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不動産ミニバブルはいつまで続く?
東京の不動産市場 ミニバブルは当分続くと大前研一氏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160611-00010000-moneypost-bus_all
週刊ポスト2016年6月17日号
景気が良くなった実感はないが、ミニバブルの様相をみせる東京の不動産事情。経営コンサルタントの大前研一氏が、中国マネーによる東京ミニバブルの理由と、これからの見通しについて解説する。
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いま、東京の不動産市場はミニバブルの様相を呈している。不動産経済研究所の調査によると、2015年度の東京都区部の新築マンションの1戸あたり価格は6842万円、1平方メートルあたり単価は100.1万円で、2014年度に比べて1戸あたり810万円、1平方メートルあたり11.9万円も上昇し、すでにリーマン・ショック前の2007年度のミニバブル期を上回っているという。
2016年4月はさらに上がって1戸あたり価格が7318万円と一気に7000万円を突破し、1平方メートルあたり単価は111.3万円になった。今後も都心部や湾岸部で高層マンションが続々と計画されている。
その一方で、中古マンション価格の上昇が鈍り、ミニバブル崩壊を予測する声も出てきている。だが、私は、このミニバブルは当分続くと見ている。なぜなら、中国、香港、台湾、シンガポールなどの富裕層や企業のマネーが東京に流れ込んでいるからだ。東京は安全・安心で、空気がきれいで、交通が便利で、食事が美味しい。しかも、マンションの価格が中国やシンガポールに比べると、まだまだ安い。
たとえば、北京や上海のマンションの1平方メートルあたり単価は約400万円に達しているが、東京は高額物件でも200万円くらいだ。
中国マネーの流入は、世界的なものである。すでに本連載(第519回)で、習近平政権のトラ狩りや不動産バブル引き締めと元安傾向によって「この数か月で45兆円の中国マネーが海外に脱走」と書いたが、中国人が海外に持ち出したカネは今年1〜3月の3か月で103兆円に達したとも言われている。
不動産というものは、国境を越えて交易する。たとえば、上海のマンションを売却して得た利益で東京のマンションを購入したり、その逆のことをしたりできるのだ。それが、今のアメリカのシアトルやハワイ、オーストラリアのシドニーなどでの中国マネーによる不動産の暴騰につながっているわけで、このブームは東京だけのものではない。
日本の富裕層や企業が1980年代後半のバブル期にハワイやロサンゼルスなどでコンドミニアムやホテル、商業ビルを買い漁っていたのと同じである。
中国人にとって、不動産が自由に売買できる東京はさらに魅力的だ。おそらく、一般の中国人に日本で土地・不動産を買えるかと聞けば、多くが難しいと答えるだろう。中国では土地は共産党のものであり、所有できないからだ。しかし、実際は日本ならいくらでも売買できる。
オーストラリアはFIRB(外国投資審査委員会)の事前認可が必要で、買うことはできるが、オーストラリア人にしか売れない(※)。アメリカは地理的に遠い。だから、近くて割安な日本の不動産は、中国人の富裕層にとって垂の的になるわけだ。
【※JETROのHPによれば「長期滞在者は、投資を目的とした住居を購入することはできない。居住者でない外国人が、投資を目的とした中古物件を購入することは、原則できない」とされる】
日本は相続税などが高いから、帰化や永住まではしないだろうが、中国をはじめとするアジアの富裕層は「最後は東京」ということになるかもしれない。欧米人の富裕層の多くは「最後はロンドン」と考えるが、アジアにおける東京のポジションは、それに近づいているような気がする。
だから、今の東京ミニバブルは当分続くと思う。つまり、バブル期とは構造が異なり、財源が日本ではなく海外にあるので、今後もしばらくは枯渇することがないと考えられるのだ。
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