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巨額資金を動かす機関投資家の、知られざる4つの実態
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160616-00122486-shikiho-biz
会社四季報オンライン 6月16日(木)19時31分配信
投資主体別売買動向などで開示されているように、「機関投資家」は株式市場におけるメインプレーヤーだ。一方で、多くの個人投資家にとって「機関投資家」ないし「ファンドマネジャー(以下:FM)」というのは、実態のよくわからない得体の知れない存在だろう。
私自身、日々FMとして仕事をしているが、同じサラリーマンとは言っても、一般的な事業会社と比べると、ずいぶんと特殊な世界であるという実感はある(事業会社という言い方も大概だが)。
そこで今回は、FMに関して、個人投資家に知っておいてもらいたいことを中心に述べていきたい。
■ 実態その1 「見えない」タイプのFMが多い
一言でFMと言っても、その種類は実に様々だ。公募投信などで個人のお金を運用するFMのように「見える」タイプがいる一方、私的基金・公的年金のような特定機関投資家のお金を運用する「見えない」タイプもいる。
一般的に個人投資家が認識するFMは、「見える」タイプであることが多い。彼らは個人投資家がお客様であるので、ファンドに資金を呼び込むため、積極的に情報開示をしている。
一方で「見えない」タイプのFMというのは、秘匿性の高い資金を運用しているため、顧客情報はもちろんのこと、FMの素性や、運用資産の大きさ、運用戦略、保有銘柄、パフォーマンスなど、すべての情報が非開示だ。もちろんメディア等に出ることもない。外部の人が、どのようにリサーチしても、彼らの情報を得られることはない。
重要なことは、株式市場における最大の投資主体は、この「見えない」タイプの投資家であるということだ。「見えない」にもかかわらず、大きな影響力を持っている。そういった主体がうごめいているのが、株式市場なのである。
■ 実態その2 短期投資 < 長期投資
よく個人投資家の書き込みなどで、「機関が入っている」「機関のおもちゃにされている」といったような、機関投資家が何やら需給を恣意的に操作して、個人投資家をもてあそんでいるかのような表現を見かける。しかし、これは個人投資家の妄想である。
運用資産の大きい機関投資家が、流動性の少ない株を回転売買させることは、著しく経済合理性を欠いており、(間違って発注してしまった場合を含め)運用規約や社内のシステム的にも、そうような売買はできないようになっている。運用資産の小さいアルゴリズム運用であれば可能かもしれないが、違法性が高まるため、そもそもリスク&リターンに見合わない。
1億円を運用するのと、100億円を運用するのでは、見える世界がまったく異なる。100億円規模の運用をする場合、自身の売買インパクトによって株価が動いてしまい、短期売買で利益を得ることなどできない。ファンドサイズが1000億円を超えてくると、さらに別の世界となる。企業業績の変化を精緻に予想し、長期投資を行わなければ利益が出なくなってくるのだ。
上述の「見えない」タイプの投資家のなかには、新規の資金を受託する場合、1ショット100億円というサイズで資金流入があったりする。つまり、資金力のあるファンドほど、投資期間は長期になり、売買回転率は低くなってくるのである。
■ 実態その3 「本気」で企業業績を予想している
個人投資家の言うアナリストレポートは、証券会社のアナリストがリテール営業向けに書いたものであり、機関投資家は意思決定に使用していない。運用資産の大きい機関投資家は、自前のアナリスト(バイサイド・アナリスト)部隊を抱えており、より踏み込んだリサーチと業績予想を行い、適正な企業価値を算出している。
例のごとく、バイサイド・アナリストやFMが、企業にどのような取材をし、どのような業績予想をし、どのようなリターンを見出しているかが、ファンドの顧客以外に情報が漏れることは決してない。世間に銘柄の視点や注目の度合いがばれることも嫌うので、決算説明会のようなオープンな場で質問することもない。
業績予想を行うにあたっては、何度も先方の企業とミーティングを重ねる。今期や来期の業績がどのようになるかという視点よりも、その企業の本質的な競争力は何であるのかを見極めたり、競争環境に変化がないかを確認することに重点を置くことが多い。当然、経営陣の質についても深く調べ、ガバナンス体制や、組織の企業風土なども徹底的に調べたうえで、その企業の将来の業績予想を作成していく。
もちろん、それだけ調べても予想が外れたり、想定外のことが起こってしまい、期待した株価パフォーマンスを得られないことは多々ある。しかし、大きな資産を運用しながら、他社よりも優れた成績を残すには、一つ一つの投資において、絶対に勝つ自信が持てるまで、リサーチやディスカッションをするしか方法がない。機関投資家は、この点において想像以上に本気で取り組んでいると思ったほうがよい。
■ 実態その4 勝つ以上に重いルール
機関投資家は顧客の資産を預かる際に、多くの制約を負っている。代表的な制約は、運用戦略に合致していなければならないということだ。
ファンドにはファンドごとに定めた運用戦略がある。たとえば、高成長銘柄のみに投資するファンドが、低成長の割安株に投資してしまったら、重大な運用規約違反となる。顧客からの解約は当然として、FMは処分を受ける。FMは約束した戦略の範疇でパフォーマンスを上げなくてはならず、戦略に合致しない銘柄は、いかに上昇が見込まれても投資することはできない。
この他、倫理上の制約も大きい。日本の上場企業に多いのだが、リサーチを進めているうちに、怪しい取引や人事を発見してしまい、それをクリアにできないことがある。機関投資家は動かす資金も大きく、社会的な責任も大きいため、社会にとって好ましくない企業に投資をすることはできない。経営陣の本音や、反社会勢力との関係、過去の不祥事、不透明な取引・意思決定など、リサーチ力のある機関投資家ほど知ってしまうことも多く、投資できないケースが多い。
爆騰する銘柄を横目に、顧客には、なぜその銘柄に投資していないのかを説明しなければならない。勝つことのみにフォーカスすればはるかに楽であるが、機関投資家にはそれ以上に重いルールが課せられているのである。
以上、機関投資家やFMに関して、個人投資家に知ってもらいたいことを4つにまとめて述べた。
FMはプロの投資家であるが、それは「パフォーマンスを上げることにおいて個人投資家より優れている」ことを意味しない。むしろ、プロとアマの差がこれほどない業界というのも珍しいくらいである。
個人投資家は、上述のような機関投資家の特性を理解し、ある意味で反面教師にすればよいと思う。小回りの利く駆逐艦(個人投資家)が巨大戦艦(機関投資家)に勝利するということが、株式市場では当たり前のように起きているのである。
こまつばら・あまね/大手資産運用会社の現役ファンドマネジャー・アナリスト。個人情報は非公開としている。徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う、ファンダメンタリスト。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。共著書に『勝つ投資 負けない投資』(個人投資家の片山晃氏と共著、クロスメディア・パブリッシング刊)がある。筆者ブログ: 仙人の祈り
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
小松原 周
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