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パート妻 年間30万余計に稼いでも「世帯手取りは4万増のみ」受け入れられるか?
http://president.jp/articles/-/18242
2016年6月11日 PRESIDENT Online スペシャル ファイナンシャル・プランナー 井戸美枝=文
■どれくらい働き過ぎると損をするのか?
共働きの家庭は1990年代から増え続けています。
現在、夫が会社員として働き、妻がパートで働いている。そんなご家庭も多いでしょうが、こうしたケースでは妻の「年収」に要注意です。2016年10月、社会保険の加入条件が年収130万円から106万円に引き下げられるからです。
そもそも、今、仕事量を制限して働いている妻が多いのは、余計な「負担」を避けたいから。パートでの年収がある一定の金額に達すると、住民税を負担したり(100万円の壁)、配偶者控除が使えなくなったり(103万円の壁)、扶養から外れて健康保険や厚生年金保険料を支払わなくてはならなかったり(130万円の壁)するからです。
▼2016年10月から「106万円の壁」に変わる
このうち、社会保険への加入基準である「130万円の壁」が、2016年10月に「106万円の壁」に引き下げられます。
ただし、以下の条件を満たす方のみが対象となります。
・勤務時間が週20時間以上
・1カ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
・働く期間が1年以上の見込み
・勤務先が従業員501人以上の企業
・学生ではない
今回の改正では、従業員が501名以上の企業に限られていますが、労使が合意すれば小規模な企業も対象となる法案が国会に提出されています。近い将来、中小企業も「106万円の壁」が適用されるでしょう。
▼注意するべきは、パート年収106万〜130万円の人
この改正で特に影響を受けるのは、現在パートでの年収が106万〜130万円の方です。
たとえば、パートでの年収が106万円だった場合、10月以降「追加の負担」(社会保険料)はいくらになるか見てみましょう。健康保険料は保険者によって異なりますが、東京都協会けんぽでは月額4382円。厚生年金保険料は月額8735円。合計すると、年間約16万5000円の社会保険料を支払うことになります(40歳以上の方は介護保険料を支払うので年間約17万円になります)。
つまり、この社会保険料分(月にして、1万数千円)を以前よりも多く稼がないと、手取りが減ってしまうことになります。
そこで、働く側は「気にせず働けるだけ働いて社会保険に加入する」か「年収を106万円未満に調整して社会保険に加入しないか」を選択することになります。
■パート年収別「世帯の手取り額 損得分岐点」試算
さらに気になるのは「壁」を気にせず働いても、夫の収入を含む「世帯全体の手取り」が増えるとは限らない制度だということ。仮に妻のパートでの年収が増えると、夫の配偶者控除額が減り、その結果、夫の所得税が高くなる(手取りが減る)というのがこの制度の仕組みです。
人によって違いますが、夫の年収が500万円ですと、妻の年収130万円がおおよその分岐点となるでしょう。
年収100万の場合は、妻は社会保険料を支払わず、配偶者の扶養範囲内ですので、100万円がそのまま手取り額となります。妻は夫の配偶者控除の範囲内ですので、世帯全体の手取りは497万156円となります。
次に、年収106万円の場合は、妻は住民税と社会保険料(501名を超える企業で働いている場合)を支払い、手取りが約90万円になります。さらに、105万円以上になると配偶者の控除額が少なくなるため、夫の所得税が増えます。
収入によって所得税の税率は異なりますが、年収500万円の場合、所得税率は20%です。配偶者控除額は36万円ですので、その20%の7万2000円分の控除が受けられます。よって、世帯全体の手取りは487万1695円になります。
年収100万円の場合よりも6万円も多く働いているにも関わらず、世帯全体としての手取りは10万円近く少なくなってしまいます。
年収130万円になりますと、社会保険料や税金を差し引いた妻の手取りは109万4034円。配偶者に対する控除額が16万円まで下がっていますので、夫の手取りは392万656円となり、世帯全体では501万4690円となります。
このように、妻のパート年収が約130万円あれば、2016年10月以降も、世帯全体の収入は変わらないことになります。ただし、年収100万円のときに比べ、プラス30万円分働いているものの、世帯全体ではプラス4万円にしかならない計算になります。
■あえて社会保険に加入するパート妻の「理由」
こうしてみてみると、扶養内で働く方がおトクと思われるかもしれません。年収106万円未満で働くと、社会保険料を支払わずにすみますから。
一方で「壁」を気にせずに働けるだけ働くメリットももちろんあります。
年収130万円以上働けば、働いた分だけ収入が増えますし、負担した保険料に応じて将来の公的年金の上乗せ金額が増えます。しかも、厚生年金の保険料は勤務先との折半。健康保険では自分で加入していれば、病気や怪我で仕事を休んだとき「傷病手当金」が給付されます(条件あり)。
このように、長い目で見ればおトクな場合は少なくありません。私自身は、壁を意識せず働けるだけ働いたほうがいいと考えています。
▼国が企業に補助金を配る「思惑」とは
労働人口が減少している今、企業は人材不足に悩まされ、また国は税収減に悩まされています。国も企業も、パートの方には「壁」を気にせず働いてもらいたいのです。
2016年10月の改正にあわせて、同年4月から国は対象となる企業に「就労時間の延長(パート労働者が働く時間を週5時間以上延長)」と「賃上げ(大企業で2%、中小企業で3%以上)」を条件に、補助金を配っています。
パートの方は、就労時間の延長と賃上げによって増えた収入で社会保険料を支払い、手取り額の減少を緩和できます。企業側は、配られた補助金で社会保険料の負担増を抑えられます。
ただし、この補助金の支給は2019年度までの一時的なものです。「社会保険に加入することをいとわずに働けるだけ働いた方が良い」とパートの方が思える仕組み、例えば、同一労働同一賃金などの企業の均等待遇、就労を後押しするような給付き税額控除などの施策を実施しないことには、2020年度以降、ただ単に働く人が減ってしまうことにもなりかねません。
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