大政党制の米国では、民主、共和両党がそれぞれ各州・地域で開いた予備選・党員集会の結果に基づき、7月の全国党大会で正副大統領候補を正式に指名し、両党が本選で対決することになっている。現段階において、ポスト・オバマとして民主党からヒラリー・クリントン前国務長官、共和党から不動産王と言われる実業家のドナルド・トランプ氏が候補指名を確実にしている。
ヒラリー・クリントン氏は、夫のビル・クリントン氏が大統領を務めていたときにファーストレディとしてその名を広く知られることとなり、その知名度を生かして今回、米国初の女性大統領に再チャレンジする。だが、それ以上に話題を呼んでいるのがトランプ氏だ。
出馬当初は「泡沫候補」と見られていたが、極端な政策提言を乱発して勝ち残ってしまった。これは、米国における経済格差の拡大とこれを是正できない政治という、米国の現状に対する国民の不満をトランプ氏がうまく吸収したせいだと言われる。
「アメリカファースト」「偉大な米国の復活」を唱えるトランプ氏には、ナショナリズム、保護主義の色が強く見え、ときには人種差別的発言もあり、危うさも感じられるが、米国に漂うポピュリズムの風潮に乗った観もある。そのトランプ氏は、冒頭の自動車に関する発言やTPP(環太平洋経済連携協定)の破棄も訴えている。
トランプ氏の極論で思い出す
日米自動車摩擦の厳しい歴史
米国における自動車はかつて「聖域」でもあり、政治とのつながりの中で日米自動車摩擦、日本車対米輸出自主規制が長きに渡って続いた。日本車バッシングなどもあり、日本自動車産業が米国で市民権を得るまでには厳しい道のりがあった。日本の自動車業界のトップからは、「今回の米大統領選でトランプ大統領が誕生したら、いつか来た道になるのでは?」と懸念する声も聞こえてくる。
トランプ氏は冒頭の発言の他にも、「日本の度重なる円安誘導のせいで、友達は高いキャタピラーではなく、コマツのトラクターを購入した。アメリカは日本と価格競争ができない。円安誘導で競争は不可能だ」と発言している。不可解で支離滅裂な発言だが、コマツとキャタピラーという建設車両メーカーの固有名詞を出して、被害者意識を煽っている。
また、「日本は石油の7割近くを湾岸地域に依存しているが、その活動は米軍が守っている。日本は米軍に守られて石油を持ち帰り、アメリカの自動車メーカーを叩きのめしているのだ」とし、「だから自動車(輸出)を使って経済大国になった日本に補助金(米軍駐留経費)を払い続けることはできない」と、日米安保問題にまで言及していく。
さらにTPPに関しても、日米など12ヵ国で大筋合意されている同協定について、トランプ氏は破棄を訴える。「貿易自由化で日本やメキシコに雇用を奪われた」と主張し、経済格差に不満を募らせる低中所得層の取り込みに成功してきた。「日本から何百万台ものクルマがひっきりなしに輸入されてくる。アメリカは何を買わせたか。貿易不均衡だ」と言ったと思えば、「メキシコに万里の長城をつくる。我々は日本を、メキシコを打ち負かす」とまで言う。支離滅裂、荒唐無稽だが、ここまで来るとその発言を「ある意味、面白い」と評価する風潮さえある。
メキシコに関しての攻撃は、メキシコからの移民の流入と、NAFTA(北米自由貿易協定)でメキシコが自動車の生産基地化されたことにより、米国の雇用が奪われたとするものである。しかし、メキシコにはフォードも生産展開してNAFTAを活用しており、トランプ氏はフォードとも確執を抱える関係にあるのだ。
米大統領候補であるトランプ氏の発言は無茶苦茶に聞こえるが、米国にとって自動車が聖域であることに変わりはないということだろう。かつて日米自動車摩擦が起きたのは、1970年代後半からだった。この頃、米国から日本車の「集中豪雨的対米輸出」という非難の声が巻き起こった。
