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ついにインフレ時代の到来か? 地震や国債暴落などのリスクも…
2016年06月13日(月)塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
日本経済は、バブル崩壊後の長期低迷期にデフレ状態が続いていたため、インフレとは無縁の経済になってしまったような錯覚に陥っている人も多いようです。しかし、冷静に考えると、インフレへの備えを欠いている状態は相当危険なものだと思われます。黙って銀行に預金しているだけでは、インフレで預金が目減りしてしまうかも知れません。今回は、インフレの可能性とリスクについて考えてみましょう。
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日銀総裁が2%のインフレを目指す意味
日銀総裁が、インフレ率2%を目指しています。日銀総裁が当初目指していた経路(資金が世の中に出回ることでモノの値段が上がる)が実現しなかったため、当初の想定よりは時間がかかっていますが、景気の回復により、すでにインフレは始まっています。原油価格暴落の影響を除けば消費者物価指数は前年比プラス1%程度となっているのです。
このまま景気回復が続けば、労働力不足による賃金上昇が物価を上昇させるでしょう。遠からず2%の目標は達成され、その後は2%前後のインフレが続くというのがメインシナリオだと思います。
仮にインフレ率が2%に達しないとしても、インフレへの備えは必要でしょう。インフレ率が現状程度(原油価格暴落の影響を除いて年率1%程度)で推移したとします。日銀の目標は達成されていないので、ゼロ金利は続きます。そうなると、銀行預金が10年間で10%ほど目減りすることになるのです。
マクロ経済的には1%のインフレでゼロ金利が続くというのは、心地よいと思いますが、個々人の資産運用に於いては、決して心地よいものとは言えないでしょう。
少子高齢化で労働力不足による賃金インフレの時代に
中期的な日本経済の予測をする際、最も重要で最も確実なことは、少子高齢化が進むということです。万が一完璧な少子化対策が採られたとしても、労働力不足が緩和されるのは20年以上先のことだからです。
高齢化社会では、医療や介護といった需要が伸びますが、こうした産業は省力化が難しいので、労働力不足に拍車がかかってしまう可能性があります。「若者が介護に忙しくて製造業で働けない」というわけです。
そうなると、モノが生産されなくなり、モノ不足になり、モノの値段が上がります。インフレです。足りなければ輸入すれば良い、という考え方も可能ですが、そうなれば輸入のためのドル買いが増えてドル高になるので、輸入品の価格が上昇し、輸入インフレになります。
労働力不足は、賃金を上昇させますから、賃金インフレも発生するでしょう。サービス業はコストに占める人件費の比率が高く、省力化も難しい場合が多いので、賃金の上昇がストレートにインフレに繋がりやすいのです。
バブル崩壊後の長期にわたる物価安定の主因は、失業者が多かったことで安い労働力が容易に調達できたことにあります。そうした環境が逆転するわけですから、デフレ時代からインフレ時代へと頭を切り替える必要があるわけです。
最大のイベントリスクは地震?
ここまでは予測でしたが、予測は出来なくても可能性として考えておくべき事柄(イベントリスク)もあります。その最大のものは大地震です。30年以内に大地震が発生する確率は70%だと言う人もいるほどです。
10年以内に大地震で東京、大阪、名古屋が壊滅状態に陥るリスクが10%はあると考えておくべきでしょう。そして、その場合には巨額の復興需要と生産能力激減のダブルパンチになりますから、消費者物価が最低でも2倍にはなるでしょう。期待値として10年以内に最低10%は物価が上がることになります。年率1%以上です。
通常の経済予測では、大災害については「大災害のリスクはありますが、それはそれとして……」といった扱いをしますが、資産運用に際しては、しっかりと期待値として認識する必要があるのです。
現金や銀行預金が1億円あっても、大地震による大インフレが来たら、まっとうな老後が過ごせないかも知れません。インフレに強い資産を持つインセンティブは決して小さくない、というわけですね。
国債暴落によるインフレの可能性も
国債が暴落するか否かを予想することは困難です。「日本政府が破産しそうだ」という噂が拡がれば、来年にでも暴落するかも知れませんし、30年経っても暴落しないかも知れません。
ただ、日本政府が破産すると人々が思った場合には、猛烈なインフレが予想されますので、注意と備えが必要になります。
日本政府が破産しそうな時には、誰も国債を買いませんから、日本政府は国債が償還出来ません。仕方なく日銀から借金をして国債を償還することになるので、世の中に資金が出回ります。一方で、国債保有者が国債の償還を受けると、受け取った現金を直ちにモノか外貨に換えようとします。破産する国の通貨など持っていたくないからです。
彼等が現金をモノに換えれば、モノの値段が上がるので、直ちにインフレになるでしょう。彼等が現金を外貨に換えれば、外貨が値上がりするので輸入品の価格が上昇し、やはりインフレになるでしょう。
インフレに強い資産は?
こうした事を考えると、現金や銀行預金などは「リスク資産」であることがわかります。株やドルは値下がりのリスクはありますが、インフレに強い資産なので、インフレが予想される時には現金や銀行預金などとどちらが安全かわからないほどです。「買うもリスク、買わぬもリスク」といったところでしょう。
筆者は、インフレに強い資産構成を推奨しています。現金や銀行預金は少なめにして、ドル、株、物価連動国債、変動金利型国債といったインフレに強い資産を多めに持つようにするのです。
ドルや株は値下がりのリスクがありますが、様々な資産に分散しておけば、最悪でもどれかは資産価値が保てるだろう、というわけです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6726
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