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長期金利、世界で低下 成長期待しぼむ
日本、マイナス0.155% 独も最低
「経済の体温計」とも呼ばれる長期金利が世界で低下している。日本では10年物国債利回りが年マイナス0.155%と過去最低を更新。世界全体でも国債残高の半分近くがマイナス金利となる異例の事態だ。企業の成長期待が落ち込み、金利が低くても借金して成長に向け投資する動きが鈍っている。中央銀行が強力な金融緩和をしても経済成長につながりづらくなっている。
投資意欲低く
日本の長期金利が過去最低水準を更新したのは4月21日以来。英国の欧州連合(EU)離脱への懸念から、世界的に国債が買われる流れが波及した。
金利はその経済全体のお金の需要の強さに左右される。経済成長の期待が強まれば、高い金利を払ってでも借金して新しい工場や店舗を建てたりする。国債の金利はその国の成長期待と物価上昇予想、政府債務への警戒感で決まるとされる。
英バークレイズ・インデックスの集計では世界の国債の平均利回りは0.73%と史上最低を更新した。日本では国債残高の8割近くがマイナス金利で、ドイツでも10年債は0.0%台前半と過去最低の水準だ。償還までの期間の短い国債ならフランスやイタリアなどの欧州でもマイナス金利が相次ぐ。利上げ局面の米国も年明け以降、下がる傾向にあり、10年債は1.6%台と4カ月ぶりの低さだ。
日欧の中央銀行は物価上昇に向け大量の国債を買い続けている。国債は価格が上昇すれば金利が下がる仕組みで、中銀のように大量に買う人がいれば経済の実勢よりも金利は下がりやすくなる。
ただそれだけでは金利低下は説明できない。経済が将来成長するとの期待が強ければ、企業は積極的にお金を借りて、設備投資や住宅購入にお金を使うはずだからだ。ところが、異例の低金利でもそうした意欲が高まらず、金利低下に歯止めがかからなくなっている。
先進国の企業が抱える現預金は過去最高水準にあるが、設備投資はリーマン危機前を下回る。米アップルのような成長企業ですら、稼いだお金は投資より株主還元に回す。生産性(生産活動の効率)が高まらず、人口も頭打ち。先進国は総じて経済成長のイメージを持ちにくくなっている。
新興国景気にも不安が根強い。みずほ総合研究所の高田創氏は「世界的に金利が上昇しづらい状況は当面続くだろう」と指摘する。
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緩和頼み、回らぬ歯車 構造改革が急務
なぜ長期金利が上がらないのか。世界経済が活力を失うなか、日米欧の主要中央銀行がマイナス金利政策や国債の大量購入によって力ずくで抑え込んでいる面もある。
日米欧の中央銀行を駆り立てているのが、1990年代以降の日本を苦しめたデフレの教訓。経済がひとたび継続的な物価下落に陥れば、企業は投資に消極的になり、家計は消費を控える。
日本の失敗を繰り返すまいと、米連邦準備理事会(FRB)はリーマン・ショック後、大量に国債を購入する量的金融緩和を導入。FRBは昨年12月に利上げに踏み切ったが、今でもそのときの国債を抱え込んでいる。
デフレの本家である日本は年80兆円という大量の国債購入で金利を押し下げているうえ、今年1月にはマイナス金利政策の導入を決定。日銀はすでに国債の総発行額の3分の1を買い占めており「日銀の国債買いが続く以上、金利の上昇余地はほとんどない」(国内証券)という状況だ。
だが、金利を抑えても、企業が投資に動き出さなければ、成長力底上げは難しい。FRBのイエレン議長がいう「労働生産性の伸びが近年、異常に弱い」状況を打破していけるかがカギになる。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6月初旬、「すべての国で構造改革が必要だ」と話した。20カ国・地域(G20)は成長力押し上げへ「政策の総動員」で合意したが、具体策はこれから。異例の金融政策で確保した時間を政府や企業が有効に使えなければ、都市部の不動産価格の高騰などといった緩和の副作用を抑えきれなくなる。
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マイナス金利国債10兆ドル 全体の半分、日本は8割
格付け会社フィッチ・レーティングスによれば、世界でのマイナス金利の国債の量は5月末時点で10兆4千億ドル(1100兆円)。1カ月で約5%増え、日欧で増え続けている。世界の国債の残高は20兆ドル程度で半分近くがマイナス金利になっている。
「いつか爆発する超新星だ」。債券王の異名を持つビル・グロス氏は9日、ツイッター上でこうつぶやいた。マイナス金利はお金を借りる側が利息をもらえる異常事態。中銀が人為的にもたらした面も強く、グロス氏は警鐘を鳴らした。
中央銀行が国債を買うのはあくまで物価を支える異例の措置。いずれは国債の保有量を減らさねばならないが、反動で金利が急上昇するリスクを懸念する声もある。
[日経新聞6月11日朝刊P.1]
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