この時期、米国の自動車市場では、オイルショックを契機として消費者の指向がそれまでの大型車から小型車へと変化していった。そこへ、日本から上陸した小型車が「高品質、低価格」でブームを巻き起こし、日本からの輸出が急増した。
当時、世界最大の自動車マーケットだった米国市場への日本車の進出には、それまで開拓に苦闘した先人の並々ならぬ努力があり、それが米市場の小型車指向に伴って日本車人気に結びついた側面はある。一方で、GM、フォード、クライスラーの米ビッグ3は、小型車シフトが後手に回り、業績を悪化させた。クライスラーに至っては経営危機に陥り、米連邦政府の支援を要請するほどだった。
米市場における小型車指向への対応が遅れた米メーカーの業績悪化、経営危機の表面化によって、「日本車バッシング」はデトロイトの労働組合が端緒となり、一気に政治問題として表面化したのだ。1980年、全米自動車労組(UAW)は米国国際貿易委員会(ITC)に対して、米国の自動車産業労働者の大量失業は日本車による被害だとして、日本車の規制を求める提訴を行なった。
「日本製乗用車の対米輸出自主規制」(VER)が1981年度からスタートし、実に13年間にわたって継続されたのである。当時の日本の自動車産業は、それまでの国策に沿って産業としての発展を輸出に求める方向性から、自由経済での市場競争原理を主張しながらも国際共生の道を探る方向性へと、転換を迫られた。
実は米国車の復活を促した
自動車問題の政治的側面
日本車対米輸出自主規制が日米政府間主導で継続されるなか、日本車各社はホンダを皮切りに、現地生産を目的としたアメリカ進出を促進した。この動きは、トヨタとGM、フォードとマツダ、クライスラーと三菱自動車といった日米合弁生産化にも結びつき、結果的に日本車対米自主規制が続くなかで、米自動車産業の復活にもつながったのである。米自動車産業が、日本式の経営管理方式・生産管理方式を吸収することで立ち直った側面もある。当時の米自動車産業の低落と復興を描いた『カムバック』という本が、米国で評判を呼んだこともある。
つまり、日米自動車問題は政治とのかかわりの中で続いてきた歴史があるのだ。その後、1990年代末の米クライスラーと独ダイムラーの合併を引き金とする世界自動車大再編の渦中にGM、フォードや日本車各社も呑み込まれた。日本車メーカーの中で、90年代後半から業績を悪化させた日産が、仏ルノーの傘下に入ったのが、特徴的な動きである。
一方で、世紀の大合併と言われたダイムラークライスラーの誕生だが、結局数年で離婚し、クライスラーは伊フィアット傘下に入っている。米GM、フォードは90年代に復活したが、2008年のリーマンショックで経営破綻状況となり、オバマ政権の救済によりGMが国有企業化され、フォードは自主再建を果たした。その後GMは国有企業を脱して再度復活、フォードも自主再建が軌道に乗り、現在に至っている。
日本車各社も、ルノー日産連合という枠組みに代表されるように、新たなグループ化も展開されるなかで、現在は乗用車8社、トラック4社という体制になっている。日本車にとって米国市場は、世界最大市場の座を中国に譲ったとはいえ、グローバル戦略においては中国に次ぐ重要な市場である。トヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダなどにとって、北米市場での収益は大きなウェイトを占める。
米自動車市場は、近年のシェールガス供給も含めて原油が安定化するなど、好調な動きを示しており、大型SUVの復活なども目覚ましい。三菱自工だけが米工場から撤退したが、日本車各社は米現地化やNAFTAを活用したメキシコ現地化を通じて、米市場における市民権を浸透させてきている。
したがって、一部日本からの輸出はあるものの、大半は現地生産による米市場への供給となっている。日本車は米市場で約40%を占めているが、現地化がほとんどであり、実は米国の雇用に大きく寄与しているのだ。
TPPを破棄しようとする
トランプの主張には無理がある
TPPについては、日米ほか12ヵ国の拡大貿易協定という性質上、メリットとデメリットの双方を指摘する声はある。日本においては、自国産業の農業が大きなダメージを被りかねないといった不安から、いまだ反対の声が根強いことも確かだ。自動車に関しては、米国の乗用車関税が2.5%なのに対して日本はゼロ、カナダは6.1%、EUは10%となっている。
日本の自動車産業としては、このTPPによって産業の競争力が向上すること、カナダなどの完成車関税が撤廃されることで輸出の拡大につながること、米国部品関税の撤廃で現地生産のコストを低減できることなどへの期待がある。自動車に関する大筋の合意では、米国の乗用車関税2.5%が発効から約25年維持され、一方で米国への輸出部品のうち8割の品目の関税は即時撤廃されるという、政治的な取り決めがなされている。いずれにしても、これらは議案として米議会に委ねられているので、トランプ氏の「国家主権を破壊する」という主張だけで合意を破棄することには無理がありそうだ。
では、日本市場における米車のポジションはどうか。共和党の大統領候補に指名されることが確実なトランプ氏の主張とは裏腹に、米フォードは年内に日本市場から撤退することを発表している。フォードは年初に突然日本事業からの撤退を発表し、その際に「日本市場の閉鎖性」を指摘したようだが、その根拠はない。
日本は乗用車関税がゼロであり、自動車市場では国産ブランドの競争が激しいとはいえ、輸入車も同じ土俵で競っている。2015年の日本市場における輸入車シェア(軽自動車を除く)は約10%である。中国市場の約5%、欧州市場の約4%と比較しても、日本では輸入車が健闘しているのがわかる。ただし、日本の輸入車市場の80%以上が欧州車であり、なかでもドイツ車が圧倒的に強いのが特徴だ。
米国サイドからは、「日本の自動車市場には非関税障壁や閉鎖性がある」などという批判が常に出てくるが、それも筋違いだ。ブランド力でアピールしてきた東京モーターショーへの出展もここ数年とり止めているなど、日本市場における米国メーカーの増販意欲が足りないせいであり、米車のシェアが4%程度に留まる原因となっている。
今回フォードが日本事業の撤退を決めたことで、さらに日本から米車が減ることになりそうだ。それにしても、フォード車ファンのユーザーや販売会社が気の毒である。フォードジャパンは、フォード車ユーザーに対してアフターサービスフォローの委託会社を用意するなど「立つ鳥跡を濁さず」の立場を示した。
グローバル競争が激化しても
「競争と協調」のバランスは必要
こうして見ると、米国における自動車産業は、かつての「自動車は国家なり」という栄光の時代から幾多の変遷を経てきたことがわかる。そんななかでも米ビッグ3が世界をリードしてきたという自負が、トランプ氏の主張の根底に流れる「偉大な米国の復活」という思想と二重写しになるのだろう。GMとフォードはリーマンショックから立ち直り、ここへきて一気に復活している。その底力を見る限り、米自動車市場が、日本市場や欧州市場にとって今後も大きな対立軸であり続けることは確かだろう。
日米自動車摩擦が起きた頃から、かれこれ40年が経過する。今や自動車産業も、IT企業や人工知能と連携・競合する時代に入ってきた。グローバル化が進む新時代においても、「競争と協調」がキーワードであることに変わりはないはずである。そのことをトランプ氏も意識すべきだ。
http://diamond.jp/articles/-/93195
2016年6月16日 闇株新聞編集部
EU離脱を問うイギリス国民投票目前!
あの波乱相場の仕掛け人・ソロスが投資を再開
闇株新聞が聞く金融相場の不気味な足音・1
雇用拡大・経済成長の減速が危惧される米国、英国のEU離脱懸念が現実となりつつある欧州、通貨下落と資金流出に歯止めがかからない中国、デフレ逆戻りの瀬戸際にある日本、etc. 各国は金融政策で景気後退を食い止めようとするも、余剰資金は株式市場に流れ込み株価は高値圏を維持している。市場に生じた歪みが徐々に膨らみギシギシと軋む。刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」は、相場の闇に鳴り響く不気味な音を聞き分けます。
ソロスを再び相場に駆り立てる大相場の予感
投資家は“その時”に向けた心の準備を
あのジョージ・ソロスが投資の第一線に復帰したとの報が伝わってきました。伝説の「クォンタム・ファンド」を率い、1992年には英国政府の為替介入にポンド売りで対抗し、勝利した男です。
御年85歳になったソロスは2011年に外部顧客から預かった資産を全て返却し、最近は自身と家族の資産だけを(と言っても300億ドル=3兆円以上ですが)運用していたはずでした。その彼が何かを嗅ぎ付け、腰を上げたのです。
まず米国株の比重を減らし金(ゴールド)への投資を増やしているようです。また、人民元の空売りを仕掛けているとも噂されます。つまりは、世界の金融市場が大混乱に陥る時期が近づいていると感じているのでしょう。
本紙は根拠薄弱な陰謀論を振り回すことを厳に謹んでおり、今回の記事もそういった類のものではありません。しかし、世界経済や金融市場にはここのところずっと「軋(き)しむ音」が聞こえおり、日に日に大きくなっています。
それがどこから聞こえてくるのか、折れてしまった時にはどんな大混乱が起きるのか、何がそのきっかけになり、どうすれば被害を回避できるのか――を、真剣に考えておく時期に来ているような気がしています。
ただ、即座に株や不動産が大暴落するとも考えていません。経験的にはこのような音が聞こえてからのほうが、市場が急伸することもあるからです。熱狂に踊らされ過大な資金を投じたり、大混乱に遭ってパニックに陥らないよう、心の準備をしておきたいものです。
その音はどこから聞こえてくるのか!?
闇株新聞が懸念する国債利回りの低下
本紙が最も警戒すべきと見ている兆候は「世界的な国債利回りのさらなる低下」です。ここ数年の趨勢でもありますが、国債利回りを含む長短金利水準の低下は、先週さらに加速しました。
短期金利は金融政策を、長期金利はその国の経済見通しを反映するものと本紙は考えます。そしてもっと重要なことは、長期国債利回りは実体経済に“やや先行して”反応するはずであることです。
世界的に金融緩和が実施されていますから、市場には余剰資金が溢れています。企業は余剰資金を事業への投資ではなく株主還元に回しています。そのため国債に比べ株式の相対的な投資妙味が増し、これから株価を押し上げる可能性があります。
参考:円高、株主還元につられた株高へ 雇用統計ショック以降の世界の株と為替はどうなる?(2016年6月10日公開記事)
しかし、長期国債利回りに見られるように世界的に経済は減退傾向にありますから、事業の成長や収益増には期待できません。にもかかわらず投資資金が注ぎ込まれ株価が押し上げられるならば、それは正真正銘のバブルです。
バブルだと懸念する市場参加者がいる限り、それは簡単には弾けません。何らかの外的要因で下落しても比較的短期間で値を戻し、そのことが安心感につながりさらに買いを集めてバブルが膨らんでいく構図です。今はまだその始まりの段階と言えましょう。
下げ止まらぬ人民元は中国経済崩壊の予兆か
英国がEU離脱を決めたら世界不況に陥るか!?
世間では「中国経済の崩壊」と「英国のEU離脱」に警戒する声が多く聞かれます。実際はどうなのでしょう。
中国経済については人民元が一時1ドル=6.59元あたりまで下落していました。大幅下落が始まった2015年8月が同6.11元でしたから「下落が止まらない」とは言えその角度は緩やかであり、たかだか7.5%です。
また中国の外貨準備は2014年6月の3兆9900億ドルをピークに、(人民元が大幅下落する直前の)2015年7月でも3兆6500億ドルありました。それが本年5月には3兆1900億ドルまで減っています。
中国の経常収支は2015年も2016年も3000億ドルに近い黒字であり、差し引きでは巨額の外貨が中国から流出していることになります。しかし、海外企業は直接投資を減らしているとはいえ、中国への投資を引き上げているわけではありません。流出する外貨の大半は厳しい為替管理を潜り抜けた中国人の対外投資あるいは資金逃避となります。
つまり、最近の人民元の水準は貿易収支など経済活動においては「かなり割安」なのは間違いなく、中国人の投資感覚で先安観があるに過ぎません。さらに言えば、膨大な過剰設備や国営銀行が不良債権を抱えているといった懸念も「中国の国内問題」に過ぎません。
中国は他の新興国のように外貨建て債務が大きいわけでもなく、何と言っても共産党一党独裁の国ですから、経済・金融政策も(それが正しいかどうかはさておき)中央政府からの指令が徹底されるはずで、すぐに経済あるいは金融危機を引き起こすとは思えません。
それでは、英国のEU離脱問題はどうでしょう。6月23日に迫った国民投票を前に、現在は離脱派の勢いが増しており、13日の世論調査(ICM)では離脱支持53%:残留支持47%との結果が出ました。これを受けて金融市場では英ポンドが乱高下するなど緊張が高まっています。
市場では「もし本当に英国のEU離脱が決まってしまったら世界恐慌になる」との声も聞かれますが、本紙は「離脱にせよ残留にせよ英国の国内問題であり、ユーロ圏を含む世界経済への影響は一時的・限定的であるはず」と見ています。
来週の『週刊 闇株新聞』は、英国のEU離脱/残留が経済・金融市場に及ぼす影響と、それよりもっと大きな「軋む音」について、引き続き掘り下げて解説していく予定です。なお、経済のプロも愛読する刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』ではこの問題について、より早く・より濃く・より詳しく、議論を展開しています。興味のある方はぜひお読みいただければ幸いです。
http://diamond.jp/articles/-/93078
家計の金融資産、3月末は1706兆円 株安・円高で減少に転じる
[東京 17日 ロイター] - 日銀が17日に発表した2016年1─3月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は3月末時点で1706兆円となり、前年に比べて0.6%減少した。減少は2010年6月末以来となる。一方、家計と企業の現預金は増加しており、慎重姿勢はなお継続している。
3月末の家計の金融資産が減少に転じたのは、株安・円高を背景に投資信託や株式などの時価評価が目減りしたことが主因。株式等の残高は153兆円と前年比で9.9%減、投資信託の残高は92兆円で同3.7%減となった。
投信は実際の資金の出入りが同6.7%増と買い越しだったものの、価格下落分の影響が同10.3%減と上回った。株式等は同1.9%減と売り越しになったことに加え、評価額も同8.0%減少した。
一方、資産の過半を占める現金・預金の残高は894兆円となり、同1.3%増加した。現預金の増加は37四半期連続となっている。
企業の金融資産は同0.3%減の1094兆円。こちらも株安・円高で株式等が同9.2%減となったことなどで小幅に減少に転じた。それでも高水準の収益が維持されている中で、現預金は同8.4%増の261兆円と過去最高を更新している。
国庫短期証券や財融債を含めた国債残高は同3.6%増の1075兆円と過去最高となった。
保有者の内訳をみると、大規模な国債買い入れで金融緩和を進めている最大の保有主体の日銀が同32.7%増の364兆円と残高を大きく積み上げた。残高に占める比率は33.9%に達している。
金融機関や公的年金、家計などが引き続き国債残高を減らす一方、海外による保有は増加基調を継続。残高は過去最高の110兆円となり、比率は10.2%となった。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」は1─3月期に長期国債(財融債含む)を1兆3624億円売り越し、株式を9654億円買い越した。外国証券は867億円の売り越しとなった。
*内容を追加します。
(伊藤純夫)
http://jp.reuters.com/article/march-monetary-asset-idJPKCN0Z300L
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